- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784593100521
作品紹介・あらすじ
ある日、わたしの大好きな本が図書室から消えたのが、このお話のはじまりだった――小学4年生のエイミー・アン・オリンジャーは、放課後に図書室でゆっくり本を読んですごすのが唯一の楽しみ。でもある日、お気に入りの本、『クローディアの秘密』が、図書室の棚から消えていた。この本が、「子どもにふさわしくない本」として、貸出禁止なったのだ。でも、ある本が子どもに「ふさわしい」「ふさわしくない」って、どういうこと? いったい誰が、どうやって決めるの?
――内気で、いつでもいいたいことをいえずにいたエイミー・アンだったが、貸出禁止騒動をきっかけに、友だちの助けを借りながら行動をおこしはじめる。やがて、その行動が大きな問題となってしまい……。
感想・レビュー・書評
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痛快!おもしろい!
大人によって貸出禁止になった本を読むために、子どもたちが考え出した策が素晴らしい。最後の解決策も大人の裏をかく妙案。
思ったことが言えない、長女としていつも我慢している内気な主人公エイミー・アンが自分の殻を破って成長してゆく。
一番好きな事のためには、思ってもみない力が発揮され、その力は周りを巻き込んで大きなうねりを起こす。
本につけられた難癖、貸出禁止。過去の焚書が頭を掠める。
司書のジョーンズさんの言葉に感銘を受ける。
「わたしたちのつとめは、子どもたちをできる限りの多様な本、多様な視点にふれさせることです。…どうぞお読みなさいといって差し出すことです。ときには、わたしたちが賛成できないことがらが書かれた本を読むことを認めて、自分で考えさせることも必要です。」
それは、子どもの力を信じること。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずっと読みたいと思っていた本。
とてもよかった。
頭の中で色々考えていても口に出せなかった主人公が、大好きなクローディアの秘密が学校図書館の棚から撤去されたことをきっかけにかわっていくのだけれど、自分だけが正しい、ではなくて、違う意見を持っている人のことも、たとえそれが自分とは違っていても尊重しないといけないんだよね、と思い至るところもとてもよいなぁと思った。
映画フットルースを思い出した。
図書館に関わる人は必読ですね。 -
すごく面白かった。
お説教ぽさみたいなものを感じずに、図書館の意味とか言論、表現の自由について自然に考えられるし、主人公のエイミー・アンの成長物語としても面白い。 -
ある日、主人公のエイミー・アンが大好きな『クローディアの秘密』や何冊もの本が学校図書館で貸出禁止になってしまう。アンは禁止になった本をロッカーに集めて小さな図書館を運営するが…。
自分の言いたいことを言えず、頭の中だけで反論する主人公が、最初はもどかしくフラストレーションがたまった。
でも、次第に成長し、クライマックスで教育委員を相手に堂々と自分の意見を述べる姿が爽快。
子供達が協力して不条理な大人に立ち向かうストーリーは児童文学の定番だけど、ロッカー図書館のメンバーが特技を活かして活躍したり、学校中の生徒がエイミー・アンに協力するところは大人でも読んでいてわくわくする。
作中では、魔術が出てくるとか、性に関することが書かれているとか、汚い言葉が使われているとか、くだらない理由で本が貸出禁止にされてしまう。でも、作中で貸出禁止になる本は、実際にアメリカで異議申し立てされたり、貸出禁止になったことがある本らしい。ハリー・ポッターなど、有名な作品がほとんどなのに。
「子どもにむかって、この本は読んでもいいけどこの本は読んではいけないという権利があるのは、その子の保護者だけ」。
作中で何度も出てくるこの言葉を忘れないようにしたい。 -
9才のエイミー・アンは、本が大好き。特に「クローディアの秘密」は、大のお気に入り。なのに学校の図書室から不適切な本としてなくなってしまった。なぜ?
自分の意見を言うことが苦手で、家でも良いお姉さんでいなければならないストレス。唯一ゆっくりできる図書室から自分のお気に入りが次々引っ込められていく。友人たちと始めた本の救出作戦。
子どもの本らしい運びだが、小学3~4年生くらいのこから楽しめるのでは。
司書のジョーンズさんが、さりげなく利用者の読書記録について一言言うところは、わかってほしい。 -
子どもと本と秘密。
わくわくしないはずのない3つが揃った物語。
小学校の図書室から、大好きな本が貸出禁止になってしまったことをきっかけに、一歩も二歩も踏み出していく主人公エイミーが愛おしい。
そして子どもたちが繰り出す作戦が、どれも最高!
