ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち (ハーパーBOOKS)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550682

感想・レビュー・書評

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  • 「人種差別」を言葉として知っていても、実際の職場や生活においてどのように行われるものなのかよく分かっていませんでした。
    日常のルール、会話、視線など、ありとあらゆる場面で行われる差別行為はされる側にとって理不尽で堪らなくプライドを傷つけられるのに対し、している側は生活に根付いており疑問にも思いません。あまりにも自然に差別という行為が行われていることにまず衝撃を受けます。
    主人公であるNASAの黒人女性スタッフ3名もまた、仕事の業績や成果とは異なる次元で不当な扱いを受け、何度も悔しい想いをします。しかし彼女たちは不平不満をぐっと飲み込み、努力と実力で現状を打破していきます。その健気で真っ直ぐな姿勢は、読者を励ますほどの強さがありました。
    先に観た映画も三者三様の個性が光り、脇を固める出演陣も素晴らしかったです。

    他の方もレビューして下さっていますが、二転三転あったという邦題「ドリーム」は日本人受けを狙ったにしてもあまりにも安直というか…原題が最もこの作品を的確に表現していると思います。

    ・原題:『Hidden Figures』

  • この本は、たぶん今まで、誰も焦点を当てたことがない人たちの物語だ。電子計算機(コンピューター)が登場する以前の計算手(コンピューター)、しかも黒人女性という当時では二重の差別と偏見の中で、活躍した人たちの物語だ。
    もうそれだけで、読む価値は十分にある。

    ただし、このどうしようもなくダメダメな邦題には文句を言いたい。なんじゃい、この「ドリーム」っていうのは? 素晴らしい中身と全然あっていないじゃないか。
    たぶん、第22章に出てくるキング牧師の有名な演説"I Have A Dream"の"Dream"がこの陳腐な邦題の元なのかもしれないが、それもちょっと違うと思うのだ。
    何がどう違うのかは、是非本書を読んで確かめてほしい。

    一方、副題にある「名もなき」は意味深い。
    計算手の彼女たちは、「ドロシー・ヴォーン」や「メアリー・ジャクソン」という立派な名前ある人間とみてもらえない。ジョン・グレンに"the girl"と呼ばれていたのが象徴的だ。原題の"Hidden Figures"の意図をよく表していると思う。

  • アメリカの航空研究と、それに続いた宇宙研究を支えた3人の黒人女性を中心とする物語。彼女たちは計算手、技師として白人男性優位の世界の中で、たゆまず前進し、国を支え、多くの人に夢を与えていった。決してあきらめることなく、また声高になりすぎることもなく行動を続けた彼女たちの姿には、率直に心うたれる。

    アメリカの地理的なバックボーンがないと、正直ついていきづらい箇所もあった。それでも社会に大きな貢献を果たしながらも、歴史に埋もれてきた人たちの生きざまからは、多くの学ぶことと感動を得られる。

    昨年公開された映画の原作で、その映画が大変良かったので手にとってみた。ドキュメンタリーなので、映画ほどのドラマチックな盛り上がりはない、でもじっくりとじんわりくる一冊です。

  • 戦後アメリカにおける黒人女性の活躍を、社会運動を通じてではなく、仕事ぶりを通じて再発見している良書。

    宇宙計画をめぐる理科系の話題も、女性技師や女性計算士たちの奮闘を通じて語られるので、とても理解しやすく、じっさいに理解したような気分になれました。

    また、訳書としてもすばらしいです。気づけば、訳文を読まされている感じがほとんどしないままに読了していました。

    映画も(タイトルを除いては)とてもよかったです。

  • 女性であり、黒人であったために、分厚い社会的な壁にぶつかり、それでも運命を切り開いた人々の物語。

    映画がいかに脚色されていたのか。現実は淡々と、複雑に、進んだのだ。

  • 歴史は誰か1人の英雄が作ったわけではない。
    たくさんの名もない、数えきれない人たちが
    身を削って1つずつ積み上げていった成果。

  • 映画を観た時の感動が甦ったとともに、映画が「物語」の一部に過ぎないと知らされた。

  • ノンフィクション

  • アメリカの黒人の歴史と、宇宙開発の歴史にめちゃくちゃ興味が出たので類書を検索中。

    登場人物がコミュニティ活動や教育活動に積極的なのが印象に残った。彼女らがとても進歩的だったのもあるだろうけど、それにしてもすごい。
    当時のテクノロジー・インフラでは地域コミュニティが生活安定のために重要だった、勝ち取ってきた権利を拡大・継承していくことへの意識が高かった、という要因が思いついた。
    仕事の話は簡単に共感できるけど、こうした私的活動への考え方は自分にはなかったので、興味深い。

  • 映画の方を見た。見てよかった。主人公の女性たちがとてもカッコよかった。私も数学頑張ったらああいう風になれるんだろうか…?
    ともあれ、私も頑張ろうと見終わった後に思える作品だった。

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