永遠と横道世之介 上

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • / ISBN・EAN: 9784620108643

感想・レビュー・書評

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  • 横道世之介シリーズがついに完結。
    上巻からすでに名残惜しくて、1ページ、1ページ、大事に読ませていただきました。
    割とタイムリーに読んできた自分としては、いつの時代も、あぁ、これが世之介だよなぁと思わせてくれるキャラクターで、まるで実際に存在しているかのでは思わせる。小説なのにここまで生き生きと描ける吉田修一さんはやっぱり巧い。
    体温と同じくらいの温度で、浸かってんのか浸かってないのか、よく分かんないぬるいお湯のような世界観に浸かりながら、最後まで見届けたい。

  • 世之介が亡くなる前一年間の話。上下巻の上巻。

    ブータンから来たタシさんは輪廻転生を信じていて、自分も生まれ変わると信じている。

    そのタシさんの持論が「私が誰かに生まれ変わる。そしたらその生まれ変わった誰かは、きっと今、私が愛している人たちの生まれ変わりの人たちにとても愛されるんだと思います。」

    輪廻転生なんて信じてなかったけど、こう考えると少し素敵だと思う。

    何気ない日常が続く。

  • 38歳から39歳の横道世之介。
    まさか、世之介がもう一度読めるとは思っていませんでした。
    実は世之介のレビューを書くのは苦手です。

    なぜかといえば
    ーこの物語、筆者自ら言うのもあれだが、シリーズを通して、ほとんどストーリーらしきストーリーがなく、もっと言えば、起承転結はもちろん、伏線があって最後に回収などという手の込んだ仕掛けもないのであるー


    私は小説のレビューはいつもストーリーの前半部分をネタバレいない程度に書いてちょこっと感想を最後にまとめるという感じなので、こういうのは私にとってレビューが難しいのです。


    でも筆者は
    ーもちろん筆者を含めてだが、人の人生になどそうそう派手な物語はないのではないだろうかと思うのである。
    もう少し言わせてもらえば、人生というものは、人の一生から、その派手な物語部分を引いたところに残るものではないかと思うのであるー
    と語られています。


    横道世之介はそんなところに残った物語なんだろうなあと思います。
    世之介は、カメラマンとしてひとり立ちしていますが、今ひとつです。
    住まいは下宿屋の大家部分に大家さんの娘のあけみちゃんと事実婚をして暮らしています。
    世之介にはまたしても新しい彼女がいるんです。
    世之介はモテますね。

    世之介の同僚カメラマンのエバの恋人の咲子が言うには
    ースーパー銭湯とかに不感の湯ってあるじゃないですか。体温と同じくらいの温度で、浸かってんのか浸かってないのか、よくわからないぬるめの湯。あのお湯に浸かってるみたいで気持ちいいんですって。横道さんといるとー

    そして世之介の恋人のあけみちゃんは
    ー世之介にはさー。好きな人がいるのよ。
    ああ、この人って、こういう風に好きになるんだなーって。ああ、だから私はこの人のことを好きになったんだなーって。この人に一番好きになってもらえる人は幸せだなーってー

    世之介には亡くなった二千花という元婚約者がいて、あけみには「あけみちゃんのことは好きだけど二番目」と言ったことがあるのです。
    順番をつけてしまうなんて世之介らしくもありますが、せつないけどそれでも世之介がだからこそ好きだというあけみちゃんの心情がわかります。

    そして人生の最後に世之介が思いたいこと
    ーあー、いっぱい笑った。
    あー、いっぱい働いた。
    いっぱいサボって、そんでもっていっぱいいきたなーってー


    世之介の夭逝がわかっているだけにこの言葉は沁みます。


    特に事件は本当に何もなかったように思いますが下巻へ続きます。

    • あちゃ太郎さん
      こんにちは
      図書館に世之介上下あったので、どうしようかなーと思ってコメント参考にさせてもらいました。夭逝しちゃうんですね。吉田修一は、「パレ...
      こんにちは
      図書館に世之介上下あったので、どうしようかなーと思ってコメント参考にさせてもらいました。夭逝しちゃうんですね。吉田修一は、「パレード」だっけ?ぐらいしか読んでないです。世之介は若い頃編?からの読んだ方が面白いのでしょうか?いきなりこれから読んでも楽しめそうですね。
      2023/08/12
    • まことさん
      あちゃ太郎さん、こんにちは♪

