ぼくらの祖国 (扶桑社新書 188)

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  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594073084

感想・レビュー・書評

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  • 今年一発目は、青山さんの「ぼくらの祖国」から。昨年から引き続き、自分の生まれ育った国の生い立ちってのはどんなんだったのかということをより深く知りたく、読了。祖国というワードそのものが、何か右寄りの危険分子みたいなイメージになりがちだが、全世界を見渡してお自分の国のことを正しく学ぶことをしていないのは日本だけ。世界で敗戦国と言われ、他国の占領下におかれた国は多数あるにも関わらず。戦後の統治政策の影響が大きいのだろうが、にしてもここまで頑なに歴史を紐解かない国民も珍しい。右寄り左寄りという話は一旦おいておいて、この本の自分の国の生い立ちを理解する人が増えると良いなーと思います。

  • 愛国者だ。
    日本を憂えている人が前向きにどうするべきかって考えた本。
    知ってる内容が多いけれど、知らない人がいるんだろうなって。
    とりあえず歴史、特に近代史を学んでいる人なんて日本人少なそうだろうし。
    学校でも絶対そこまでカリキュラム終わらないし。
    自分で勉強するしかなさげ。

  • 戦中の行き過ぎた愛国心醸成の反動と戦後の連合国による押し付けられた民主化政策により、いつしか日本人の祖国愛は日の丸や国歌を含め「腫れ物」扱いされ始めた。その傾向は、残念ながら国民のみならず、国民を啓蒙すべき政治家やマスコミに、より蔓延している状況が続いている。
    未だ北朝鮮に拉致された日本人ですら取り返せない、日本領土である竹島や北方領土も何故か紛争相手国に遠慮がちな対応など、今の政治家からは国民や領土を本気で守ろうとする気概が伝わらない。
    例えば、国民を守るべき自衛官ですら、政府の許可無く自国内の外国不穏分子を始末すれば殺人罪に問われる。つまり、休暇で帰ったふるさとで武器を持った怪しい外人に連れ去られようとしている女子学生を目撃しても、罪を覚悟で対処しなければならないというおかしな事態となっている。
    福島第一原発(GE製)事故でも結局誰も責任をとらなかった。お隣の東北電力は津波対策として防護壁を政府指導より5m高くして難を逃れたという事実があったにもかかわらず。こうした災禍を避け安全を担保するのが、高い報酬を貰うトップの責務のはずなんだが、日本人はいつから武士道精神を忘れ、逃げ得にも恥じない民族となってしまったのだろう。
    本書は、日本人が他国の様な祖国愛を取り戻す為に知っておくべき事例がたくさん紹介されています。小学生でも読める様にルビ付きです。

  • ●世界のどの国の学校でも「祖国」を真っ先に教える。祖国とは、僕ら親のそのまた親の、そのまたまた親の遥か彼方から、ずっと続いてきた、大きな奥行きの深い家のことであり、それがなければ、僕たちは、いなかった。この祖国が滅びずに続いてきたからこそ、僕らが互いの気持ちを同じ言葉で伝えることができる。文化も共通の根を持つから、気持ちを自由自在に表すことができる。
    ●日本は、戦争に負けたからと言う理由で、国軍を持たない。自衛隊は、戦争が起きたと確実にわかって、政府が出動して良いと決めない限りは一切動けない。拉致被害者がいても何もできない。もう起きえないような古い戦争でしか動けない。
    ●菅直人首相は、3月12日の午前7時11分に自衛隊ヘリで、この第一原発に降り立ったが、それは安全な免震重要棟に短時間、立ち寄っただけで、本当の現場把握はせず、すぐ逃げるように帰った。これはベントを始め作業を遅らせただけであった。
    ●第二次世界大戦の中でも、硫黄島の戦いは、最も知られた戦いの1つだ。勝利国アメリカの兵の死傷者が、敗戦国日本の兵のそれを唯一上回った。いおうとうと読む。
    ●石油や天然ガスと比べて、ウランは世界中から取れる。アメリカは、かつて田中角栄が中東で日本が直接、現地国と交渉して油分を開発しようとすると、ロッキード事件を活用して追い込んだ。さすがに日本の司法は、ない事実はあったかのようにでっち上げるほどのことはしない。だから実際にロッキード社から少なくとも5億円の賄賂を受け取っていたのではないかとは思っている。

  •  今まで”領土”や”祖国”と言った言葉を日常で聞いてこなかった人に一度は読んでほしい本です。

     主に筆者の体験談を筆者の当時の想いとともに書き連ねている体験記のような本となっており、小難しい専門用語はほとんどありません。そのため、高校生レベルの知識があれば誰でも理解できる平易な文章となっており、内容が頭に入ってきやすいです。

     また、実際の体験記という内容の特性上、インターネットで調べればすぐに出てくる内容ではなく、福島第一原発や硫黄島の様子を取材しに行く際の実際の政治的な圧力や著者の人的ネットワークによる対応などがありのままに述べられています。まるで一つのドラマをみるかの如く感情に訴えかける内容となっているため、興味深い内容となっています。

