- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784621086353
作品紹介・あらすじ
「得体の知れないものへの怯え」を超えて 著者はウイルスの専門家。ウイルスは人に感染し、社会制度、政治、社会心理など極めて関係が深い。2003年SARS、2009年「新型インフルエンザ」の緊張と混乱は人々の不安を増した。感染症が社会に対していかに大きな影響を与え、いかに歴史を動かして来たかを本書で明らかにする。なぜ、感染症は絶えないのか?なぜ新たな感染症が出現してくるのか?人類はどのように感染症と戦って生き延びてきたのか?科学はこの見えないものへの怯えをいかに減らしてきたか?そして、我々は、どこへ行くのか? 本書の内容は、感染症を40%、歴史を40%、残り20%をその間を繋ぐ社会心理的なものに充てた。感染症の歴史は、人々の不安の歴史でもある。明治期より近代微生物学の進展がその不安を減らしてきた。それでも、肉眼で見えないことの恐怖は消えない。次々と新しく出現する新興感染症。
感想・レビュー・書評
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タイトルが示すように、人類と感染症の歴史を、古代から現代まで広く網羅的に扱っている。感染症そのものの歴史と病態というよりは、感染症によって影響を受けた歴史にフォーカスを当てている。
著者はウイルス学者であり、歴史家ではないが、トリビア的な情報を得たいと思ったら、次々と出る感染症の歴史本の中でも本書がベストであるように思う。
扱う感染症は、天然痘、ペスト、ポリオ、結核、麻疹、風疹、インフルエンザ、ウエストナイルウイルスと幅広い。それぞれの感染症対策から得られた教訓のようなことも述べられており、専門家の意見として興味深い。
個人的には、自分の不勉強を棚に上げるようではあるけれど、感染症そのものの情報がもう少しあると理解が深まるように思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感染症はなくならない。新たな病原菌が現れて、世界中に広がることが多くなった。
「ヒトは得体の知れないものに怯える」。
病原菌発見と撲滅の歴史である。
各章ごとに独立した内容であり、読みやすい。 -
感染症は人類の歴史を左右してきた。天然痘、ペスト、ポリオ、結核、麻疹、風疹、インフルエンザ、ウエストナイルウイルスの8つの事例に、人類がどう闘ってきたのか、人類の歴史にどう影響を及ぼしたのかを解説。
最後に、マルチン・ルターの言葉「たとえ明日、世界の終わりが来ようとも、私は今日りんごの木を植えよう」を引用し、今すぐの成果は得られる可能性は低いが、次世代に向けて、感染症に今後も地道に取り組む大切さをとく。 -
感染症のことが、疾患別にその起源とどのように克服したか書いてある。専門知識が不足していて、理解できない記述もあった。ただ、先人達がいかに努力して感染症を乗り越えてきたか、そしてそれがつい最近ということを学んだ。多くのことが学べる本であると思います。
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【琉球大学附属図書館OPACリンク】
https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB12104693 -
"たとえスペインインフルエンザが今襲ってきたとしても、当時の1000分の1位の死亡者で抑えられるはずである"
予想を軽々と超えるCOVID-19すごいね… -
研究者仲間から風疹研究に関して「大変しつこい」とも言われた著者だけあって風疹の章は母子感染した人のエピソードがあったり、思いの強さが伺える。2009年H1N1インフルエンザの状況、ワクチンの種類と特性、など今勉強になることも多いが、官僚組織の人事異動についてごたごた書いているのはどこまで妥当な意見なのか。続巻も読む予定
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この時代にぜひ読んでおきたい一冊です。読み物としても面白いです。