      いきなり、これから読むこともできますが、前作から順番に読まれるのが、お勧めです。
      でも、図書館に『永遠と横道...
      あちゃ太郎さん、こんにちは♪

      いきなり、これから読むこともできますが、前作から順番に読まれるのが、お勧めです。
      でも、図書館に『永遠と横道世之介』があったのですか?
      今、予約いっぱいで、借りられないはずなので、ラッキーですね、
      2023/08/12
  • また世之助に会える!そう喜び勇んで手にした本書。相変わらず世之介はいいやつです。そんな世之介もアラフォーになっていました。
    私は学生時代は寮に入っていました。ですから舞台となる「ドーミー吉祥寺の南」での生活の楽しさも味わうことができました。
    第一作(大学生)、第二作(25歳)そして、本作と安定の面白さです。そして世之介をめぐる人情劇場が笑いと時に切なさを与えてくれます。
    「誰に出会うかなんてなかなか自分じゃ選べないじゃん。だったらせっかく会えた誰かを大切にした方がいいんじゃないかな」
    「結局幸せはその低いところにあるような気がするんですよね。」
    どちらも心にささった言葉です。
    何か等身大の普通の自分で読んでいけます。だから、ハラハラはしないのだけれど安心して読み進めることができます。
    後編も楽しみです。

    • どんぐりさん
      上を読み終わってしまいました(>_<)

      下を読むのが楽しみなような、
      寂しいような…


      絶対ロスになる予感です…
      上を読み終わってしまいました(>_<)

      下を読むのが楽しみなような、
      寂しいような…


      絶対ロスになる予感です…
      2023/06/25
    • ちゃたさん
      わー!読み終わったのですね!
      下はもっといいですよ!
      因みに私はロス中です(^-^;
      わー!読み終わったのですね!
      下はもっといいですよ!
      因みに私はロス中です(^-^;
      2023/06/25
  • あらためて思う。やっぱり横道世之介が好きだ。どこが好きかって人を丸ごと受け入れてしまうところ。これ、なかなかできない。
    だから、この小説に出会えて良かったと思う。

    ずいぶん前に読んだ1作目、「続…」も、その「続」と同じ内容だった「おかえり…」も、大雑把にしか思い出せないけど、空気感がずっと変わらずに懐かしい。そうなぜかずーと懐かしい。
    結末が分かっているだけに読み進めるのが切ないんだけど下巻へ。

    キャストの件、ずーと「渡辺大地さん」が適役と思っていたが、今作品だと「青木崇高さん」もある気がしてきた。ちなみに礼二さんは「田口浩正さん」
    そして、映像化するなら、TVドラマでお願いしたい。
    って、誰にお願いしているんだ?

  • うわーん

    もう『上』読み終わってしまった…

    まだ下があるのがうれしいような
    終わりが近づいてきて寂しいような…


    さて、前作から引き続き
    世之介の世界に
    どっぷり浸っているのである
    (もう感想まで世之介調)


    前情報は入れたくないタイプの私は
    何も知らずに読み始めたので
    世之介の現状を知るだけで手一杯。笑

    中盤ごろからようやく掴んでくると
    どんどん登場人物に愛着が湧いてくる

    やっぱり人を書くのがとても上手いですね


    世之介は38歳で
    今まで若者だったのに
    大人になっているわけだけど
    ゆるっとさは変わってなくてホッとする


    何より書き出しからもう心を掴まれました笑
    伏線回収もなにもないと言い切る感じ
    大好きです!!!笑


    一番驚いたのは
    世之介の車の運転が上手くなってること笑


    今回はちょっと長めに間があいているので
    その間に何があったのか知るのも楽しいし
    1.2の作品に出てくる人の名前が
    ちらっと出てくるのも嬉しい


    年齢的に事故のところまで描かれるのかな
    世之介の死を連想させるよな
    ちょっとしたエピソードも散りばめられていて
    下がとても気になる


    読むのがもったいないけど…
    早速読むことにします!