     私も普段の生活で上記のような言葉をあまり聞かなかったため、領土問題やエネルギー問題について考えるきっかけになったり、ニュースに取り上げられた時は興味を持って聞くきっかけにはなりました。

     とはいえ、書いてあること全てをそのまま鵜呑みにするのもいかがと思います。

     例えば、尖閣諸島に関する内容と硫黄島の滑走路引き剥がしに関する内容とで情報の密度が異なります。
    前者については、時系列順に国際的な取り決めが並べられ、”中国が対外的に示したものを並べるとこうなる”ということが示されているため、中国の意見がおかしいということについて納得しやすいものとなっています。
    一方で、後者については、引き剥がすべきであるという主張のみが述べられ、具体的に今後○年以内における○○という予算をこちらに当てるべきである、と言ったような具体的な実行策にまでは話が掘り下げられていません。
     著者の専門外なのかもしれませんが、物事の必要性だけ述べて実行策を述べないのでは、説得力に欠けるのではないでしょうか。

    著者が間違ったことを述べている、と言うつもりはなく、著者が述べた事実・意見をもとに、読んだ人が興味を持って具体策を考えていく必要があるのかもしれません。

     この本の初めの方に”それぞれが自らに問うていくことが、もはや間違いなく全ての始まりだ”と記されているように、考えるきっかけとしてとても面白い本と思います。

  • p59
    人生は、自分のためだけには生きていれば、つまらない。生きよ、人のために生きよ。生きよ、公のために生きよ。おのれ以外のためにこそ生きよ。
    p64
    ひとがひとを誤解してみるとき、それは、その誤解するひとの本性、欲望が露見している。

    現在の日本社会で、そしておそくらはこれからの日本社会でも起きるネットを悪用した誹謗中傷とは、その誹謗中傷をしているご当人が、おのれを照らす鏡でもある。

    p170
    川は一本もない。水がない。外から持ち込まねば、水も飲むことができない。

    水よ、土中に染み込んで、土に溶けてしまったご遺骨にも染み込んでください。
    そうすれば、やっと、みなさんが水を飲むこともできるから。

    p179
    そしてこの堀った人たちを、私たちは戦後ずっと日本兵というひと固まりで呼んできました。ほんとうは大半が普通の庶民なんです。

    p192
    ぼくは旧ユーゴ戦争に行き、イラク戦争の現場に行き、せんそうはどこまでも無惨ンな殺しあいであることを知った。

  • ジャーナリストであり大学客員教授でもある、青山繁晴氏によるノンフィクション。タイトルからもわかるが、私たちの祖国である「日本」のあるべき姿を論じる。子どもにも読めるようにと読み仮名がたくさんふってある。大きなテーマは、東日本大震災による福島第一原発の事故、第2次世界大戦の硫黄島の戦い、そして日本の近くで採取できる新しいエネルギー資源の3つである。日本を守らなくては、という著者の正義感がひしひしと伝わってくる。
    日本人はなぜ他の国の人に比べて祖国という概念が薄いのか。戦争に負けたからである。戦勝国の言いなりにならないといけない、日本は資源がないから、と思い込んでいるというのが著者の意見である。
    原発事故の前から、原子力発電の専門家としてテレビでコメンテーターをしていた著者は、事故の1か月後には民間人として初めて原発内に入り、記録を取った。原発推進派だが、リスクは徹底的に調べて最小限にすべきという主張である。
    硫黄島(立ち入り禁止)も、民間人でほとんど初めて島の中を自由に歩き回る許可を交渉の末に得て、上陸した。滑走路の下にある遺骨を探したり、一般人が訪問できるようにと働きかけている。
    新しいエネルギー源は、海底にあるメタンハイドレートという結晶で、著者の奥さんが探索システムの特許を持っているという。本を通して、奥さんを博士と呼んで徹底的に称賛しており、違和感は否めない。この資源にどれだけ期待できるのかは、本書からはよくわからなかった。
    やや強烈な主張ではあるが、どれも一理はある。著者の行動力には舌を巻く。

  • この本のなかには、正論もあれば、熱い思いもあるのはわかる。
    それ以外のものも色々あるのだが、それ以上は、言わないでおこう。

  • 自分が生まれた国について考えてみよう。右でも左でもなく、真っ直ぐ真ん中から。

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=086488

  • マスメディアに対して不信感を強く持っているよう思える。頭がよくて真面目な人ではあるが、真面目すぎるのか。今後に注目したい人ではある。

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著者プロフィール

青山繁晴(あおやま・しげはる)
神戸市生まれ。慶應義塾大学文学部中退、早稲田大学政治経済学部卒。共同通信記者、三菱総合研究所研究員、独立総合研究所代表取締役社長・兼・首席研究員を経て、現・参議院議員(二期目)。派閥を超えた新しい議員集団「護る会」(日本の尊厳と国益を護る会)代表。ほかに現職は、東京大学学生有志ゼミ講師(元非常勤講師)、近畿大学経済学部客員教授。作家。小説に「平成紀」(幻冬舎文庫)「わたしは灰猫」(小社刊)、ノンフィクションに「ぼくらの祖国」(小社刊)「きみの大逆転」(ワニブックス【PLUS】新書)など。

「2022年 『夜想交叉路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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