大笑いして涙した後で、子どもと本の関わりをどう見守ったらいいんだろうと考えずにはいられなかった。 -
主人公は小学4年の本好きの少女。大人しくて、自己主張が苦手。学校図書館で大好きな『クローディアの秘密』が貸出禁止になったことから、友達と抵抗運動を開始する。
まず、貸出禁止になった本を買ったりもらったりしてかき集め、密かに貸し出す、ロッカー図書館を運営する。
それがバレて、校長に出席停止を命じられると、今度は奇策にうって出る。
物語がテンポよく、登場人物達も個性があって、読み物として面白い。それだけでなく、「いい本」を誰が決めるのか、表現の自由、間違っていると思うことがあったら正しいやり方で戦う、といった大切なことがきちんと書いてあって、アメリカの良心を感じた。
日本とは比較にならないほどアメリカの司書の地位は高いことにも驚く。そもそも図書館学でドクターを持っている司書なんて日本にはほとんどいないだろう。(就職先がないから。研究者の椅子は極めて少ないし、ドクターの司書がいる図書館なんて国会図書館くらいじゃない?)それほどの人材なら、この本にあるように、学校の図書について異議があれば、教員で作った委員会で協議した後、最終決定を下すのは司書というやり方ができる。求められる能力も高いが、報酬も権力もちゃんとある、というのが司書のあるべき姿だという気がする。
この本で貸出禁止になった本は実際アメリカの図書館で異議申し立てや貸出禁止措置を受けた本だということだが、『クローディアの秘密』『マチルダは小さな大天才』『ギヴァー』など名作ばかりで驚く。
しかし、それだけ図書館の子どもの本に関心の高い人が多いとも言える。日本では『はだしのゲン』が一時問題になったが、あれはどちらかと言うと政治の右傾化が影響したという感じだし、マンガだし(きちんと読まなくても、刺激的な絵や表現のところだけ見て言うことができる。)。児童文学を読んでいる大人がどれだけいるだろうか。貸出禁止措置は頓珍漢だが、(内容をきちんと読めていれば、どんなに素晴らしい本かわかるわけだから。)児童文学に関心がある大人が、日本よりは多いとは言える。
アメリカは日本以上に読書離れが激しいんじゃないかと思っていたので、これがどれくらいリアルなアメリカの小学生に近いかは気になるが、この本に共感できる子どもが一定数はいる、というのはすごいなと思う。日本の小学生で『クローディアの秘密』や『ギヴァー』や『豚の死なない日』を読める子どもがどれほどいるか。
しかし、じゃあ日本の児童文学で『クローディアの秘密』や『ギヴァー』などに相当するほどレベルの高い物語があるかと言われれば、多分ない。そこが、日本で児童文学が低く扱われる理由だと思う。
子どもにもいいけど、子どもの本に関わる大人にも読んでほしい。 -
エイミー・アンは本が大好きな小学4年生の女の子。家ではうるさい二人の妹たちがいてゆっくり本も読めないので、学校の図書室で毎日本を読んでいました。ところが、エイミー・アンが一番好きな『クローディアの秘密』が突然貸出禁止になってしまいます。教育委員会の決定だといわれても納得できない!普段は自分の意見や気持ちを言えないエイミー・アンでしたが、本を救うために行動します。その方法は…。
ドキドキするお話で、「本を読む自由」についてわかりやすく考えさせてくれます。ただ、「利用者の秘密をまもる」ことが軽く扱われていることには違和感があります。 -
本が大好きな四年生のエイミー・アンは、保護者の恣意的な貸出禁止に対抗して、禁書を集めた『ロッカー図書館』を開く。実在の本がたくさん出てくるし(巻末の文献リストが4ページもある)、秘密の図書館を運営するために仲間と工夫するのも楽しい。長女として色々なことを我慢させられていたけれど、少しずつ自分を表現していくエイミー・アンを応援したくなる。図書館の在り方について考えさせられると同時に、物語としてもとても面白かった。