増補版 アメリカから<自由>が消える (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594077402

感想・レビュー・書評

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  • アメリカは9.11テロ以降、愛国者法という正義のマシンガンをかざし、強力な監視、疑わきは罰する、政府を疑うものはデロリストと、言論統制を行い、狂った状況になっていたことに驚きであった。
    日本では放送されないアメリカの真実。
    とくに、日本人はやたらとアメリカに憧れを持っているものが多い気がする。そんな人にこそ読んでほしい。
    アップルのスマホは、中国製ではないから監視されてないから安心して利用できる??

    こんなことを書いてると、ちょうど玄関の戸を叩く音が。


  • 『ルポ・トランプ王国』を読んでいて、そういえば堤未果という人がアメリカについて似たような本書いてたなーと思い出して。
    アマゾンを見ていたら、こっちの方が面白そうで読み始めたんだけど……

    なんと、途中からほぼ斜め読みしちゃったぁ~い!
    だって、読んでいて全然エキサイティングじゃないんだもん(笑)

    というのも、同じことの繰り返しなんだよね。
    2011年同時多発テロ事件以降、アメリカは「テロとの戦い」の名目のもとに国内・国民の監視を法律や監視システムで強化して、国民の自由を縛るようになった。
    それは、空港でのミリ波スキャナーや搭乗拒否リスト、街中の監視カメラ、市民やジャーナリストを突然拘束、尋問等々。
    それらがそれぞれの章で語られていくのだが、そのたんび『1984年』、ヒットラー、ナチという言葉が出てくる(ちなみに、増補版の袋とじの部分にも出てくるw)。

    確かに、ヒットラー、ナチズム、『1984年』、もしくはディストピアという言葉は、独裁や国家による言論の封殺を語るのに便利な言葉だ。
    でも、便利すぎるがゆえに話が正確に伝わらなくなる面があると思う。
    だって、『1984年』は読んだと言って実は読んでない本の代表例だって話だし(笑)
    ヒットラーやナチズムだって、漠然と言われる巷の常識以上のことは意外に知られていないと思う。
    ジャーナリストという言葉を商売道具にしている人が、そういう漠然とした、人によって知識や解釈が微妙に異なるキーワードで論理を展開するのは、ちょっとどうかと思うけどなぁ…。

    そういえば、アマゾンの本のレビューを見ていると “もっとまとめられる”みたいに書いている人がよくいるけど、それを思い出した。
    これって、たぶん10ページくらいにまとめられるんじゃない?w


    ていうかさ。
    言論が圧殺されるようになったと言うけど、そもそもアメリカって、そういう国じゃん!w
    イギリス人はじめ、ヨーロッパ人が勝手にやって来て、先住民の人のよさにつけこんで土地をもらい、住み着いて。
    それを少しずつ広げていって。そのことで先住民ともめるとたちまち戦争を起こし、迫害。遠くの辺境の地に「自治区」と称して追いやっちゃったのから始まって。
    次はメキシコに難癖付けて戦争、領土を奪って拡張。
    その後は詳しく知らないけど、鯨の油を求め、はるか太平洋を渡ってきて。太平洋は広いもんだから寄港地が必要で、大砲で日本を脅して開国させ、不平等な条約を結ばせる。
    その後は、近代化した大日本帝国と南方や中国大陸で権益がぶつかるもんだから、相手から開戦させるよに外交戦争を仕掛けてくる。
    戦争になったら、こんどは市民を狙った無差別爆撃、さらには原爆投下。
    でもって、日本を属国化した後は、大日本帝国がした戦争というのは地勢的に共産主義との戦いの最前線だったという側面があったことにやっと気づいて。
    今度は、朝鮮半島で「自由主義を守る戦い」の名目で共産圏諸国と戦争。
    朝鮮半島じゃ、そこに住む人たちのことなんかおかまいなしに、太平洋戦争で日本に投下された4倍の約67万トンの爆弾を投下。
    なんでも、それを指揮したカーティス・ルメイ司令官は「3年間で朝鮮半島の全ての町を焼き尽くし、人口の2割を死に至らしめた。(共産主義を封じ込めるためには)それが許されたのだ」と言ったんだとか(注:NHK特集「朝鮮戦争 権力者の攻防」より)。
    その後「自由を守る」の名のもとにベトナムや南米、湾岸戦争にイラク戦争、そしてまた今度はイランに不当な難癖付けて戦争を起こそうとしている。
    ていうか、ISを巡るシリアでの内戦も間接的だけどアメリカの権益や言い分によって起きている戦争じゃん。
    その他枚挙にいとまがないくらいだけど、要はアメリカって、そういう国だよね?(笑)

