- Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620108049
作品紹介・あらすじ
五十三歳、大手出版社役員の菊池。医師の妻とは五年前に離婚して、双子の娘たちも独立、再びの独身生活を謳歌していた。同期の出世頭で、次期社長と目されていたが、ある日、末期の膵臓がんに冒されていることがわかる。医師から「余命一年」を宣告されたが、治療を受けることはせず、直感に従って神戸に移住し…。この世界と人間の営みを明かす白石文学の集大成!
感想・レビュー・書評
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がんになった人の気持ちはがんになった人にしか分からないと豪語してきたがんサバイバーの私が、この人はがん患者なのかな?と思わず調べてしまうほど、がんになった気持ちや、気持ちが楽になる表現などもちりばめられていた。
まさに神秘ともいえる繋がりや縁。
出会えたことを嬉しく思える本が読書生活の中で唐突に現れるけれど、本当に出会えてよかったと思えた作品。 -
人と人との「類い稀な繋がり」の「神秘さ」をこれでもかという位に描いた作品と表現すれば身も蓋もありませんが、余命1年と告示された末期癌患者の男性(53歳)の過去ではなく未来へと向かうラブストーリーでもあります。2つの大震災を絡めながら「生きること」「恋すること」を問うた大作だと思います。読み終えるには少々体力を必要としましたw。
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偶然、1年以上前の書評を目にして読んでみたくなった1冊。癌の闘病、余命宣告されることの心情、そしてタイトルの「神秘」が持つ意味が何なのかに興味を持ったからだ。主人公を通して、死ぬとはどういうことか、またそれを前提にして、生きるとはどういうことなのかについての著者の考えがよく伝わり、共感できた。人は最後には一人で死んでいくが、そこに至るまでは、たくさんの人とのつながりの中で生きている。私自身、この物語ほどではないが、子供時代の知り合いと、この一年以内に知り合った人とが、実は知人同士であったことがわかったので、出会いに不思議な縁や必然性を感じる。だからこそつながりを大事にしたい。この小説は、そんな自分の思いを支えてくれた気がした。
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とても不思議な物語です
後味も良し
最後もニヤリとさせられます -
白石さんの本には
人はさまざまな人とのかかわり合いの中で、人生を生きていく
人は独りでは生きていけないし誰かに手を差し伸べられ助けられ生きているのだ
そこには偶然でも、必然でもない、まぎれもないものとして「運命」が存在している
本作品でそれを再度痛感した。
筆者の他作品での達観した男女の恋愛感も凄いのだが、直近作品の「死生観」は秀逸
本作「神秘」はその集大成なのではないだろうか。
主人公菊池を中心にした人間関係の相関図がこれでもか、これでもかと繋がって完成していく様が
てんこ盛り過ぎて気持ちよい
そして丁寧に描かれる「街」と「食」の描写
これはもう個人的な思いであるのだが、神戸の三宮も宮城も東京の下町三ノ輪や巣鴨も
すべて自分自身が接しいたことのある地であるため、その時その時の感情や思い出が見事にリンクしてしまった
白石作品には「人には衣食住が必ず必要でとても大切なこと」として、ほんとうに丁寧に描かれている
菊池の人生には遠く及ばないかもしれないけど一生懸命に慎ましく運命を背負って暮らしていきたいと思う
最後の「あなた」という言葉。グッときます。 -
のっけからジョブスのどっかの大学での講演を引っ張り出して、成功したアメリカ人の実業家がいかにも言いそうなことを喋っているだけ、とまで言い切っているんだけど、本作の主人公は、成功した日本人実業家がいかにも言いそうなことを喋っているというのが実に微笑ましい。曰く、自民党の政治家の親友がいて云々、三井住友銀行頭取とさしで飲んで云々。もちろん自分も出版社の取締役なので、、その彼が金に物を言わせて50を過ぎて自分探しのたびに出るという、これはもう。堪らんわけですよ。
なもんだから、常に冷ややかな目線で読み進めてしまい、諸々の偶然というか神秘にも、そうね、上手くいく人ってこうよね、という一歩引いてしまうのだった。
でもね、信じる者は救われる、っていうね、そこは確かになぁというか実践する価値アリですよ。こう書くとなんか自己啓発本っぽいな。 -
最高傑作
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2020.05.09
母の日おめでとーう
エビフライうまーい
謎の力を持った人々の話
運命なのか天の導きなのか
末期の癌 余命1年 編集者 主人公
余命1年の宣告をされ神戸へ
謎の力を持つ女 やよいを探しに
100歳まで生きると決め
あとは天の導きに任せる
文が長いわりにむむむ。な作品
癌との向き合い方とか
人と人とのつながりとか
運命って言葉一言じゃ
片付かないことってあるよねっていう -
文学