トラウマの過去

著者 :
制作 : マーク・ミカーリ  ポール・レルナー 
  • みすず書房
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622086239

作品紹介・あらすじ

20世紀の多くの破壊行為と社会変動のあいだに、「トラウマ」という言葉は臨床医学の枠を超えてわれわれの日常にも溢れるようになった。
かつて「トラウマ」という言葉は身体的な意味で用いられており、日常会話では身体への殴打を、医学においては殴打による身体への病理的な影響を指していた。本書は,トラウマがなぜ心の傷を表わすものとして社会に浸透し、いかに欧米社会を混乱に陥れてきたのかを明らかにするものである。
19世紀後半の急激な産業化、福祉国家の成立、第一次世界大戦までに起こった外傷的出来事、そしてシェルショック、トラウマ神経症をはじめとする新たな病いの誕生と補償問題……。〈トラウマの時代〉に翻弄された欧米諸国や医学者たちの姿は、今日のわれわれにいくつものモデルを与えてくれるだろう。
戦争、災害、事故――。未曾有の外傷的出来事に襲われた後、われわれは何を作りなおし、何を語り継がなくてはならないのだろうか? トラウマ研究の決定版にして新たな端緒となる、学問分野を超越した重要文献。

感想・レビュー・書評

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  • 9月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311475158

  • 『トラウマの過去――産業革命から第一次世界大戦まで』

    原題:TRAUMATIC PASTS: History, Psychiatry, and Trauma in The Modern Age, 1870-1930
    著者:Mark S. Micale
    著者:Paul Lerner
    訳者:金 吉晴

    【書誌情報】
    A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/432頁
    定価 7,344円(本体6,800円)
    ISBN 978-4-622-08623-9 C1011
    2017年8月10日発行

     20世紀の多くの破壊行為と社会変動のあいだに、「トラウマ」という言葉は臨床医学の枠を超えてわれわれの日常にも溢れるようになった。
     かつて「トラウマ」という言葉は身体的な意味で用いられており、日常会話では身体への殴打を、医学においては殴打による身体への病理的な影響を指していた。本書は、トラウマがなぜ心の傷を表わすものとして社会に浸透し、いかに欧米社会を混乱に陥れてきたのかを明らかにするものである。
     19世紀後半の急激な産業化、福祉国家の成立、第一次世界大戦までに起こった外傷的出来事、そしてシェルショック、トラウマ神経症をはじめとする新たな病いの誕生と補償問題……。〈トラウマの時代〉に翻弄された欧米諸国や医学者たちの姿は、今日のわれわれにいくつものモデルを与えてくれるだろう。
    戦争、災害、事故――。未曾有の外傷的出来事に襲われた後、われわれは何を作りなおし、何を語り継がなくてはならないのだろうか? トラウマ研究の決定版にして新たな端緒となる、学問分野を超越した重要文献。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08623.html


    【目次】
    日本語版への序文
    序文

    第1章 トラウマ、精神医学、歴史――概念と歴史記述の方法論についての序論
      ポール・レルナー
      マーク・ミカーリ

    第一部 ビクトリア時代の旅行とトラウマ
    第2章 鉄道事故――19世紀英国における列車、トラウマ、技術の危機
      ラルフ・ハリントン

    第3章 米国黄金時代の列車とトラウマ
      エリック・カプラン

    第二部 福祉国家黎明期の労働、事故、トラウマ
    第4章 出来事、累積、トラウマ――19世紀末から20世紀初頭にかけての確率論的な精神の革新
      ヴォルフガング・シェフナー

    第5章 トラウマの言説としてのドイツ福祉国家
      グレグ・エイジアン

    第三部 トラウマ理論の発展――20世紀初頭の近代化と精神医学
    第6章 シャルコーとトラウマ神経症――19世紀後期フランスのトラウマ理論における医学と文化
      マーク・ミカーリ

    第7章 トラウマ神経症から男性ヒステリーへ――オッペンハイムの凋落 1889-1919年
      ポール・レルナー

    第8章 19世紀末から20世紀初頭にかけての米国精神医学における女性の性的トラウマの成立
      リサ・カーディン

    第四部 第一次大戦におけるショック、トラウマ、精神医学
    第9章 「なぜ彼らは治らないのか?」 第一次大戦における英国のシェルショック治療
      ピーター・リーズ

    第10章 第一次世界大戦期イタリアにおける精神科医、兵士、士官
      ブルーナ・ビアンキ

    第11章 神経との闘い――第一次世界大戦期フランスにおけるヒステリーとその治療
      マーク・ルドブッシュ

    第12章 見えない傷――1912-14年のアメリカ在郷軍人会、シェルショックを持つ退役軍人、アメリカ社会
      キャロライン・コックス

    訳者あとがき
    原注
    索引
    執筆者一覧

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

金 吉晴(きん よしはる)
精神科医。京都大学医学部卒、同大より医学博士取得。国立精神・神経センター成人精神保健部、ロンドン精神医学研究所等を経て現在は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所所長。国際トラウマティックストレス学会理事、日本トラウマティックストレス学会等理事。ペルー大使公邸事件での活動により厚生大臣表彰。PTSDの病態解明、治療研究、災害時精神医療、統合失調症研究等に従事。

「2020年 『児童期虐待を生き延びた人々の治療』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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