    • あちゃ太郎さん
      こんにちは
      世之介、良さそうですね。上下と図書館にあったので、
      気になって、どんぐりさんのコメント参考にしようと思ったらベタ褒めだったので。...
      こんにちは
      世之介、良さそうですね。上下と図書館にあったので、
      気になって、どんぐりさんのコメント参考にしようと思ったらベタ褒めだったので。吉田修一は、パレード(だっけ?)ぐらいしか読んでません。シリーズものですか?
      2023/08/12
    • どんぐりさん
      あちゃ太郎さん

      コメントありがとうございます(^^)

      改めて自分のレビューを読み返すと
      はしゃいでいて恥ずかしいですね笑


      横道世之介...
      あちゃ太郎さん

      コメントありがとうございます(^^)

      改めて自分のレビューを読み返すと
      はしゃいでいて恥ずかしいですね笑


      横道世之介はシリーズものです!

      横道世之介
      おかえり横道世之介
      永遠と横道世之介

      の3作品あります


      なんでもない日常が描かれているのですが
      その空気感がとても好きです(^^)


      個人的には再読の方が面白かったです!
      読めば読むほど味が出る
      スルメ本です(^^)


      ですがなかなか4冊を2回も読むのは
      大変でしょうから
      もしよければとりあえず
      横道世之介を読んでみてください(^^)
      2023/08/12
    • あちゃ太郎さん
      ありがとうございます。横道世之介から読んでみます!
      ありがとうございます。横道世之介から読んでみます!
      2023/08/12
  • 世之介にまた会えました^_^
    このシリーズ好きなんですよ〜
    これと言って何かが起きる物語ではないですw

    「シリーズを通して、ほとんどストーリーらしきストーリーがなく、もっと言えば、起承転結はもちろん、伏線があって最後に回収などという手の込んだ仕掛けもないのである」と筆者自らも言ってますw

    なので、レビューも特に書くことはないですw
    けど、評価は高いですよ!
    このゆる〜い感じが心地良いです♪
    さぁ、下巻もゆる〜く行こう(*´ェ`*)

    • 1Q84O1さん
      ゆーき本さん
      まずは土瓶師匠と同じく声に出しましょうw

      よ・こ・み・ち・よ・の・す・け

      はい!そして読んでください!w
      ゆーき本さん
      まずは土瓶師匠と同じく声に出しましょうw

      よ・こ・み・ち・よ・の・す・け

      はい!そして読んでください!w
      2023/07/15
    • ゆーき本さん
      (*」´□`)」< よのすけ〜!

      その前に「続 横道世之介」読みますね コソッ( *¯ノᵕ¯*)
      (*」´□`)」< よのすけ〜!

      その前に「続 横道世之介」読みますね コソッ( *¯ノᵕ¯*)
      2023/07/15
    • 1Q84O1さん
      了解っす(`・ω・´)ゞ
      了解っす(`・ω・´)ゞ
      2023/07/15
  • 38〜39歳の頃の横道世之介がカメラマンとして登場。

    バリバリに活躍しているかと思いきや中学生の修学旅行に同行するカメラマンとして、ゆる〜くマイペースに始まる。
    暮らしているのは「ドーミー吉祥寺の南」の下宿で、付き合っているあけみちゃんは元芸者の祖母が始めたこの下宿を今は切り盛りしている。

    今回は、この下宿に住む営業マンの礼二さんや書店員の大福さん、大学生の谷尻くんとのゆる〜い日常。
    そこに加わったのは教師ムーさんの引きこもりの息子一歩。
    やっぱり、ずっと引きこもりなんだけど周りは特に気にする様子もなく、気づいたらちょっとは顔を出すこともある…という一歩。


    なんだろうねぇ。世之介の周りには、いつのまにか誰かがいて何気ない会話の中でほっこりしているという。
    知らぬ間に人が寄ってきて和んでいる。

    自分の人生の最後にどう思いたい?に世之介は、
    「あー、いっぱい笑った。あー、いっぱい働いた。
    いっぱいサボって、そんでもって、いっぱい生きたなーって」

    世之介らしい。

  • レビューは下巻で。

  • 世之介の世界に浸りきれなかった。。。
    確かにいい人なんだけど、
    あけみちゃんに頼りすぎ!

    普通、引きこもりや外国人なんか
    引き受けないよ。
    それで一番じゃないなんて、、、

    とにかく、下巻ではあけみちゃんが
    報われて欲しい!

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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