主役はダーク 宇宙の究極の謎に迫る

著者 :
  • 毎日新聞社
3.57
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本棚登録 : 86
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620321950

作品紹介・あらすじ

身のまわりに満ちあふれていながらいつもはその存在に気づかないという現象は、ダークエネルギーに限らず、世の中にはかなり普遍的なものだ。新鮮な空気、肉親の愛、餃子を大量摂取した後の自分のニンニク臭、夫の生命保険金をひたすら待ちわびる妻の祈り、などなど、枚挙に遑がない。ダークエネルギー仮説は、自分の人生を見つめ直す絶好の機会である。苦手な人にこそ読んでほしい、目がヒモになる?宇宙論。

感想・レビュー・書評

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  • サイエンス

  • ノリとテイストがちょっとすべっているが、内容はとても面白い本。たまたま購入したため整理と引用は後日

  • 2015.10.24市立図書館
    もともと毎日新聞社のPR誌『本の時間』に連載されていた宇宙論のフロンティアはどういう思考回路の上になりたっているのか、門外漢向けに果敢に解説したエッセイ。
    素人にはきびしい話題も多い点は承知の上で、たくみな喩え話をくりだし世間話にまぎれさせて読み手をつなぎとめる。観察して確かめることが基本の物理科学では対応しきれないマクロやミクロの世界、哲学や宗教と越境し合うような世界(ただし物理学者と哲学者はどうも相容れない天敵同士らしい)、宇宙を研究し解明しようというのは気の遠くなるようなことなんだなと知る。
    終章近くで混ぜっ返し抜きの要旨解説があり、また、あとがきのこの本の目指したものにについての記述こそ読むべきものなので、本文で挫折した人もあとがきだけは読むといいと思う。さらにおまけの「ダーク星人の科学史」がそこはかとなく楽しい。

  • エッセイ形式でダークマターやらダークエネルギーやらについて説明してくれる。とにかく読者が飽きないように、読み進められるようにという気の遣い方が半端ではない。それゆえに筆がすべり気味のところも多々ありますが。イラストがコミカルかつ分かりやすくて良いです。
    軽妙な語り口で、時に「ここはわかんなくてもいいから」とフォローまでしてくれるのですが、それでも「超ひも理論」あたりは良くわかりませんでした。
    が、宇宙の謎について興味を持つきっかけとしては申し分ありません。

    (評価は★★が標準です)

  • ダークマターやダークエナジーの話。 まぁ、量子力学や素粒子の話も多いですが、軽いタッチの文章で、小咄っぽいのもあって読みやすいっス。

    小さい頃賢かった子が「10次元だ」「超ひもだ」と言いだしても、「うちの子がおかしくなった」なんて嘆かずに、広い心で成長を見守ってあげてネw

  • ★★★★★★★くらいすごい。
    これは本当に面白い!し科学的に啓発!
    東大出版会発行のUPを愛読してきた者として、著者の小論はUP連載時から注目してきた。ぜひ一読あれ。
    ・寺田虎彦は、目は閉じることができるのに耳はそうできない、と書くまでもないことを書いた後、「なぜだろう」と問うている。そこが凡人と違う。
    ★全くそのとおり。
    「「眉毛は何の役にたつの?いったん剃った上で、あえて手でかきいれている大人が続出しているのはなぜ?」と子供が聞いてきたらどうするか?
    ★ユーモラス。
    ・電子があるのかないのか、という問いは科学的には無意味。哲学者はこういう問いかけが大好きだからよくない。
    ★著者は哲学者がお嫌いらしい。
    ・しかし、電子とは何か、という問いかけは大いに意味があるが、答えは難しい。
    ・ファインマンは哲学者が嫌いで有名だった。こんなことを本に書いている。「社会学者のある発表で、『社会共同体の個々の参加者はしばしば視覚的表象的経路を通じて情報を受信する』・・・おいおい、これは「人は読む」っちゅうだけの意味やナイカイ!
    ★全くそのとおり。
    植物が人の感情を理解する、などという感傷的な表現に感動するようでは、この先まっくら(ちょっと意訳しているが)。そもそもそんなふうにしか植物を愛でることができないほうが偏狭だ。もしそうなら、野菜を切り刻んでサラダなんか食べれるもんか。
    ・万物は●●だ。万物は薬缶だ!万物はキャベツだ!
    ★きわめてユーモラス。
    ・小学校でπを3.14にするか3にするかでもめたが、物理学者に言わ
    せればだいたい1でおおざっぱに計算してしまうほうがはるかに賢い。
    ・朝永しんいちろうの「光子の裁判」を読んでみたい。
    ・宇宙膨張にゴム風船がよく引き合いに出されるが誤解しやすい点がある。まず、ゴムの表面だけを思い浮かべるように。風船の中身は関係ない。
    ・宇宙はある一点から大爆発で始まった、という場合、この宇宙は全宇宙のことではなく「観測可能な宇宙」のこと。
    ・宇宙ドラマの配役:元素=脇役、ダークマター=準主役、ダークエネルギー=主役。
    ・将来は天の川が「天の土石流」のような感じになるかも。アンドロメダ銀河がぶつかるから。
    ●生物学関係者からのブーイングを恐れずに言えば、進化論もまた・・・。遺伝子がどのように変化して現在の生物種を生み出してきたかを・・説明するkとには成功していないし、ましてや未来に向けて生物がどのような進化を遂げるかを予測することは不可能である。しかしながら、知られている進化の痕跡はすべて偶然ともいえる環境の変化に適応し、生存を可能にしたはずだ、という信念のもとにもっともらしい後付けの説明がなされている。むろん、進化論が間違っている、というつもりは毛頭ないが、通常の物理リオンの受け入れられ方とはかなり異なっていることだけは確かである。
    ●「法則」ってなに?
    ←この観点はとても興味深かった。宇宙には始まりがあると考えられているし、その宇宙の誕生自身もまた物理法則にしたがっていると考えられている。とすれば、法則は宇宙の誕生以前に存在していることになる。
    ・量子力学の多世界解釈とは、ミクロとマクロを切り分ける考え方がそもそも間違い、量子力学の世界があくまでも正解、観測行為は波動関数の収縮をもたらすのではなく、じぶんがどの世界にいるかを後で確認する行為に過ぎない、そして他の世界を知ることは絶対にできない。
    ●特に最後の小説は秀逸!!!!!

