人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596551177

感想・レビュー・書評

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  • (引用)
    冒険好きの若き英国人教師トムは南米旅行中、近くの海岸に立ち寄った。待ち受けていたのは重油にまみれ浜辺で生き絶える無数のペンギン。だがその中にただ一羽生き残っていたペンギンがいた。助けられたペンギンは彼に懐いたのか海に帰ろうとせず、やがて“フアン・サルバドール”と名付けられ、トムがはたらく学校の屋上で暮らすように。教師とペンギン、ふたりか最高の親友になるまでを綴った実話。


    ペンギンの実話なんて初めてで、ドキドキしながらページをめくっていました。ペンギン好きの私としてはたまらない小説です。
    最初はトムに対して警戒をしていますが、こびりついた重油を丁寧に洗い流していると次第に敵対心が消え、「そういうことだったの?やることはやった?」と言うように見つめてくる姿が愛おしい。
    ペンギンは私の思っていた以上に賢い生き物だったのだと、この小説を読んで分かりました。フアン・サルバドールはよく人の声を聞き、反応を見ています。

    読み終えたあとは私もフアン・サルバドールと友達になった気持ちでいたので思わず涙してしまいました。このあいだ読んだ『セーヌ川の書店主』とどっちが良かったかと聞かれたら一二を争うくらい好きな小説。

    あと、途中途中に挟まれているフアン・サルバドールのイラストも表紙に負けず可愛らしいのでぜひ読んで欲しい。個人的にはオートバイにちょこんと乗った姿のイラストが一番好きです。

  • ペンギンとの別れの場面で、ふとドラえもんを思い出していた。大人になったのび太がドラえもんを子供時代の友達だといっていたこと。

    出会いと別れなんて当たり前すぎるけど、「ありがとう」や「お世話になりました」と面と向かっていえるのは割と奇跡みたいなことで。

    そして。やはり記録って大事だよな。音声や映像として。会記憶を補完してくれるものとしても。
    映像が残っていてよかった。

  • 1970年代、まだ二十代だった著者は冒険を求めてイギリスからアルゼンチンへ英国系男子寄宿学校の教師として渡る。学校には教師用の住まいも用意されており、休暇中にアルゼンチンや周辺の国を旅してまわっていた。そんな休暇中の旅行で行った隣国ウルグアイで重油にまみれたペンギンと出会う。たくさんのペンギンが重油まみれで死んでいる中で一匹だけ動いているのを見つけてしまう。借りていたアパートに連れ帰り、ふろ場で必死に油を落とす。最初は激しく抵抗されるが、やがて信頼してくれるようになり、アルゼンチンへ連れて帰り寄宿舎の屋上で飼うことになる。

    ペンギンは集団で暮らし仲間意識がとても強い鳥だそうだ。ペンギンはファン・サルバドールと名付けられ、学校中の人々(生徒・職員・教員)に愛され、ファン・サルバドールも学校の人々を仲間として意識していたようだ。著者は、動物園に任せることや、自然に返す道も模索するが、結局ファン・サルバドールは、みんなに愛され寄宿学校で幸せな生涯を過ごした。

    五十年前のアルゼンチンは政情が不安定だったうえに、パソコンどころか電話事情さえ現代とは比べ物にならない頃だった。そんな中で、英国からアルゼンチンを目指した青年と、人間の過誤で死にそうだったペンギンとの愛らしくもてんやわんやの日々を楽しく読んだ。

  • 運命の出会い。

  • 結末には泣きそうになりました。

  • イギリス人教師が、アルゼンチンの学校で教えていた時に飼っていたペンギンをとりまく、当時の生活の話。旅行先のウルグアイで見つけた油まみれのペンギンをアルゼンチンの学校の寄宿舎に連れ帰り、ペンギンと過ごした日々を中心に、南米各地への冒険談を交えて語っている。人懐っこいペンギンの生態、生徒との触れ合いなど、心温まる体験談。