    それらを遂行させるには、国内の世論の統一は絶対必要で、そのためにそれら国の有事のたんび国民を統制してきたわけじゃんw
    有名どこを上げるとすれば、太平洋戦争前の日系移民の強制収容、戦後の共産主義との戦いにおけるマッカーシズム等々。
    アメリカのことなんて大して知らない自分だって、ざっとそのくらいは浮かぶ。
    言ってみれば、アメリカは、自国の利益になるなら戦争で人を殺すのなんて何の躊躇もない国で(ま、国家なんて、どこも多かれ少なかれそんなもんだろうけどさ)。
    さらにいえば、集団になると「自由を守る」「アメリカを守る」の大義の前にはたちまち一致団結。どんな非道卑怯なこともその時は正当化して。
    ほとぼりが冷めたら冷めたで、「あれは間違っていた」と反省して。「自分たちはちゃんと反省できるいい国なんだ」と、さらに自分たちをアメリカを正当化する、それこそがアメリカでしょ?(笑)

    いや、これは決してアメリカを批判しているんじゃなくって。
    アメリカというのはそういう国なんだから、それを忘れてはダメでしょって話。
    ていうか、個人的には、それらの個々の事態でアメリカがやった事には賛成出来ること、出来ない事あるけど、でも、やると決めたら何があってもそれを成し遂げるという、アメリカの意志みたいなものは尊敬しているつもりだ。
    だからこそ、アメリカというのは超大国であり続けられるわけだし。
    また、世界中の人がアメリカに憧れを感じるというのは、そこにあるんだろうと思うからだ。
    現に、自分もアメリカには憧れがある。
    でも、だからこそ(繰り返すようだけど)、“アメリカはアメリカのためなら、なんでもやっちゃう国なんだ”ということを絶対忘れてはダメなんだって思うんだよね。

    そんなわけで、この本(著者)にはあまりいい印象を持てなかった。
    なんて言うかさ、論調がどこか朝日(新聞)的な気がしちゃうんだよね(笑)
    最初の章のミリ波スキャナーの話にしても、論点は、テロ(犯罪)防止のために空港の職員に裸を見られてしまうプライバシーの侵害が許されるのか?ということにあるわけでしょ。
    なのに、“宗教界からブーイング”があるくらいだから、ミリ波スキャナーはダメと論理は、論点を微妙にずらすことで、読者に問題を必要以上に煽っているだけのように思う。
    たぶん、そういう風に論点と関係ないことも含めて煽ることで、読者に問題意識を植え付けさせようとするやり方が朝日(新聞)的と感じた理由なんじゃないかな?
    というか、ミリ波スキャナーを全米ヌーディスト・レクリエーション協会は賛成しているとか、お尻に入れたシリコンがパートナーにバレてカップルがもめた、は関係ない話だよね?w
    いや、もしかしたらウケをねらったのかもしれないけど、でも面白くないかなぁ…(笑)

