「最後の社会主義国」日本の苦闘

  • 毎日新聞出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620318066

作品紹介・あらすじ

本書は、旧来の日本システムに背を向けた女性と企業の行動を分析し、新たな社会保障システムへの転換のため、何が必要かを明らかにする。これまで「声」にならなかった日本の苦悩をはじめて理解した画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 良書。
    混迷する今の状況も、退出というキーワードが非常に腹に落ちる。
    女性や企業が退出していく中で、自分の退出についても考えさせられる。退出する時は、この本が理論武装の一つになろう。
    声については、この本の書かれた時より様々聞こえるようになってきたかもしれない。変化ではなく変身となるか。
    本書の欠点は、唯一タイトルの邦訳。

  • ふむ

  • 反発と退出という改革の狼煙が封じられている日本は、旧体制に恩恵のある状況が続いていると解き明かした良書。観念だけでなく、時代検証がしっかりしてます。

  • 1980年代までの日本は、女性の専業主婦としての育児、介護などの献身的な支えと会社の終身雇用制による保障により生産性が保たれ社会が発展してきた。しかし女性の意識変化とグローバル化により今までの制度は崩れ緩やかな変化が起こっている。すでに結婚、出産を放棄した女性が増えて少子化の問題が起こっているが、そうした道を選んだ女性も男性主導で作られた制度にぶち当たりフラストレーションを抱えている。企業は海外に出てゆくようになったため就職先が少なくなり若者があふれるようになっている。さらに終身雇用が崩れパート従業員が増えてしまった。これから日本は、生産性を向上させ女性と移民の労働人口への加入を奨励し、仕事と家庭を両立させより多くの子供をもてる家庭を作りあげなければならない。そのためには現状に不満を持つものが積極的に政治に関われるかが鍵である。

  • 裏表紙抜粋
    「日本の成功は、「女性」と「企業」の犠牲で、成り立っていた。日本の女性は、家族の世話を一手に押しつけられてきた。日本の企業は、終身雇用制を背負わされてきた。この両者が社会保障のコストを払いつづけてくれたから、日本式「社会主義」がうまくいっていたのだ。
    だが、情勢が変わり、いまや両者が、静かに、これまでの責務から「退出」をはじめている。女性は、結婚と出産を避けはじめた。企業は、高コストの国内から海外へのがれはじめた。国の崩壊がはじまったというのに、日本はいまだなす術をしらない―。」

  • 和訳のタイトルは結構キャッチーになっている。本題はRace for the Exits。Exitつまり日本における「退出」を論じている。著者によれば、企業と女性が日本の貧弱な社会保障を支えてきたが、すでに両者の日本的規範からの退出は始まっているということらしい。

  • いやぁこいつは、おもしろい、わかりやすい、読後感爽快。でも話の中身は不愉快(^^;)。「社会主義国」という言い方は、労働者に対する配分が多かったという意味。しかも日本はそれを国ではなくて民間がしていた。今の社会保障の情けなさは、企業と女性が、時の政策に反対しないで「退出した」という立論。これで社会保障だけでなく、少子化なども論じてる。その都度の政府の動き、当事者となる人々の動きを明快に書いて、ものごとの移り変わりが飲み込みやすい。野中邦子さんが前半を訳して全体通して見ているそうで、読みやすい。

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