中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594078751

作品紹介・あらすじ

「日中戦争は、もうはじまっています!」
こんなことをいう人がいたら、あなたはどう思いますか?
 「うわ~、この人ネトウヨだ~」
 「ぎゃ~、トンデモ系、陰謀論者だ~」
 きっと、こんなリアクションになるでしょう。
 それが、普通です。
 しかし、「日中戦争」がはじまっているのは事実です。
 証拠をいますぐお見せすることもできます。
グーグルでもヤフーでもいいですが、「反日統一共同戦線」で検索してみてください。
 検索しましたか?
 あなたは、「ロシアの声」2012年11月15日付「反日統一共同戦線を呼びかける中国」という記事を、容易に見つけることができるでしょう。
ここには、驚くべき事実が記されています。
たとえば、
・中国は、ロシアと韓国に、「反日統一共同戦線」構築を提案した。
 ・中国は、中ロ韓で一体化して、「日本の領土要求を断念させよう」と呼びかけた。
 ・日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「尖閣および沖縄」である。
 ・日本に、沖縄の領有権はない!
 ・反日統一共同戦線には、米国も引き入れなければならない。
どうでしょうか?
 「・・・・・驚きました。
しかし、これで『日中戦争がはじまっている』というのは、やはり大げさなのでは?」
確かに、「実際の戦闘」という意味での「戦争」は、まだ起こっていません。
 しかし、「戦争」は、「実際の戦闘」の、ずっと前にはじまるのです。
就職、結婚、離婚、起業、投資などは、まずそれをする人の「頭の中」ではじまります。
 「戦争」も同様で、まず指導者の「頭の中」ではじまります。
 彼は、今日「戦争しよう」と決意して、明日軍隊を送るわけではありません。
 まず、「戦争に勝つ方法」(=戦略)を考えます。
次に「情報戦」を仕掛け、敵国を「悪魔化」させます。
 (例、中国は1930年代はじめ、「日本の世界征服計画」(=田中メモリアル)(=偽書)を世界に拡散し、「日本悪魔化」に成功した。)
さらに「外交戦」によって仲間を増やし、敵国を孤立させる。
 必要があれば、「経済戦」(=経済制裁)などによって、敵国のパワーを削ぎます。
 (例、アメリカは、日本が石油を買えないよう、「ABCD包囲網」を作った。)
最期に、必要があれば、実際の戦闘によって敵国を倒し、望む結果を手に入れる。
 つまり、敵国の指導者が戦争を決意し戦略をたててから、実際の戦闘が開始されるまでに時間差がある。
 そして、戦略が発動された時点で対処しないと、実際の戦闘がはじまる前に「負けが確定してしまう」のです。
先の大戦時、日本の指導者たちは、このことをまったく理解していなかった。
それで、完全敗北した。

感想・レビュー・書評

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  • 分かりやすい。
    すべてが腑に落ちる。

  • RPEの読者にとっては新しい情報は特にない。
    著者の言っていることはずっと首尾一貫していて、それを2017年時点で時系列で整理してまとめた本。

    主敵は中国で、そのためには米国との同盟関係は強化し、ロシア・韓国とも手を組むことが肝要、
    との著者の持論に沿った形で日本の外交が進んでいる現環境では、心なしかポジティブなトーンの筆致が目立つのがこれまでの書と少し違う点。

    『隷属国家日本の岐路』[2008]あたりの暗さに比べると、雲泥の差だ。

    とはいえ油断は禁物。
    トランプが再選されず、バイデン政権誕生とかになったら、日本にとってはまた絶望的な日々を過ごすことになる。
    また、日本にしても、国家としての戦略が確立されているとも思えず、安倍後を考えると一抹の不安。

  • 北野さんの本3冊目。色んな意見があるんだろうけど私には納得しやすい事実に基づいた考察。引き続き北野さんの著作は読みたいと思うけど他の意見も読んでバランス取って自ら考えたい。

  • 日本の主敵である中国に負けない為にはどうすれば良いのか?
    アメリカとの同盟、ロシアとの協調、EU、インドとの連携、アジア太平洋諸国との友好、
    また中国を挑発しない。
    太平洋戦争で何故負けたか?から解き明かしている。

    韓国との関係改善も入っていたが、これはどうなのか?ちゃんと躾てから改善するというプロセスが必要と思うが。

  • これからの中国に対する対応。
    そして各国に対する外交について書かれている。
    どうすれば戦争をせずに済むかを提案している。

    各国の思惑について日本はどのように対応していけばよいのか。
    一度読まれることをおすすめします。

  • 中国に負けないための戦略が、仲間を作って絶やさないことというのは、当たり前のようだが、それを維持するのとても難しい。改めて再認識できる本でおススメ。

  • 2019/02/20:読了
     面白かった。
     あることに関するニュースなどの事実情報を並べて、こういう背景があると説明している。非常に納得感がある。
     田中宇さんは、どちらかと言えば、多極化という中心線があり、それに事実情報を貼り付けている感じだが、北野さんのは、情報分析官みたいだ。
     中国の「反日統一共同戦線戦略」のところが、特に納得いった。安倍首相の内政はともかく、外交については、最近の日本の首相の中では最も戦略的と、べた褒めしている。

  • 1

  • 北野氏のメルマガでは今ひとつ読みづらいが本で読むと読みやすい。10年前から軸はぶれてないようだ。とにかく日本が孤立しないようにアメリカ、インド、韓国、ロシアとよい状態を保つことがキモらしい。日本の主張は必要だが、他国を刺激することは避けたほうが良さそうだ。

  • 本当にいわゆる嫌韓・嫌中本とは異なる。
    ただ、単に、近代の外交史をまとめたもの。
    嘘は無いと安心して読めました。
    かの国の体制が、早く、現代に生きる形になる事を祈っております。

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著者プロフィール

国際関係アナリスト。1970年生まれ。19歳でモスクワに留学。1996年、ロシアの外交官養成機関である「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を、日本人として初めて卒業(政治学修士)。メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」(RPE)を創刊。アメリカや日本のメディアとは全く異なる視点から発信される情報は、高く評価されている。2018年、日本に帰国。
著書に『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』(草思社)、『隷属国家日本の岐路』(ダイヤモンド社)、『日本人の知らないクレムリン・メソッド』(以上、集英社インターナショナル)、『日本の地政学』(小社刊)などがある。

「2022年 『黒化する世界 ――民主主義は生き残れるのか?――』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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