    袋とじの前。つまりこの増補版の前では最終章にあたる「おわりに」で著者が書いている、“歴史を振り返れば、「言論の自由」は、それが最も必要とされるときに抑え込まれてきたことが見えてくる”というのも、いかにも朝日的な使い古された意見…、というか、な~んか妙な論理なんだよなぁ…。
    微妙に順序が入れ替わっているような?
    そもそも近代国家においては、国民の賛成なしに戦争だったり、圧政や独裁は出来ないと思うのだ。
    それは、何よりヒットラーが示しているわけだ。選挙で国民が支持しからこそ、ヒットラーはドイツの元首になったわけだ。
    国民は、自分たちの要求が叶えられそうな人や党に投票するわけで、つまり、(国家元首になる前に)ヒットラーが演説していたことに国民が賛成したからこそ、ナチ党は選挙に勝ったと言える。
    もちろん、そこには自分本位なプロパガンダだったり、当時だから暴力が用いられたり。さらには国民をうまくまるめこんだというのは多分にあるのだろうけど、でもそこに国民の求めるものがあったからこそ選挙に勝ったのも事実じゃん。

    そう考えると、“言論の自由が最も必要とされるときに抑え込まれた”というより、順序としては、為政者がその時の国民の中にあるなんとなくの要望を感じ取って、それで巧く選挙に利用。当選後はそれに沿った政治を行う結果、それに反する意見、つまり国民の総意に反する意見は抑え込まれる、みたいな。
    ざっくりだけど、そういうことなんじゃない?

    それはトランプさんが大統領になった途端、TPPから離脱したり、NAFTAの再交渉、イスラエルのアメリカ大使館のエルサレム移転等がまさにそういうことで。
    アメリカ国民が内心望んでいたことをトランプさんが敏感に感じ取ってで、それを選挙公約にすることで大統領に当選。当選後は、その民意に沿ってそれを実行したということでしょ?
    そこには国家による言論の自由の抑え込みなんて、ほとんどないと思うけど。

    もっとも、この本で著者が書いていることは本当のことだとは思う。
    また、ジャーナリストとして様々なことを見聞き体験もして、自分なりの問題意識を持つ、とっても真面目な人なんだとも思う。
    なのに、自分が著者に妙に反論したくなるのは、たぶん著者の文章を読んでいて感じるクサいジャーナリスト・ロマンチシズムや、最後の6章から「おわりに」で語られるような草の根至上主義(庶民は常に正しく政治家は常に間違っているみたいな)に反感を覚えるからだ。
    ポピュリズムの出所は常に庶民であり、それを選挙に利用することで庶民の支持を得て当選した政治家が(庶民の支持を背景に)政治権力を握る。
    ポピュリズムの害悪はそこにこそあるんだってこと、それは庶民である自分たちが絶対忘れてはいけないことなんだって思うけどな。

  • どこの国の話かって。
    どこかの社会主義の国かよって。

    もちろん事実だろうから怖い。
    だけど、だから全部ダメだっていうのも怖い。

    日本にひいて、だからダメだって言う論調も怖い。

    評価しづらい。

  • 自由と民主主義の象徴だったはずのアメリカのぞっとする現実。
    感想をこんなブグログに書いているのも危険な行為になりそう---

  • 社会の監視強化という方向性について、ブッシュはともかく、その路線をオバマも(結果として?)引き継いでいたという指摘は、一般的なオバマ像とは異なるので、驚いている。

  •  詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=11971

  • 2010年4月に刊行された本を大幅加筆・改訂し、巻末に新たな書き下ろしを加えた著者最新刊。一気に読みました。

    トランプ大統領の誕生が世界に衝撃と混乱を与えています。
    彼独自の問題もそのことは厳しく指摘するべきところですが、背景には7年前に本書が指摘したアメリカにおける「自由」が消えていっている現状をしっかり見ておく必要があると思いました。そしてそれは世界に広がりつつあり、今の日本の状況と重なり合わせてみるとほんとうに恐ろしくなりました。「おかしいと思ったら声をあげる自由。これを失ったとき、本当の意味で区は滅びへのカウントダウンを始めるんだ」との言葉を胸に刻む必要があります。7月11日に施行された共謀罪が日本社会に与える影響をきちんとみないといけないですね。

    最終の第7章は、「それでも希望は存在する」。真実の声を上げ続けること、身近なところから積み上げること、様々なつながりをつくること、憲法を守り発展させること等が書かれています。都議選も含めた世論調査は、そのことを証明しているようにも思います。「あきらめてはいけない」ですね。しっかり頑張ろうと思います。

    お勧めの一冊です。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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