アルバート、故郷に帰る―両親と1匹のワニがぼくに教えてくれた、大切なこと (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596552037

感想・レビュー・書評

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  • どのレビューを見ても、けっこう高評価で、自分の感想を書くのは気が引けるけど・・・。
    私は好きじゃない。特にエルシー。
    炭鉱で働く男の妻になんてなりたくない。
    そう思っていたのなら、そして、あれになりたい・これもやってみたいと思っていたのなら、宿命だの何だのという周りの言葉に流されたり、諦めたりせずに、自分の気が済むまで意志を貫けばよかったじゃないか。
    ホーマーがアルバートと仲良くなったのは良かったし、雄鳥も良い味出してたけど、とにかくずっと私は、ホーマーはエルシーと離婚して、もっとホーマーにふさわしい女性と再婚したほうがいい!と思いながら読んだ。

    それに、フィクションとは言え、巻き込まれるエピソードがうさんくさすぎて、ちょっと引く。
    旅を通して大切なものに気付いた、みたいな感じだけど、それはきっとホーマーだけじゃないのか?と思えてしまった。
    きっとエルシーは亡くなるまで、ホーマーに対して不満タラタラだったろうから。

  • フィクションとノンフィクションを混ぜたファンタジー。ワニをフロリダまで連れて行く新婚カップル、その先々での思わぬ出来事。人間個人としての成長、お互いを思い遣るカップルとしての成長、読んでいくに連れて私も人間としてひとまわり大きくなった錯覚に陥る。もっと前に読んでたら人生変わったかな〜とも思える作品。子供と読みたいし人としてどうありたいかを指し示してくれる。読んで良かった❗️

  • 嘘みたいな本当の様な物語。
    何と無く買って読んだら本当に楽しくスルスルと読んでしまった。他の方のレビューで読み終えられなかったとあったが、薦められて読む様な本ではないと思う。

    なぜかこのタイトル、副題が気になった時、毎日変わらない生活に疲れた時にオススメかも。

  • 〈それにしても、21世紀になって、これほど面白い小説は書かれていないのではないか〉

    帯のアオリであり訳者あとがきの一説でもある。その言葉を信じて、いや、真偽を確かめるべくこの本を手に取った。なるほど、あながち嘘ではないようだ。まあ、他にも面白い小説はありそうだが。YAのような装丁だが、これは中高生には向かないのではないか。ていうか、大人向けでしょ、これ(きわどい描写もあるし)。

    1935年アメリカ。大恐慌から6年が経っている。ウェストヴァージニアの小さな炭鉱町に住む若い夫婦が主人公だ。妻のエルシーはハイスクールを卒業後、しばらくフロリダのオーランドに住んでいたことがあって、炭鉱の砂埃だらけの町で一生を終えるのなんて真っ平ごめんと考えていた。というのも、オーランドでハンサムで脚の長いダンスの上手な男に恋をしてしまったからだ。でもその男は俳優を目指してニューヨークに行ってしまった。故郷に戻ったエルシーは高校の同窓生のホーマーから熱烈なプロポーズを受けていたけれど、炭鉱夫の妻になるのがいやさで断り続けていたが、ホーマーの上司が仲を取り持って二人はいっしょになる。その結婚祝いに、エルシーの元彼から結婚祝いのプレゼントに贈られたのが、一匹のワニ。物語はこのワニをフロリダに帰してやるための旅で起こった、奇想天外な出来事を綴ったものだ。

    著者はこの夫婦の息子(次男)。父と母からの聞き書きをもとにこの物語を書き上げた。本当の話か作り話かはさておき、若い夫婦がお互いの心の中にあるものに気づくまでの数々の遣り取りや心の動きは、いちいち身に覚えがあってちくちくと突き刺さる。二人は千キロの道のりをビュイックで走っていく。後部座席にはたらいに乗せた120cmにも成長したワニのアルバート。そしてねどこからともなく飛び込んできた名前のない美しい雄鶏。アルバートはエルシーにとってわが子も同然。いや、ここではないどこかへ自分を連れ出してくれるはずだった、かつての恋人の忘れ形見みたいなものだ。エルシーにとってこの旅は「あったかもしれないもうひとつの人生」を探す旅だったが、ホーマーにとってはエルシーの心を取り戻す賭けだったのではないだろうか。いずれにせよ、これは〈宿命〉(キスメット)だった。

