ゴーマニズム宣言SPECIAL ウクライナ戦争論

  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594093266

作品紹介・あらすじ

帝国主義の時代に“逆回転”する世界――。
日本は戦争の当事国となる覚悟はあるのか?

 ロシアによる侵略行為によって始まったウクライナ戦争は、すでに両国あわせて10万人を超える死者を出したという報道も出ている。

 開戦当初こそ軍事大国・ロシアが圧倒的優位と見られていたが、戦況は一進一退の膠着状態が続いており停戦への道筋は一向に見えない。

 9月の終わりには、ロシアのプーチン大統領が30万人規模の兵士を戦線に追加投入するため部分的動員礼を発令。銃を携えたロシア軍兵士の監視のもと行われた住民投票を根拠に、ウクライナ東部と南部4州のロシア編入を一方的に宣言するなど、ここにきてなりふり構わず戦争を継続させる姿勢を見せている。



 なぜ、プーチンは苛烈な経済制裁を受け、国際社会から孤立してまで、侵略戦争という暴挙に出たのか?



 その答えは、ロシアとウクライナのナショナリズムの歴史に深くかかわっている。この先、プーチンが「ロシア劣勢」と判断したら、そのとき世界は核のリスクと真剣に向き合うことになるはずだ。そして、ウクライナがロシアに屈したら、次は強権国家・中国によって台湾が主戦場になるだろう。そうなれば、日本は戦争の当事国にならざるを得ない。いま、世界は大きな歴史の転換点に立たされており、日本人は覚悟を求められているのだ。



 1990年代終わりに、国論を二分する大論争を巻き起こした90万部突破のベストセラー『戦争論』から25年――。「国家」とは何か? 「正義」とは何か? 漫画家・小林よしのりが「お花畑国家」・日本に再び警告する。



序 章 終わりなき日常は来ない

第1章 ウクライナ戦争と生命至上主義

第2章 ロシアの悪を知らんのか? その1

第3章 ロシアの悪を知らんのか? その2

第4章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史1

第5章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史2

第6章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史3

第7章 戦時国際法を破壊するプーチン

第8章 国際法無視は人類に対する攻撃

第9章 免疫の軍事訓練は国防と同じ

第10章 レイプ軍の伝統 その1

第11章 レイプ軍の伝統 その2

第12章 W徹の妄言

第13章 ドンバス・ロシア支配のカオス

最終章 占守島の戦い



『ゴーマニズム宣言SPECIAL ウクライナ戦争論』目次より

感想・レビュー・書評

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  • 小林よしのりさんの『ゴー宣』はここに載せている他にも数冊読んでいて、毎回すごく洗脳されている私。
    やっぱりベテラン漫画家の力ってすごい。

    今月に入って佐藤優さんの本4冊読みました。
    5日前に読んだ副島隆彦さんとの共著
    『欧米の謀略を打ち破りよみがえるロシア帝国』は、
    この『ゴー宣ウクライナ戦争論』とは真逆の意見でした。

    佐藤優さんの本すでに140冊読んだ私にとって
    佐藤さんから学んだことは多く、
    本当に佐藤さんのおかげということもあるんです。

    でも今回のウクライナ侵攻についての佐藤さんは、
    何かおかしいと思っていました。
    特に副島さんが変わった人だから、
    それなりの対応になるのだろうけど、
    佐藤優さん自身が本音を語っていないような。

    ここでの国際政治学者篠田英朗さんとグレンコ・アンドリーさんとの鼎談に佐藤優さんの名前がでました。
    篠田さんはこう言います。

    〈実は、日本の”どっちもどっち論”を唱える知識人は、いくつかのパターンに分類することができます。まず、典型的なのは、日本維新の会参院議員の鈴木宗男氏や元外交官で作家の佐藤優氏など、もともとロシアと関係が深い人たち。彼らはウクライナ戦争について論じるとき、冒頭で「侵略はよくないが」とか「ロシアも悪いが」などとひと言必ず断りを入れるのですが、最後は決まって「だからといって、ロシアを追い詰めてはいけない」と擁護論に傾いていきます。彼らはこれまでクレムリン(ロシア政府)とのパイプを武器にキャリアを築いてきており、こういった態度をとるのは、ある意味、当然の話。だって、本当の意味で「親ロシア派」なわけですから(苦笑)〉

    佐藤優さんの本でおなじみの東郷和彦さんについても
    ここでは批判しています。

    北方領土についても、少し前に佐藤さんは「進展がありそう」と語っていましたが、ウクライナ侵攻のせいで無くなったとは思えなかった私。
    そうしたらよしりんは「北方領土は日本からカネを引き出す打ち出の小槌!」と、私がうすうす感じていたことを言ってくれました。

    もっと言うなら、佐藤さんが現役外交官時代に宗男さんと一生懸命解決しようと頑張っていた北方領土問題、周囲がやめさせようと(だって打ち出の小槌でしかないから)して、その結果鈴木さんと佐藤さんは拘置所に入れられてしまったというのが真実なのではないか?と私は思い始めました。

