- Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620107967
作品紹介・あらすじ
海に浮かぶ「密室」殺人者はここにいる。昭和34年。満月の夜に不審な死を遂げた少女。若き警察官が追うものは殺人鬼の"幻影"か。わずかな土地に五千人がひしめく炭坑の島。少女の事故死を疑う若き警察官・荒巻の"許されざる捜査"は、しきたりや掟に支配された島に波紋を広げていく。警察の正義は守られるのか。次の満月-殺人者はふたたび動き出すのか。
感想・レビュー・書評
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設定が軍艦島であるところが、魅力のところ。
ミステリー作品として読むと、すぐに犯人はわかって
しまうので、物足りなさを感じた。
ただ、露骨には歴史資料として残っていないが、複雑な人間関係が容易に想像でき、そこがいいところかもしれない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
迫力があった!
軍艦島と言う逃げ場のない場所で起きた事件に、これまた軍艦島ならではの人間関係が絡んで面白かった。
テーマが婦女暴行と重苦しかったが、事故ではなく事件だと感じ追跡していく様にも引き付けられる。
最後のスリル満点の追跡劇にはぐいぐい引き込まれた。 -
軍艦島がモデルのお話
N県H島などとせずに長崎県端島というふうに表記してくれた方がいいのにな、と思いながら読んでました。
実際にあり今は誰も住んでいない場所、とても特殊な島でこんな人間模様がきっとあったんだろうなととても興味をもてながら読めた。
久しぶりに読んだ大沢在昌の作品おもしろかった -
これまでとは一線を画す大沢作品
本作の舞台はあくまでN県H島となっているがそれは長崎市端島=軍艦島がモデルとなっていることは作者も後記で述べている通り。軍艦島というと無人状態の写真を目にすることが多いので、実際の暮らしぶりを想像することもなかったが本作ではその生活感がリアルに伝わってくる。そんなH島で起きた少女の不審な死は事故なのか事件なのか。島という限られた空間を密室に見立て住民5,000人が容疑者たり得るという恐怖、そして島の掟とも戦わなければならなくなっていく警察官の葛藤も上手く描かれている。大沢作品らしくテンポ良く物語に引き込まれる。 -
大沢在昌ってよりも佐々木譲の警察物みたい。面白いけど。
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吉川英治文学賞受賞作。
昭和30年代、孤島に赴任した新米警官が、ある少女の死に疑惑を抱く。
軍艦島をモデルにした作品。
当時の様子がわかって、面白かった!!
(図書館) -
上巻の後半から一気に面白くなる。それまで我慢
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大沢在昌が本気で書いた小説は格式と品があってとにかくストーリーに引き込まれる
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硬派で読み応えのあるミステリー。
長崎県の軍艦島がモデル。海底炭鉱を掘り出すために作られた人口の島は、極めて特殊な構造をしており、人口増加によって住宅を建て増し続け、島全体が立体迷路になっている。
読み始めてすぐに、モデルとなった実在の軍艦島の写真をいくつかインターネットで見たことは、邪道かもしれないけれど、物語をイメージするのに大いに役立った。
新米の派出所警察官の青臭い感じや、島で働く男たちの描写がうまい。
物語の時代背景のせいか、作者の年齢のせいか、いい意味で古いにおいのする作品。
ここで言う古いとは、重厚で堅実で正統派なと言う良い意味での古さ。最近の軽くサラサラ読める作品とは違った、深みが感じられる。