我らがパラダイス

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 572
感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108261

感想・レビュー・書評

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  • 達者な書き振りで序盤は面白く読んだ。

    だんだん虚構が勝ってくると読み続けるのが苦しくなる。

    中島京子の「長いお別れ」を読んだ後だったため、余計にばかばかしさを感じた。私の軍配は「長いお別れ」に上がる。

    しかし本当のお金持ちの老後、こういう世界もあるのだというセレブ世界の紹介は若いころからの林真理子の得意技だったはず。「格差」を強調せずその世界の紹介だったらもっと面白かっただろう。格差は読者が自分で比べればおのずと浮かび上がるものだから。

  • ルンルンを買ってお家に帰っていた林さんも
    とうとう介護小説を書く様になられたのですね。
    根っからの恋愛小説家だと思っていた林さんだったけれど、ムムム・・・これは面白い。
    これからは老人・介護問題小説家として活躍して頂きたいものです。

    介護の何が辛いのか、読んでいてヒシヒシと伝わって来ました。
    大好きだった親が壊れていく。どうして齢を重ねるという当然の現象で人間の尊厳を損なうような扱いを受けなければならないのか。
    女性に社会に出て働けという割に、介護が押し付けられているのはどういうことなのか、、、
    こういう事態が起こらないように介護保険というものが出来たんじゃなかったっけ?!
    介護のことはあまり詳しくない自分でも
    『介護では、優しい人間が負けるのだ』の一文に
    打ちのめされてしまいました。
    介護問題をシリアスに描くことなく、エンターテイメントに仕立て上げたのは
    新聞の連載小説だということもあるのかな?
    後半は盛り上がり過ぎてハラハラし通しでした^^;
    続編も読んでみたい。

  • 林真理子さんの介護小説、興味津々で読み始めた。
    メチャクチャな突拍子もない事だらけだけど、とても痛快でそして物悲しい気持ちになった。
    誰もが行く道。介護が必要になった老人たちのパラダイス、期待したい。

  • さすが林真理子。
    暗くなりがちな介護の話もこんなに明るく面白く扱えるなんて凄い!
    この後続きがありそうな終わり方が楽しみ。

  • 介護の話は身につまされる。後半はドタバタ。

  • 他人事とは思えないが、ちゃっかりした人は苦手。
    勝入れ替えは自分のことしか考えてない。

  • 今時の老人介護の様子を3人の女性の姿を通して描いた話。
    それに、林真理子さんらしくセレブ要素を加えている。

    読んでいて、「何だかな~」になり、もう読み終わる数ページで読む手が止まり、中々先に進まなくなった。
    そして、結末は「何じゃ、こりゃ」な印象。
    最初は3人の女性が自分の親の介護に悩んでいる様子がリアルに描かれていて良かったのに・・・。
    無理やりドタバタ劇で終わらせたような印象を受けた。

    この物語の主人公の3人は、
    父親が痴ほう症になり、嫂が介護を放棄。
    そのせいで実父の面倒を見る事になった朝子。

    ずっと独身で両親と同居をしてきた、さつき。

    ニートの弟と年老いた母親と3人暮らしの邦子。

    3人はセレブの入る介護施設で職員として働いている。
    そこで働く彼女たちは自分の親を他の入所者になりすまし入れ替えたり、入所中の男性と結婚して自分もその施設の住人になったりする。

    どうも彼女たちのやり方に「う~ん・・・」となり、共感できなかった。
    使われてない所を有効利用するため、自分の親をいい所で過ごさせたいから、って親孝行の思いからしている事とは言え・・・。
    どうもこんなことは卑しい感じがする。
    それに、嫌だな・・・と思ったのは彼女たちが自分たちのしている事を正当化しているという事。
    確かに前半、こんなに介護は大変なんだよ、っていうのを描いていて同情できるけど、だからって人の居場所を勝手に借用していいという事にはらなないし。
    この状況を国民が知ったら80%の人は私たちのしている事に共感する、というのも「何それ?」となった。
    そんな人がほとんどの世の中って、もうメチャクチャやないか・・・と思う。

    この物語には彼女たちの上司で、貧富の差で人を差別する嫌な男が出てくるけど、彼女たちもその男と同じように貧しい人を差別していると思う。
    そうでなければ、自分たちのできる範囲で、分にあった所でよし、とするはずだから。
    上司を嫌な存在で際立たせて彼女たちに同情を集めようという感じがさらに嫌だった。
    さらに後半にも自分たちのしでかした事を他の老人を巻き込んで事件を起こして・・・って、幼稚すぎる。
    その突拍子無さが小説らしいと言えばそうだけど・・・。
    唯一の救いは彼女たちの親が良識をもった人だという事。
    ちゃんとこれは悪い事なんだって意識して謝っている。

    自分のいるべき場所じゃない所にいて快適に過ごしてもそれが幸せなのかな・・・。
    彼女たちがもっと生活に困っていてお金に余裕が全くない人だったらちょっと見方も変わったかもしれないけど、私には全く共感できなかった。

    介護という深刻なテーマを扱ってるけど、林真理子さんらしくコミカルに、深刻になりすぎずに書いている。
    セレブの入る介護施設についてこんな風に詳しくかいてある本はあまりないし、その点では興味深いし、読みやすい本だとは思う。

  • さすが林真理子さん!
    現代社会の問題を色々な視点から書いています。
    結末はめちゃくちゃだったけど、答えはまだないってことかな。

  • テレビドラマを見てからの読了。
    ドラマも、前半はらはらして面白かった。

    「我ら」が望むパラダイスとは一体どんなものかを問題提示し、社会に投げかけた…と思うことにしよう。

  • 広尾の有栖川公園の近く、300坪の土地に建つ、超高級老人ホーム、セブンスター・タウン。入居のためには、八千万円、夫婦だと1億二千万円かかる。下の階は、自立型マンション、上の二つの階は、介護付き居室六十室、七十五床。金持ちも金持ち、人生の勝ち組とそれを捕まえた妻たちのみが入居できる施設。その施設で働く3人の女性。丹羽さつきは、ダイニング担当、田代朝子は、看護師、細川邦子は、受付で。それぞれが自分の年老いた親の事で問題を抱えている。邦子は、少しボケ始めた父親、朝子は、施設に自分から入ると言った母親、さつきは、父親が亡くなり、長年住んでいた家から引っ越さなければならず、ようやく、見つけた物件は、ペット禁止、愛犬を手放さなくてはならない状況に陥る。ある日、住人の星野喜美子が、倒れ、一命は、取りとめたものの、意識が戻らないまま介護付き居室に運ばれてくる。手続きを進めている途中で朝子は、自分の母親と星野喜美子を入れ替えることを思いつく、そして、邦子の父親も。さつきは、アルツハイマー病に罹っている、施設の住人遠藤に求婚され、なぜか施設の住人に。人生のパラダイスは、どうやったら手に入れる事が出来るのか、何もかもが至れり尽くせりの高級老人ホームがはたしてパラダイスと言えるのか、年老いていく自分の親を介護するという大変さをどうやったら軽減出来るのか、悩ましい問題は山積みだなぁー。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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