    旅の果てで二人が手に入れたものはなんだったか。人生という名の冒険はに終わりはないのかもしれない。

    最後に。これ、きっと映画化されると思いますよ(笑)。

  • 若くして結婚した二人が旅で様々な出来事に遭遇し、自分のいるべきところを見つけ出すロードムービー物。

    かなり面白く読めたが、遭遇するたくさんの奇想天外なエピソードに興醒めすることもあった。やり過ぎじゃないかなと。

    それにめげさせずに最後までぐいぐい読ませたのは、ワニ、雄鶏、旦那さん、奥さんの描写が秀逸で、それぞれが物語に欠かせない役割を持っていることにあると思う。

    子供だけどいざという時助けてくれたワニ、神のように俯瞰して世界を見ているかのような雄鶏、真面目で誠実でたくましい夫(作者の父)、何より奥さん(作者の母)の生き生きとした描写には、読んでいて何度も笑顔になることができたし、頭の中に色々な場面の情景が何度も浮かんできた。
    しょうもないと思う部分は確かにあったが、そのあたりはとても素晴らしいと思う。

  • 何のおすすめで読もうとしたか忘れたけど思ってたのと違った。途中であきらめた。

  • …ここに来てみたらば、存外高評価でビックリしました(笑)
    合う合わないの違いかな…。 

    優しい文章でサクッと読めてしまいます。
    (児童文学かと思っていました!)
    年寄りが、若い時分のやんちゃぶりをハデに脚色して
    語った中から教訓めいた部分を放りだす様な作りです。

    勿論素敵な部分も沢山在ります。
    時間は誰かにあげられる最高のプレゼント、なんて
    ハッとさせられました。

    似たような作りでも「卵を巡る祖父の戦争」とは
    比べ物にならない。
    …そしてなによりエルシーが奔放で我儘すぎて…
    それが良いって云う方にはご褒美なのかも?
    登場人物が好きになれない小説は駄目でした><

    雄鶏&ホーマーは好きでしたよっ

  • 1930年代の米国。炭鉱の鉱夫のホーマーと妻のエルシーは、ペットのワニ、アルバートが大きくなったので故郷の川に帰してあげる旅にでます。
    銀行強盗や労働紛争に巻き込まれたり、野球選手や看護婦になったり、スタインベックやヘミングウェイと知り合ったり、まさに波乱万丈。アルバートの帰る先はどこ?

    なんとも奇想天外なお話。楽しめます。

  • 結婚祝いにもらったワニのアルバートと住みやすい故郷のフロリダに帰すため、ヒッカム夫妻は旅に出る。

  • 読み終わるのがさみしい、と久々に思えた作品。

    ペットのワニ、アルバートとさよならする旅のはずが、破天荒な脱線の連続...アルバートは球団のマスコットになったり、映画に出演したり...で、湿っぽい別れの予感はどこへやら。ヒッカム夫妻の思惑も(それに職業も)刻々と移ろって落ち着かず。アルバートを本当に手放すのか (手放さないでほしい!)も含め、ギリギリまで結末が読めません。

    しっくりいかない夫婦関係と、その鍵を握るアルバートに寓意を読み取ることもできそうですが、実話に基づいているというからニクい。
    アルバートの一挙一動と「ヤーヤーヤー」(鳴き声!)に和み、小気味好いジョークに脱力し、最後はホロっとさせられる......深読みはさておき、物語の純粋な「楽しさ」に肩までつかる、贅沢な小説です。

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