皆川博子作品精華 幻妖幻想小説編

著者 :
  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592750055

感想・レビュー・書評

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  • 来月「結ぶ」が文庫で復刊するのを1人お祝いして再読。「結ぶ」と同じく復刊を期待する「あの紫は」からも数篇収録。「幻妖」という副題がぴったりの、この妖しい曖昧さが好きです。ややグロテスクな「猫の夜」や「結ぶ」は作風がガラッと変わって面白いし、「恋物語」からの数篇は展開が鮮やかでいいですよぉ、とっても。皆川さんにはぜひ、「景清」のような和物で、過去と現在が少しずつシンクロしていくような、おそらくそうだろうと推測できるけれども曖昧なままで終わる長編を書いて読ませてほしい。

  • 2001年までに発表された幻想短編小説集。以前、『ゆめこ縮緬』と『猫舌男爵』を無心に読んで「雰囲気が違う...」と驚いた。皆川博子は軽々とジャンルを越えるひとなのだ。

    巻末に東雅夫の丁寧な解説が付いているので、気に入った話から好みに合う単行本を探せる。今後は優美な和風幻想系と、クールな狂気全開のホラー系を読むことにした。

    和風幻想では中洲の病院シリーズ(連作とは知らなかった)の「月琴抄」と「文月の使者」、狂気ものでは「猫の夜」と「結ぶ」が特に良かった。「猫の夜」はほんとにいけない。この一話だけでも読む甲斐あり。

  • 少しゾッとするような、怖いけど悲しい気持ちになるようなお話揃い。綺麗な文章でどんどん引き込まれる。

  • 「風」
    鳥の標本士の女と、その女に手懐けられた庭と、その女の夫となった男の妹の、ある意味では三角関係の物語。
    彼女は風になったんだよ。

    「丘の上の宴会」
    ラスト、そっくり返ります。
    宴会ってそういう…なるほど…。
    小川さんは…やっぱり横恋慕してたんだろうか…。
    これが本当の、死後の恋。

    「カッサンドラ」
    分かる…分かるぞ…。
    最近藤村シシン先生のfgo雑談聞いてるから、ヘクトルとアキレウスとパリスと…。なるほどなるほど…。
    これはカッサンドラが実の兄に懸想をしていたからアポロンがブチギレて、兄の仇を討ったのもカッサンドラっていう設定。アツ過ぎる。でもめちゃんこ好きだ、こういうの。

    「エレエヌ」
    元ネタ…一体何なんだ…。
    でもこれは、ストレートに幻想小説ぽい。
    血生臭い近親憎悪も皆川節が効いてる。

    「お七」
    八百屋お七かと思ったら、違った…。
    この世全てを焼き尽くす炎の記憶。

    「トリスタン」
    イズーってそうか…イゾルデ…。
    これはストレートにトリスタン物語っていうか、同じ名前の女に惹かれた傷ついた男の話。しかしこれもまた好きだな…。

    「猫の夜」
    つ、つまり…どういうことだってばよ…??????
    時計犬…とは…????

    「ひき潮」
    何…?????何をしているのか…?????
    手のひらに開けた穴に海水を持ち帰って…???????
    いつもの皆川博子節と、またちょっと違う気がする…。

  • 言葉の綺羅と、超絶の奇想―幻想文学の極北に位置する妖しき名品を集大成。30編収録。(アマゾン紹介文)

    既読も未読も、堪能しました。
    既読では『雪花散らんせ』。
    未読では『空の色さえ』。
    皆川作品の(短編)作品は、大体において一般的にはハッピーエンドではありませんが、そのいずれの主人公も状況や結末を、諦観して、もしくは当然のように受け入れていきます。それが、なぜか、心地よい。

  • 皆川さんの作品の魅力が1冊で楽しめます。とくに「結ぶ」と「砂嵐」が良かったです。東さんの気合の入りまくっている解説も必見です。

  • 好:「幽れ窓」「丘の上の宴会」「猫の夜」「砂嵐」「結ぶ」

  • 一篇一篇がここまで密度が高いとは……@@
    まとめて読むと、皆川先生の『才能』というより、『とり憑かれたような筆さばき』にただただ感心するのみ。

    いつの間にか生きるものと死せるものが仲良く語り合っている。

    世界の歪みから、肉体の歪みにまで、「異形のもの」はそこかしこに口を開けて潜んでいる。

    巻末の解説も非常に読み応えあり。
    未読の短編も読めたので、お得感いっぱい。

  • 恐ろしいほど美しかったです。
    博子先生の短編は本当に素晴らしいです。
    大好きです。
    各作品を単行本で持っているけど、改めて買ってしまいました。
    いつか全て集めるぞ。

  • 「桔梗闇」が好き。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

皆川博子の作品

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