  • ★2013年7月10日読了『主役はダーク 宇宙究極の謎に迫る』須藤靖著 評価B
    私たちおじさん世代が学生当時に学んだまたは読んだ宇宙観から電波望遠鏡などの進化により、著しく飛躍していると聞いている宇宙像を学びたくて借りてみた。ダークマターとは要するに何なのか?ダークエネルギーって何?
    インフレーション宇宙の先には何がある?などいくつかの疑問を持って読んでみた。けど、、、結果は????
    我々の目に見える星にある元素は、全宇宙の4.6%に過ぎず、ダークマターが23.3%。あとはダークエネルギーだそうです。

    137億年前に生まれたこの宇宙は、1000億年先にはアンドロメダ銀河と天の川銀河が合体して一つの超銀河となる。
    100兆年先にすべての恒星がエネルギーを使い果たして消失し、宇宙は完全な闇になる。
    我々の宇宙は無数(少なくとも10の500乗個)にあるマルチバースのたった一つに過ぎない。

    うーん。頭がついていかない。。。けれど、それって、東洋哲学やインド哲学で語られていた世界に限りなく近い気がする。やはり、学ぶべきは東洋なのかと考えさせられる。(大学生の時によんだタオ自然学!)

    かなり趣味性の高い本なので、興味のある方にしかお薦めできません。
    難しいことを簡単に書きたいがゆえに、筆者の悪ふざけ的な筆の滑りはあまり好きではなかった。

  • 筆者の冗談がなければページ数は半分になるが、多分最後まで読めないだろう。どっちにしろ、難しい。

  •  宇宙論エッセイ、といっても何のことやらというかんじだが、土屋賢二の書く哲学エッセイを宇宙論に置き換えたような感じと言おうか。素粒子論から宇宙の始原について、果ては人間原理や平行宇宙論まで、スケールの大きい話が楽しく読める。
     宇宙論の話ではあるが、やはりタイトルにもなっている「ダーク」な話がユニーク。筆者曰く、「地球上のすべての物質」は素粒子の標準模型で説明できる。しかし、実は宇宙の大半の成分では説明不可能である。「重力は及ぼすものの自らは光ることのないダークマター」や「宇宙を一様にみたし互いに反発しau斥力を及ぼすダークエネルギー」というものを想定しなければ、宇宙が膨張し、さらに加速中であることを説明できないのだという。
     筆者の語り口はこなれたもので、全体の1/3は冗談でできている-そしてただの冗談ではなく、ちゃんとそののちの本論につながっていく。肩の凝らない科学読み物として、とても上機嫌で読める。

  • もう理解するのは無理かも、と思い始めると
    「そろそろ帰りたくなってきた人、ゴールは近い」と書いてある。
    素晴らしいタイミング

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著者プロフィール

東京大学大学院理学系研究科教授

「2021年 『ものの大きさ 第2版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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