  • この本は著者のトム・ミッチェルさんが20代の頃に経験したことを40年後に振り返って綴ったものです。

    アルゼンチンの全寮制男子校で教師をしているトムさんは、ある日休暇中に訪れたウルグアイの海岸で大量のペンギンが重油とタールにまみれて死んでいる悲惨な光景を目撃します。しかし、その中でたった1匹だけ生き残ったペンギンがいました。このペンギンとの出会いがその後のトムさんの人生を大きく変えていきます。

    トムさんが重油とタールを洗い流し、すっかりキレイになった後もそのペンギンは海に帰ることなく、トムさんの後ろをよちよちとついてきてしまいます。この理由は本の最後に明らかになるので、ぜひ読んで確かめてみて下さい!

    そしてトムさんはそのペンギンをアルゼンチンに連れて帰り、学校の屋上で飼うことになります。そこで、この人懐っこく聞き上手なペンギンはすぐに人気者になり、生徒や教師など多くの人々と関わり、様々なことを教えてくれ、多くの人々を救ってくれます。

    とても心温まるストーリーで、文章もユーモアが溢れており、思わず笑顔になれるようなところがたくさんあります。個人的にはトムさんと生徒たちのやりとりもすごく好きなのでぜひ読んでほしいです。

    冒険好きなトムさんの冒険談もドキドキ・ワクワクさせてくれます。
    また、アルゼンチンの不安定な政治状況下での生活や環境問題への危惧など考えさせられる部分もあります。

    この本を読めば、ペンギンの可愛い仕草に癒され、ペンギンのことがさらに好きになること間違いありません!
    読んで良かったと思える本なので、ぜひ一度手に取ってみて下さい!

    11月28日ビブリオバトル チャンプ本
    蔵書なし
    spring

    • tokudaidokusho2さん

      読み終わった後に、ほっこりするような気持ちになる本が読みたいと思っていたので、是非読みたいと思う。ペンギンの可愛さにも癒されたい。

      ...

      読み終わった後に、ほっこりするような気持ちになる本が読みたいと思っていたので、是非読みたいと思う。ペンギンの可愛さにも癒されたい。

      パオパオ
      2017/12/05
    • tokudaidokusho2さん
      ペンギンがトムさんの後ろをついて離れなかった理由がとても気になりました。ペンギンのかわいさやトムさんの冒険談、ペンギンと生徒たちとの交流など...
      ペンギンがトムさんの後ろをついて離れなかった理由がとても気になりました。ペンギンのかわいさやトムさんの冒険談、ペンギンと生徒たちとの交流など、レビューを読んでいてとても面白そうな出来事が盛りだくさんだと思ったので、是非一度読んでみたいです。
      にたま
      2017/12/05
    • tokudaidokusho2さん
      紹介された後、読んでみたが、ペンギンが可愛い!しぐさや様子が伝わってくる文章で楽しく読めた。子どもたちとの触れ合いもまた良い。個人的にはペン...
      紹介された後、読んでみたが、ペンギンが可愛い!しぐさや様子が伝わってくる文章で楽しく読めた。子どもたちとの触れ合いもまた良い。個人的にはペンギンを帰す場所を探しに行く旅部分の記述はあまりなくてもいいかなと思った。
      kame
      2018/11/13
  • すごく読みたく思ってた一冊。
    ようやく図書館から手元に届き、一気に惹き込まれました。

    人とペンギン、
    種族を超えた愛の溢れる繋がりに心が温まると同時に、
    突然訪れた別れに涙しました。
    サルバドールを描いたイラストが本当に愛らしかった。

  • 野生動物との出会いと別れ。予定調和の進行ではあったが、1970年代のアルゼンチンの世情、教師としての立場、生徒たちとのエピソードなどを交え、ななかなか興味深く読み進められた。悪くはなかった。

