息子ってヤツは

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620323893

感想・レビュー・書評

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  • 室井佑月さんの息子が、中学受験〜中学生になってからのこと。最後には、高校生になった息子のことが書いてある。
    最後まで読んで、この本は「母から息子への壮大なラブレター」だと思った!

    室井佑月さんのこと、私はテレビで見かけるくらいしか知らないのだけど、息子さんへの愛情をすごく感じた。
    息子のことを、私のすべて、とはっきり言えるお母さん。ぶっきらぼうな言葉を使ってるけど、息子にかける言葉は実はすごく考えてて、なるほどーと、何度も納得した。

    息子さんは、四国にある寮のある進学校に進学したそうだ。
    田舎出身の私は、わざわざ寮に入って遠くの学校に行くの?と、室井さんのことに限らず常々疑問だった。
    この本の中で、室井さんが、自分から勉強できる子は、地元の公立のトップ校行けば良い、でも、自分から勉強できない息子には強制的に勉強する環境が必要だ、と書いていて、「なるほどそうか」と納得した。
    そして、寮で過ごすことで、自分の居場所をみつける術を身につけて欲しいという親心。。。
    私はまさに子育て中なので、室井さんの、息子と離れたくない気持ちとの葛藤には、ちょっと涙出た。

    最近、有名人の息子や娘の中学受験に密着したドキュメントを毎年テレビで放送してる。
    私は、あれは本当に好きじゃない。
    視聴者みんなで応援するというテイにはなってるけど、視聴者はあくまでも他人。
    他人は無責任だ。応援してるテイでも、結局一番知りたいのは「結果」「合否」。
    不合格の場合、そもそも無謀だったよねー、とか意地悪な感想を持つ人もいるだろう。
    そんな無責任な他人の好奇の眼に、小学生の子どもを晒すことに、私は違和感を抱いていた。
    そして、この本を読んで、そういうテレビに対する違和感は決定的になった。
    この本読んで、受験て、エンタメじゃないと思ったから。
    息子を安易にテレビで晒さない室井さんは、立派だと思う。

    中学受験の勉強が始まるのは小4だそうだ。
    「受験することは子ども自身が決めた」と言う親もいるかもしれないが、それは親の誘導によって決めたんだろうと思う。
    室井さんは、息子の将来を思って、受験させ、さらに、母である私が地方で寮のある進学校を進めたと、はっきり言っているのが潔い。
    子どもが社会に出て生きていくための武器を身につけてほしくて、親が子どものために進路を導いてあげる、それは決して悪いことじゃないよね。
    室井さんは、出版、テレビの世界で働いているから、努力が必ずしも報われるわけではないとわかってるのだろう。
    だからこそ、息子にはどんな社会になっても生きていける強さを身につけてほしいと思って送り出す。
    私は国家資格を得て働いてる身で、努力がある程度報われたり、正義が尊重される業界で働いている。ルールを守る人が「正しい」とされる業界だ。
    だから、私は我が子にも、どうしても「正しさ」を教えがちである。
    しかし、世の中にはそうじゃない業界もある。正しさだけでは生きていけないところ。芸能の世界はまさにそうだろう。
    そこに身を置いている室井さんだからこその、息子に教えるのは「正しさ」だけではない。身の置き方、身の振り方などの実践的な生き方を教えたいんだろうな、と思った。
    勉強になった。

  • プロローグを読んですぐ頭に浮かぶのは最近話題になってる親子だった。
    「親となれば、子どもの責任も負う義務が生じる。子どもが成人したとしても、大変な事をしでかしたら、それまでどういう教育をしてきたのか責任が問われる。」
    「大変なことが起きてしまった場合、親であるあたしが残りの人生を差しだすといっても、許されないことのほうが多いように思う。いや、許されないだろう、絶対。」

    子育ては本当に大変なのだ。男の子であっても、女の子であっても。
    でも室井さんは凄いな。先々の事まで考えてあえて遠く離れた中学に入学させるなんて。寮生活。会いに行くには飛行機に乗らないと。その学校に入るまでの七転八倒が描かれているのです。
    どんな大人に成長するのか、赤の他人の私でもとても気になります。

  • 最も愛すべき男。
    それは自分が産んだ息子。
    過保護、過干渉だった時期なんてすぐ終わり、自我のまま生きていく息子。
    息子を持つ母親として、楽しく読めた。