    まあとにかく、この本でロシアの恐ろしさについてはよーくわかりました。
    この前に池上彰さんによる『知ら恥ベストシリーズ2 知らないと恥をかくアメリカの大問題』を読みましたが
    ロシアと中国に比べたらアメリカの問題なんて大したことないと改めて思いました。
    日本はアメリカに面倒みてもらって、本当に良かったです。

  • 【あらすじ】
    1990年代終わりに、国論を二分する大論争を巻き起こした90万部突破のベストセラー『戦争論』から25年――。「国家」とは何か?「正義」とは何か?漫画家・小林よしのりが「お花畑国家」・日本に再び警告する。

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    『ゴー宣』を初めて読んだのは確か高校生のときでした。そのときに「意見をはっきり述べる」というエネルギーにあてられたのをよく覚えています。あれから20年経ちましたが、この人のエネルギーの強さ(言葉選びの過激さ、とも言えますが)は全然変わっていないなと思いました。意見の良し悪しを問わず、この勢いで意見を述べられたら、確固たる自分の意思がない人はぐいっと流されてしまうのではないかと思います。私自身も盲目的に受け入れないように気をつけなくちゃなぁ…汗
    とはいうものの、確かに筆者の言う通りだと思うところもあります。私が特にそう感じたのは「日本人の当事者意識の無さ」です。私は筆者の毛嫌いする「どっちもどっち」派の人間ですが、それはロシアの行為を是としているというよりは、善悪二限論になるとどちらかが完全に消滅するまで問題が解決しないからです。つまり、核戦争→先進国滅亡の未来でしか終わらないということです。それを避けるためには妥協点を見つけて問題を落ち着ける必要があり、互いに「言いたいことはあるが、相手の言い分もある程度認めよう」と考える必要があると思います。でも、自分の住む国に他国が理不尽に攻め込んできたら同じことが言えるか?と問われると「うーん…」となってしまいます。つまり、自分事でないから、安全な立場からお利口さんな物言いができるんだなぁ…と感じたわけです。
    日本は海を挟んで中国・ロシア・北朝鮮という国と対峙しています。また、韓国とも決して関係が良いとは言えません。縦に長い日本の領土を3国ないし4国から一斉に攻められたら、日本国民は戦って国土を、そして家族を守ることができるのでしょうか。不必要に他国を刺激する必要はないものの、そういうことをリアルに考える雰囲気を作っていくことは大事だと思いました。

  • 私はロシアがウクライナに侵攻してからネットやテレビでこの問題に強い関心を持った1人であるが、この8ヶ月の出来事を、まさか小林よしのりが戦争論として描き下ろしてくれていたということで、1〜2年前ごろから小林よしのりはどうかしていると思ってはいたものの、本屋で見つけるなりすぐに購入した。
    小林よしのりといえば反米をこじらすあまり親露なのではないかと思って読んでいたが、そこはこれまでの著書と同じく筋が通っており、反露、反プーチンの立場で描かれており、また日本恥であるW徹の話も交えながらこの8ヶ月の出来事も整理することができた。

  • これを書いている時点でロシアによるウクライナ侵略から半年とちょっとが経過している。
    開戦当初ははロシアが数日で首都キーウを陥落させるだろうと言われていたのに、ウクライナ軍の大健闘によって、今では完全にロシア劣勢、侵略された地域の奪還が進んでいるというニュースが毎日流れている状況だ。
    いい意味で大方の戦局予測が外れた理由は色々あるんだろうけど、やっぱり一番大きいのはウクライナの予想以上の士気の高さだと思う。
    士気の高さはもちろんナショナリズムに由来しているのだけど、本書ではウクライナでそのナショナリズムが芽生えた経緯、根底にあった数百年にわたるロシアとの対峙の歴史が詳しく描かれており、やっぱり国家を守るためには歴史を知ることが大事なんだということがよく分かった。
    またロシアという国家およびロシア軍についての分析もよくできており、彼らの非道さ・残虐さに怒りを覚える読者も多いだろう。
    製作者が勉強不足なのか圧力を恐れて深入りしないスタンスなのかよく分からないけど、こういうことをテレビのニュースではやらないんだよね。そういった明日は我が身という意識が全くない日本人に対して痛烈な批判を行っているのも印象深い。
    核も十分な戦力も持たない日本が国際社会の中で生き抜くためには、国際法の遵守を基盤とした世界秩序を守り抜くことが必要であるという著者の指摘は非常に重要であると思う。
    国際法を踏みにじることを厭わず、帝国主義時代のような弱肉強食の論理を振りかざすロシアは国際社会から排除されて然るべきであろう。

