怪奇日和 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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本棚登録 : 129
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596541239

感想・レビュー・書評

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  • あとがきで、作者が愛する中篇小説は「どこをとっても必要不可欠、いっさいの無駄がない。」と書かれてましたが、正に、これに納められている4つの中篇がそうだと思いました。全てがテイストの異なる、怪奇幻想の要素もあるのですが、人間ドラマとして、考えさせられつつ、楽しく読ませていただきました。   

    「スナップショット」は、不思議なカメラの登場でホラーに展開するかと思いきや、主人公とシェリーのやりとりが、悲しく展開されるのが切なかったです。

    「こめられた銃弾」。久々に、結末を読者の想像に委ねる小説を読みましたが、この終わりかたが、ものすごく怖い、が、絶品だと思いました。二つの異なる恐怖が同時に迫りくる、これが現実だったらと絶対に思いたくないような終わりかたです。        

    「雲島」は、スカイダイビング中に雲に着陸してしまった(突き抜けずに雲の上に立てた)若者の、SFっぽいのですが、私は青春物語だと思いました。非現実的な場所で、過去を振り返りつつ(彼には片想いしている女性がいる)、現実を見つめ直す主人公が、吹っ切れて思うままに行動する姿は感動的で爽快でした。爽快さがダイビングと上手く結び付いているのが、また素晴らしいです。                 

    「棘の雨」は、近未来の世界を見ているような舞台で、自分の意思で人生を切り開いていく主人公に、感情移入しました。差別問題のメッセージに考えさせられながら、最後の意外な結末でエンターテイメントとして、すごいと思いました。 

    どの中篇も、単に不思議で怖いだけでなく、色々な考えさせられる要素が入っているからこそ、味わい深いのだと思います。時間をおいて、また読んでみたいと思いました。

  • 秀作と凡作混じり。

  • お父さんのSキング様同様なオーセンテックなストーリーを緻密なキャラ心情表現で爆あげしたのを今風にバージョンアップしたような感じが好き♪

  • アメリカの社会問題や差別問題を取り入れつつ、いろんな登場人物たちが収束していく様とハラハラ感、オチのムナクソ悪さが最高だった『こめられた銃弾』が一番好きかな。
    『棘の雨』がそのつぎに好き。

  • とっかかりはよかったけど、モダンホラーは苦手分野とわかりました。文体もちょっと不得意。

  • 邦訳タイトルは「怪奇日和」だが、収録4作品はどれもホラーと呼ぶ類のものではなく、ファンタジー、サスペンス、SFにミステリーといった趣き。
    「こめられた銃弾」はアメリカならではの銃問題が題材とされており、映像作品を観ているような気分で読み進めることができるが、あまりにも胸糞悪い結末になかなかの衝撃を受けた。
    不思議な雲を舞台に、1人の青年が来し方を振り返って見つめ直し、呪縛から卒業して再生を遂げていく物語である「雲島」は、爽やかな成長譚として気持ちの良い読後感を得ることができた。

    収録順(特に頭に持ってくる作品)については、これで良かったのかどうか、ちょっと微妙な気がしないでもない…。

  • 文庫で1407円!思い切り開かないと中心が読めないほど端から端まで字がびっしり!先が知りたくてどんどん読み進みあっという間に読了

  • 四話の中編集。思いの外時間軸が長かった。認知症のシェリーと向き合う夫が切なかった「スナップショット」スーパーナチュラル要素がないけど、収録作中いちばん恐ろしかった「こめられた銃弾」おぬるい主人公が異界からの脱出に挑むファンタジー「雲島」未曾有の災害の中旅する主人公が知る驚愕!「棘の雨」。いずれも楽しませていただきました。

  • 久し振りに邦訳が出たジョー・ヒル。スリラーやサスペンス分野で存在感が日増しに大きくなっているハーパーBOOKSからの刊行だった。
    果たしてジャンル的にホラーか? と言われるとちょっと疑問符がつくところなのだが、エンターテインメントとしては非常に面白い。また、翻訳家が1編ごとに違うので、訳文のテイストの違いも内容に合っていたと思う。

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