     ストーリーは単純。20代の若き英国人教師がウルグアイ旅行のさなかに海岸で拾ったペンギンを、勤務先のアルゼンチン英国系寄宿校へ連れて帰り、しばらくの間世話を焼くお話。ペンギンが石油事故でタールまみれのところを救出し、ひやひやしながら税関を突破、エサのこと糞のこと、運動、水浴び、泳ぎなどを試行錯誤し、仲間や生徒たちの助けを得ながらこなしていく日々の暮らしを、ペンギン(『かもめのジョナサン』(スペイン語版)に因みファン・サルバドールと名づけられる)の愛らしい仕草と驚くほどの人間社会への対応力を交えて描く。
     ノンフィクションなだけに、時系列に物語を紡いでいるのみの記述が惜しい。起承転結や山場がないワケではない。ディエゴ・ゴンザレスというメスティーソ(白人と先住民との混血)の生徒が、ペンギンとの出会いを通じ、いじめられっこから一躍水泳選手として学校No.1へとなっていくクダリは、本書の見せ場といっていいエピソードだ。ただ、それを描くにあたり、ディエゴの話が当初から語られているわけではなく、その章になって突然語られ、カクカクシカジカで学校を代表する水泳選手になりました、自信を付けた彼は他のスポーツ、学業でも好成績を収めるようになりました。とサラっと綴られる。ストーリーテラーとして巧くない。

     個々のエピソードもさほど繋がりがなく、ペンギンが学校生活に馴染んでくると話の展開がやや倦んでくるのも否めない。挿絵や個々のエピソードは楽しいのだけど、なんだか物足りない。そうだ、昔見たカルピス名画劇場(だっけ?)の『あらいぐまラスカル』が思い出される。アニメで見たが、原作があり、スターリング・ノース(Sterling North)というアメリカ人作家が自分の少年時代を振り返って書いた「はるかなるわがラスカル」(1963年)であり、こちらもほとんどが実話だそうだ(by Wikki)。あのアニメシリーズは「フランダースの犬」にせよ「アルプスの少女ハイジ」にせよ、ちゃんとストーリーがあったのだが、こと「ラスカル」に関しては、どういう話だったかがトンと思い出せない。最終回の記憶でさえ不鮮明だ(たぶん、森に返すことになるとかだと思うが)。
     本書も、読んでいる最中は、そんな印象があって(少年時代ではないが昔を思い出して書いている辺りも似ている)、ゆる~いまま読み進んだ。フアン・サルバドのあっけない最後(ドラマ性に乏しい)も、いっそうラスカル感を煽ったところ。

     山場のなさ(あるけど淡々と綴りすぎ)、後半のドラマ性・ストーリ性の乏しさから、悪くないんだけど☆2つくらいかなと最終章に進んで、ちょっと『ニューシネマ・パラダイス』的な仕掛けにウルっと来て☆ひとつ追加だ。今ならスマホで動画も画像もいくらでも保存できるけど、1970年代という時代がそれをさせなかった。そんな中で見つけたビデオフィルムが感動を付け加えてくれたのは、作者にとっても拾いものだったのではなかろうか。

     単純だけど映像になってもいいね、と思った。そういえば映画化の話も出てたのでは?とググってみたが、そちらは「ペンギンが教えてくれたこと」という別のお話のようだ。しかもペンギンと名づけられたカササギの話らしい。なんだかなぁ(笑)

  • 遡ること40年ほど前の実話。
    当時アルゼンチンで教師をしていたイギリス人の筆者は旅先のウルグアイの海岸で重油にまみれた多数のペンギンの死骸から一羽の瀕死のペンギンを見つける。
    葛藤の末にこのペンギンを助けることを決めた筆者。悪戦苦闘の末に何とか一命を取り止める。すっかり元気になったペンギンは思いもよらない行動特性で周囲を幸せにしていく。
    忙しい日々のなかで一息つきたいときに手にとってみるといいかも。

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