気候変動を理学する―― 古気候学が変える地球環境観

著者 :
制作 : 日立環境財団(協力) 
  • みすず書房
4.33
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本棚登録 : 81
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077497

作品紹介・あらすじ

古気候学者と市民のコラボで生まれたサイエンスカフェの名講義を書籍化。古気候学とは、堆積物や氷床などに残る痕跡を手がかりに、太古の昔から現代までの気候変動史を復元し、地球環境を造形している壮大なメカニズムを明らかにする学問だ。その成果は地球の未来像を確実に再構築しつつある。第一線で活躍する研究者が100%本格派の科学をもとに、市民の素朴な疑問を丁寧に拾いつつ、気候変動の本質を説き明かす。本文2色刷り、図版98点(カラー図版7点)

感想・レビュー・書評

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001006806

  • 24:お友達さんに譲っていただいたもの。二酸化炭素調節のためのポンプの話とか、緻密でダイナミックで、もうすごいとしか言葉が出ない。自分では手に取らなかっただろうから、ご縁に感謝。創作に役立つといいな……!

  • 「環境サイエンスカフェ」での5回の講義内容をまとめたもので、テーマは気候変動。地球環境問題は誰にとっても重要で、それがゆえに最近ではとても身近な話題のひとつだろう。それどころか身近すぎるとさえ言えるかも知れないくらい多くの情報や言説に囲まれている。しかし、そういった言説の真偽を判断するための基礎的な概念を一般の人が持っているかというと、少し疑わしいかも知れない。「情報のとらえ方について、古気候学者の立場から伝えるべきこと」(270ページ)を伝えようというのが講義のきっかけだ。

    本書では気候変動がなぜ起きるのかを軸として、5つのテーマが扱われている。内容は必ずしも易しくないものの、気候変動の原理の本質がとても分かりやすく説明されていてとても勉強になる。現代の必須リテラシーを養う上で読んでおくべき本の一冊。

  • 【資料ID: 1113002537】 451.85-Ta 16
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB12097543

  • この本は、地球温暖化に関する諸説の真偽を素人でもジャッジできるようにしてくれた物差しです。

    内容は、古気候学者が素人向けに気候のメカニズムを解説したサイエンスカフェをまとめたものです。

    地球の気候の構成要素を大づかみに捉えてから、それぞれの構成要素がどのように影響しているかを理解できるように書かれています。

    そこから紐解かれる気候ジャンプ(ある気候モードから別の気候モードに不可逆的にシフトすること)の解説が秀逸で、「地球温暖化=地球の気温が段々上がっていくイメージ」という我々素人の勘違いをわかりやすく覆してくれます。

    個人的に印象的だったのは、過去のCO2濃度の急増は6000年で100ppmのペースであったということ。

    このサイエンスカフェは2007年のものですが、人類史上初の400ppmに達した2015年時点では、300ppmだった1955年から60年で100ppmも増加していることを、我々は知っています。

    つまり、地球温暖化を信じていようがいまいが、地球史上類を見ない異常のハイペースのCO2濃度急増である事実は、受け入れざるをえません。

    最後に、地球温暖化懐疑論者が反論に使う「太陽活動の影響」についても冷静な知見を与えてくれます。

    この本のよいところは、地球の気候メカニズムに関する最新の知見を解説するもので、地球温暖化懐疑論者への反論ではなく、素人にフェアな物差しを提供してくれる点にあります。

  • 150322 中央図書館
    地球の気候変動は、太陽の持続的出力上昇や黒点周期、公転軌道の離心率の変化、歳差運動、海流の変化、岩石の風化、大陸配置など複雑なシステム構成に依るCO2濃度変化が重要な役割を果たす。とてもわかりやすい、そしてまだわかっていないことがいっぱいあることが判ってワクワクする、科学の本だった。

  • 日立環境財団の助成によるサイエンス・カフェで多田先生が講演された内容を記録した一冊。

  • 帯の通り「古気候学は面白い」。現在の地球は氷河期!地球にはいくつかの安定な気候モードがある。近年の急激なCO2増加は、モードの変化、つまり大きな気候変化をもたらす可能性がある。

  • サイエンスカフェの講演をまとめたもの.全く易しくないが,可能な限り平易に語ろうとしても,これだけややこしいってことがわかる,それだけでも良書.

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著者プロフィール

東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 教授。専門は地球システム変動学・古海洋学・古気候学・堆積学。著書『気候変動を理学する――古気候学が変える地球環境観』(みすず書房、2013)、共著に『固体と地球のレオロジー』(東海大学出版会、1986)『海・潟・日本人──日本海文明交流圏』(講談社、1993)『地球と文明の周期』(講座 文明と環境 1)(朝倉書店、1995)『進化する地球惑星システム』(東京大学地球惑星システム科学講座)(東京大学出版会、2004)『海と文明』(講座 文明と環境 10)(朝倉書店、2008)ほか。

「2017年 『気候変動を理学する 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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