フクシマ 2011-2017 FUKUSHIMA 2011-2017
- みすず書房 (2018年1月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622086697
作品紹介・あらすじ
福島の風景の多くは、人の手が作りだしてきた里山である。美しかった福島の自然、四季に移ろう風景から、人が退避しなくてはならなくなった事態が続く。やがて除染作業が進み、黒いフレコンバッグが山と積まれ始めた。風景が徐々に変わっていき、とてつもない何かが生じている。高度な文明がもたらした福島第一原子力発電所事故。自然と人間の共生が崩壊していく記録には、予兆として、人類の未来が写っているのかもしれない。
感想・レビュー・書評
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先日、植物の生き残りに関しての本を読みました。植物の理詰めの繁殖力、動物の餌捕獲運動能力、この2つがない人間が生きながらえるために身につけた能力は、群れることとコミュニケーション能力とのこと。
「フクシマ」に登場する風景の大半は、人物が写っていません。
人がいた風景に、生活の痕跡だけが残り、気候と植物は平常で着実に時を連ねています。
70-80年代の「砂を数える」→90年-2000年代の「新・砂を数える」→2011年以降の「フクシマ」。
見比べると、徐々に人のソーシャルディスタンスが広がっています。人の群れがフェードアウトしていく様が露骨に実感します。
静寂と静寂の間にあるざわめき(に見てしまう自意識)が、「未来についてあなたはどう思いますか?人間の将来はどうなりますか?どうすべきですか?」と提起しているように感じました。沢山の定点写真が、時間の経過が待ったなしであることを示している気がしました。
そういえば、事故があった当初に東北を撮影した人々は、今も撮影をしているのかな、まさか冷やかしで終わっていないよね?(忘れられるプロセスの糸口は、スポットライトでは) と、ふと思いました。
続けることの大事さを、この写真集から教わりました。
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https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%9C%9F%E7%94%B0%E3%83%92%E3%83%AD%E3%83%9F
福島は、母の実家があった会津若松くらいしかわからないので、人がいなくてさびれた街中のイメージしかないのだけれど、こんなに豊かで美しい自然に満ちている場所だったんだね。こんな形で知ることになったのが悲しい。
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