  • 言葉が直球なので、読んでいて爽快。
    これ、好き嫌いがハッキリする類の作品だと思うけど、私は好感度を持った。ここまでハッキリ書けるのは、ちゃんと軸があるからだと思う。
    息子くん、めちゃくちゃ優しい人間に育つだろう。こんなに愛されていることを本能的に知っているんだから。

  • 室井佑月がお受験を中心に息子との日々を綴る。作家といいながらテレビのワイドショーのコメンテーターという立ち位置でしかおなじみでなかったので、そういう人という認識だったんだけど、いい本だなと思った。いや、いい本っていうか、いい親子関係だなと思った。色眼鏡で認識していた室井佑月の印象が変わった。
    (娘でなく)息子ってほんと面白い生きものだろうと思う。世の高齢母たちがオレオレ詐欺の被害に遭うのも不思議だけど、愛しくておバカで何かやらかす息子という認識なんだろうな。
    いまけっこう「男の子どう育てたらいいの」って感じの本やネット上の相談とか見かけるんだけど、きちんと育てようとしすぎてドツボにはまってる感じがする。その点、室井佑月はしっかり向き合ってるし、しっかり操縦しているなって感じ。それってこれまでの人生でいろんな男を見てきたからじゃない。過去の男たちが息子をいい男に育てるためのこやしになってる。

  • 室井佑月ってとても不器用なところと自分を欠陥人間って言い切るところに親近感をもってたから、どんなんかなあと読んでみたところ、やっぱり彼女も母親なんだなあって事と母親って凄いなあってつくづく思い知りました。もちろん彼女ならではの独特の感性からの視線にはおおいに楽しませてもらいました。

  • 忙しい中 息子さんに付き合って
    勉強出来るように
    あの手この手で気持ちを盛りたて
    かいがいしく尽くす 室井先生

    中学受験は
    二人三脚立派です!!

  • これは、母からバカ息子への
    熱烈なラブレターである。
    受験勉強をしない息子を、おだてたり脅したりしながら付きっ切りで面倒をみる日々。。。
    『勉強なんて自主性が必要なのだから』
    『母親が付きっ切りで勉強させるなんて・・・』と
    言うのは簡単だ。
    だけど放っておいたら自ら勉強するようになんて
    絶対にならないぞ!アホな小学生男子は。

    母と息子二人三脚で勝ち取った中学合格、
    そこから思い切って手を放した室井さんの勇気はすごい。
    アホであればあるほど、どういうわけかめちゃめちゃ愛おしいのだ、、、息子って。

    こんな愛情たっぷりに育てられた息子君は
    一体どんなナイスガイに育っていくんだろう。
    その成長過程を時々覗き見してみたいと
    心から思うのでした。

  • 息子の中学受験体験記。著者の常に自分の心情や考えを回りの環境や人々等に影響されず、自身の意見をもっている。子供の中学受験に関してもその姿勢を貫き、受験に向かう理由も論理的に息子に説明し二人で受験に向かっていく。
    著者はシングルマザー、自身も忙しく仕事に追われる身である。このような環境で息子にとって将来最良の多彩な人生選択を行えるようにするために、また子供に財産として残せるものは知識と教養と考え受験を決意する。
    中学受験は親が主体になり、引っ張っていかなくてはならないといわれている。忙しい身でありながら真剣に子供に向かい合い、二人三脚で3年強の日々を過ごしていく。私自身の体験も思い出し、懐かしさも感じながら読み進んだ。
    著者は冷静に子供や自身の心情を分析し、子供を受験へと導いていく。そして客観的な視線でこのエッセイに綴っている。文章は短めでリズミカル、とても読みやすい。受験を決意した理由等共感を覚える点も多かった。
    受験後の中学時代のやんちゃな男の子のエピソードなどその後の息子の成長の姿もほほえましい。子育てとは大変であり辛い事も多いが、こんなに面白い体験はなにものにも代え難いものである。

  • ひとり息子への愛が溢れていて泣きながら読みました。シングルマザーで一人っ子の息子を溺愛してしまうので、あえて全寮制の学校に進学させることを選択。胸が張りさける思いをしたのではないでしょうか。乱暴な言葉遣いで心のうちを隠す母心にうたれました。これからの息子さんの成長を一緒に見守りたい気持ちです。

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