シリア拘束 安田純平の40か月

著者 :
制作 : ハーバー・ビジネス・オンライン 
  • 扶桑社
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本棚登録 : 44
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594081331

作品紹介・あらすじ

【内容について】
2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。
また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える。

【著者について】
安田純平(やすだ じゅんぺい)
1974年埼玉県入間市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、信濃毎日新聞に入社。在職中に休暇をとりアフガニスタンやイラク等の取材を行う。2003年に退社、フリージャーナリストとして中東や東南アジア、東日本震災などを取材。2015年6月、シリア取材のためトルコ南部からシリア北西部のイドリブ県に入ったところで武装勢力に拘束され、40か月間シリア国内を転々としながら監禁され続け、2018年10月に解放された。著書に『誰が私を「人質」にしたのか』(PHP研究所)『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(集英社新書)など。

感想・レビュー・書評

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  • 紛争地が非常に厳しい場所であっても、第三者が現地の情報を取りに行く意義はたしかにあるのだろう

  • 「性懲りもなく2度も拘束された自分勝手な人」
    というレッテルが、社会によって貼り付けられた後。

    安田氏は本当は何をしにいったのか、それがしっかり報道されることはなかったように感じます。

    何事も、大騒ぎしてはすぐに忘れ、そこにいる話題の中心の人たちを消費するだけで終わることが、あまりにも多い気がします。

    一方で最近は、記者クラブなどでの記者会見全文を公開してくれる人が増えました。
    その気になればテレビや新聞、雑誌だけが頼りだったころほど「発言切り取り」だけで終幕にならずにすむようにもなりました。

    裏を取ろうとする意思さえあれば、人が語った言葉として、その全部を知ることができます。

    さらに、出版物として、時間を置いてこうした本がでることには意義があると思います。

    シリアの現実を、安全になって、民主化が終わってから語ろうとすることは簡単です。
    でも渦中のとき、そのときそこになにが起きているのかは、そのとき知らなければ、意味はありません。

    国が危険だといってるのに勝手に行ったのだから自己責任。それは、たしかにそうです。

    彼は、最初から国に頼ろうとしたわけではなく、
    知りたいことを見に行っただけです。
    叩くひともいていいですが、抹殺すべきではない、と感じます。

    知らないことを知るためには。

  •  40か月である。
     40か月もの間、シリアで拘束され続けたジャーナリストの記者会見録である。なによりも40か月もの拘束、凄まじい暴力に耐え切れる精神性、に驚嘆する。たぶんそれは、彼の知識と教養によるものなんだろう。それが「生きる」ことに力を与えた。絶望しない力は、知性に宿る。それがこの、解放という素晴らしい結末を得ることができた最大の要因なんだと、読後に改めて思った。その点は「夜と霧」と等しい。
     細部にわたるメモ、状況を客観的に捉え続ける視点、それらはジャーナリストとして得てきたものだろう。それらは我々の貴重な共通の財産になる。

  • 「シリア」はるか彼方の国だ。
    そこで行われている虐殺も、内戦も、
    空から降ってくる砲弾も、爆弾も、
    そして、そこで失われていく命のことも。
    何にも知らないんだ。
    2018年には、そういう国の現状を伝えようとする人々の映画もあった。
    (『ラッカは静かに虐殺されている』”City of ghosts”)
    知ることを怠ってはいけないと思う。
    そして、そのためのわずかな手がかりがここにあると思う。
    一人のジャーナリストの活動が、私には必要なのだと確信する。
    私には何もできないかもしれないが、少なくともそのジャーナリストの声を聞くことはできるだろう。
    それが、私のすべきことだと思う。
    この本では、安田さんが帰国後インタビューなどで質問に答える形で、体験したこと、それらに対する考え、意見を述べておられる。
    その中で、戦場からの報道の必要性についても述べている。
    それは、国家が人を守ることもできずに、むしろ殺しているその事実について、私たちがそれをどう考えるか、そのための判断材料が必要であることを述べている。
    つまり、現場を知ることから考えようと言うことだ。
    知らなければ、始まらない。
    そのことは、現場の人たち、現場に足を踏み入れた者たちの心からの叫びであり、その声を聞くのは私たちのやらなければいけないことなのだと受け取った。

  • シリアで40か月拘束されてた安田純平の回顧録。
    結論から言うと、わからないことが多かった。

    もちろん、それなりに虐待受けたこともわかるんだけど、犯人の正体はわからないし、何より何で誘拐されたのかがわからない。
    それでも、ちまたで噂されてることへの反論だとか、精神的苦痛とかは伝わってきた。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1974年、埼玉県に生まれる。信濃毎日新聞の記者を経て、フリーランスのジャーナリストに。在職中の2002年から、アフガニスタンやイラク、シリアなどの紛争地を中心に取材を続けている。2015年6月、取材のためにトルコからシリアへの国境を越えたところで武装組織に拘束され、3年4か月のあいだ監禁される(2018年10月解放)。著書に『囚われのイラク』(現代人文社)、『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(集英社新書)などがある。

「2019年 『戦争取材と自己責任』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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