火の柱(上) (海外文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594084363

感想・レビュー・書評

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  •  16世紀後半、約40年にわたって繰り広げられた、フランスのカトリックとプロテスタントの内戦=ユグノー戦争が小説の舞台。史実をもとに、プロテスタントのイングランド女王エリザベス1世、カトリックのスコットランド女王メアリー、カトリックのスペイン王フェリペ2世等、実在の人物を配置しながら、サン・バルテルミの虐殺、ナントの勅令、スペインの無敵艦隊の敗退等も扱っている。
     愛と救いをもたらすべきはずの宗教が、憎悪をかきたて殺戮を生む宗教となる。感情の爆発が、火刑をはじめとした拷問となり、そこに殉教者が生まれる。宗教を背負って実行される殺戮は、無神教の国に生まれ生きてきた人間には、頭で理解できない以上に、実感しにくいが、歴史は宗教戦争の歴史であり、今も世界は宗教を背景にする争いが絶えない。
     プロテスタントとカソリックの家の間で仲を引き裂かれる二人、暗躍するスパイ・密告者とそれを阻止しようとする人々の抗争、宗教戦争を背景に命の奪い合いの闘いになる二人の女王異母姉妹、とんでもない悪役も配置され、登場人物を不条理に襲う死も描かれる。上中下1600ページを超える長編も、読み物としての魅力は満載で、長さを感じさせないで、読み切ることができる。世界で2000万部を超えるとされるベストセラーとなった12世紀のイングランド舞台の「大聖堂」「大聖堂-果てしなき世界」より、本書の方がおもしろかった。新型コロナウィルスの行動自粛の中で、お薦めの長編。

  • 02月-01。3.5点。
    大聖堂シリーズ。イングランドの商人の息子、スペインでのその兄、フランスの詐欺師等のストーリーが、場面転換。
    流石のフォレット、読ませる力あり。中巻も楽しみ。

  • 『大聖堂』シリーズ3作目。イングランドの女王メアリー・チューダーの時代。
    今作はキングズブリッジだけでなくフランスやスペインなどでも物語が展開されていく。カトリックとプロテスタントの争いなども出てきて興味深い。

  • 『大聖堂』シリーズ(というかキングズブリッジ・シリーズ)の3作目。今回は1558年(上巻)から1606年(下巻)までが描かれているらしい。カトリックとプロテスタントの諍い、イングランド女王となったエリザベスなど、歴史に疎いぼくでも知っている事実の間に、巧みにフィクションが織り込まれている。思えばフォレットは第2次世界大戦を舞台に、こうした手法で数々の傑作を送り出した作家だった。本作は過去2作とは異なり、大聖堂を建立するわけではなさそうだが、続きが気になる。

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著者プロフィール

Ken Follett
ケン・フォレット
1949年、ウェールズ生まれ。新聞記者、出版社勤務などを経て1978年にスパイ小説『針の眼』を発表、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞を受賞。1989年に発表された『大聖堂』は全世界で2000万部を超える大ベストセラーに。その後、続編『大聖堂-果てしなき世界』、「百年三部作」の『巨人たちの落日』『凍てつく世界』『永遠の始まり』を執筆、さらにはキングズブリッジ・シリーズの『火の柱』および本書を書き継いでいる。最新刊は『ネヴァー』。


〈扶桑社ミステリーのケン・フォレット作品〉
火の柱(上・中・下)
ネヴァー(上・中・下)

「2022年 『大聖堂 夜と朝と(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ケン・フォレットの作品

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