    それにしても今回の戦争?はロシアのデタラメっぷりが際立っており、分かりやすい善悪二元論の形に落とし込めるので、ゴー宣の風刺が最大限に生きた作品になっているように思う。
    後半の特別鼎談に関しては深い内容が語られていて勉強になったけど、漫画部分の連続性が損なわれるような感じがしたのでここは唯一のマイナスポイントかな。「別冊」とか「副読本」のような形で本編とは別の書籍として出したほうが良かったように思う。

    ところで本作、海外展開はしないのだろうか。
    日本人にしか分からない章(W徹の章とか)を除いた形で出版すれば、日本以上に危機が迫っている台湾やヨーロッパでは売れると思うんだけどな。

  • 2022年から始まったロシアの侵攻、はっきりNOだが、本書は背景や理由を整理し明確にしてくれた。

    ロシアは「国際法を無視しすぎている。軍事目標以外への攻撃、必要性を超える以上の破壊や殺戮」


    力の支配を許していれば、力の支配→核保有国の優位になる。仮にロシアの行為を見過ごし、国際法が無力になったら、次は中国が台湾に侵攻するだろうし、次々と領土を広くすることが予想される。


    国際法が効力を持つかは、軍事力が弱い日本にとって死活問題。それをロシアは崩そうとしている。他の国と連携して、侵攻を止めさせる大切さを再認識。気候変動や環境問題で取り組むべき地球規模の問題は沢山あるのに、何面倒起こしてくれてんだよ感。

  • これが全てではない。だけど一つの新しい考え方。

  • 小林氏にして、戦争論のときから、年を取ったのか、意見が単調になっている気がしる。

  • ●国家がある限り戦争は起こる。「国家」と「国軍」と「民主主義」は一体であり、一つでも欠けたら健全な国民国家にはならない。そしてナポレオンが皇帝になってしまったように、民主主義からヒトラーやプーチンのような独裁者が生まれる。戦争がどうしても嫌いな人は、国家をなくす思想を生み出すしかない。
    ●社会契約論「統治者が市民に向かってお前の死ぬことが国家に役立つんだと言う時、市民は死なねばならぬ。なぜならこの条件によってのみ、彼は今日まで安全に生きてきたのであり、また彼の生命は単に自然の恵みだけではもはやなく、国家からの条件付きの贈物なのだから。」
    ● 1945年8月9日、日ソ中立条約がまだ翌年まで有効であることを完全に無視し、ソ連は日本に宣戦布告を行った。ポツダム宣言が発表され、広島に原爆が投下された後になって、ロシアは宣戦布告したのである。史上空前の火事場泥棒である。これを日露戦争の報復と称して行った。
    ● 9世紀末に成立した、キーウを首都とする大国「ルーシ」

  • 陸続きの国とそうでない日本を一緒くたに論じているのは、乱暴過ぎ。同様の島国の英国が、ナチスから占領の憂き目に会ったか?小さい島ならいざ知らず、上陸して戦闘を行い成功したのは、ノルマンジー作戦位。それには、信じられない程多量の上陸用舟艇と、グライダー部隊と落下傘部隊と砲艦が用意されている。海を渡っての戦闘は、経済的に割に合わない特殊戦闘兵器を多量に用意しないといけない。誰が、そんな事をするのか。
     それより、少子化で、国民が確実に減少し、放っておいても疲弊していく方が、問題では?学力があるなら、大学迄無償で行けるようにすべきでは。

  • ロシアによるウクライナ侵攻2022年2月から8月までの様子のゴー宣

    ウクライナ戦争のことを描きながら、
    日本の防衛や価値相対主義の批判も

    占守島の話は国民全員が知るべきと思わせられる

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著者プロフィール

1953年8月31日生まれ。1975年、福岡大学在学中に初めて描いた漫画『東大一直線』が赤塚賞の最終候補で落選するが、雑誌に掲載され、大ヒットとなる。『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』『ゴーマニズム宣言』など話題作多数。
●主な著書
『新ゴーマニズム宣言10』(2001、小学館)、『新・ゴーマニズム宣言Special 台湾論』(2000、小学館)、『新・ゴーマニズム宣言Special「個と公」論』(2000、幻冬舎)、『ゴーマニズム宣言9』(2000、幻冬舎)、『朝日新聞の正義』(共著、1999、小学館)、『自虐でやんす。』(1999、幻冬舎)、『国家と戦争』(共著、1999、飛鳥新社)、『子どもは待ってる! 親の出番』(共著、1999、黙出版)、『ゴーマニズム宣言 差別論スペシャル』(1998、幻冬舎)、『 知のハルマゲドン』(共著、1998、幻冬舎)、『ゴーマニズム思想講座 正義・戦争・国家論』(共著、径書房)、『教科書が教えかねない自虐』(共著、1997、ぶんか社)、『小林よしのりのゴーマンガ大事典』(1997、幻冬舎)、『小林よしのりの異常天才図鑑』(1997、幻冬舎)

「1997年 『ゴーマニスト大パーティー3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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