世界で最後の花 (一般書)

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  • / ISBN・EAN: 9784591178102

作品紹介・あらすじ

なぜ人間は戦争を繰り返すのか?
わたしたちは戦争のない未来をつくることができるのか?

雑誌『ニューヨーカー』で活躍した著者が、第二次世界大戦開戦の直前に戦争のない未来を願って描いた名著を、村上春樹の新訳で復刊。

戦争が起こってしまう「今」を生きるわたしたちに託された平和への願い。
大人から子どもまで読める、戦争を考える本。

【内容紹介】
第十二次世界大戦が起きた世界。文明は破壊され、町も都市も、森も林も消え去った。残された人間たちは、ただそのへんに座りこむだけの存在になってしまった。ある日、ひとりの若い娘がたまたま世界に残った最後の花を見つけます。その花をひとりの若い男と一緒に育てはじめます。すると……。

【ニューヨーク・タイムズ紙絶賛!】
「戦争に関する作品のなかで、最もシリアスで、最も皮肉とユーモアを感じる一冊である」

【村上春樹氏による訳者あとがきも収録】
世界では今でも、この現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら、当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。(「訳者あとがき」より抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • 本文の文章(村上春樹訳)をそのまま使用して途中端折りながら大まかなあらすじを書きます。

    あらすじー

    第十二次世界大戦があり
    文明が破壊されます。

    少年たちと少女たちは成長しても、
    ただおたがいをぼんやり見つめあうだけです。
    愛がこの地上からそっくり消えてしまったから。

    ある日、それまで花をいちども見たことのなかった
    若い娘が、たまたま世界に残った最後の花を目にしました。

    彼女の話に興味を持ってくれたのは、
    よそからやってきたひとりの若い男だけでした。

    若者と娘は花に養分をあたえ、
    花は元気をとりもどしました。

    花は二本になり四本になり、
    林と森がまた地上にもどってきました。
    世界に愛が再びうまれました。

    若者と娘のあいだに子供が生まれ育ちました。

    町や都市や村が生まれました。

    そして兵隊たちも。

    まもなく世界にはまったくなにひとつ残りませんでした。

    ただひとりの男性と
    ひとりの女性と
    そして一本の花だけはべつにして。



    訳者あとがきより抜粋
    (前略)
    本作品『世界で最後の花』は1939年11月に刊行され、その年の9月にナチス・ドイツ軍がポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発していると述べています。(中略)
    この本はローズマリーに捧げられていますが、彼女は1932年に誕生したサーバーの一人娘でした。彼女の生きた世界は、お父さんの願い通り「より善い」世界だったのでしょうか。(中略)
    みなさんもご存知のように、世界では今でもこの現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。



    感想
    血なまぐさい戦争をどうにか明るいファンタジーに描き希望がみえるところがよいと思います。
    「世界で最後の花」がまだ現れるうちは希望があります。
    「世界で最後の花」が二度と現れなくなったらと思うと怖い気がします。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      サーバーのサラっとした絵が重い話を読み易いものにしている、、、
      私達に出来るのは、花を何かの引き換えに差し出さない覚悟を持つコト...
      まことさん
      サーバーのサラっとした絵が重い話を読み易いものにしている、、、
      私達に出来るのは、花を何かの引き換えに差し出さない覚悟を持つコトかと。。。
      2023/07/18
    • まことさん
      猫丸さん♪

      「私達に出来るのは、花を何かの引き換えに差し出さない覚悟を持つコト」。
      深いですね。
      猫丸さんの、コメント。
      猫丸さんも、読了...
      猫丸さん♪

      「私達に出来るのは、花を何かの引き換えに差し出さない覚悟を持つコト」。
      深いですね。
      猫丸さんの、コメント。
      猫丸さんも、読了レビュー書かれればいいのにと思います。
      2023/07/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      にゃ〜
      まことさん
      にゃ〜
      2023/07/18
  • 分かりやすい文章と絵が繰り返され、人間たちの愚かさをくっきりと浮かび上がらせる
    誰もが平和な世界を願っているはずなのに
    何故私たちは争うのだ


    『戦争によって
    文明が破壊されてしまいました。
    町も、都市も、村も、地上からそっくり消えてしまいました。
    森も林も全滅しました。
    そしてすべての庭も。
    そしてすべての芸術作品も。
    本も、絵画も、音楽も、地上からなくなりました。
    愛も消えてしまいました。
    生き残った数人の将軍たちも、
    最後の戦争が何のためのものだったのか、
    もう思い出せません。』


    『たまたま世界に残った最後の花をきっかけに、再び世界に愛が生まれます。
    様々なものが世界に戻ってきます。
    そして兵隊たちも。
    まもなく世界中が再び戦争になりました。』



    私たち人間はなんと愚かなんだろう。
    この作品は1939年刊行。
    そして現在2024年も同じ事を繰り返している。

    私たちはまだ間に合うんだ。
    最後の花は枯れていない。
    世界から何もかも消えてしまう前に、何をするべきなのか。
    今こそ向き合う時だろう。


    この作品は多くの国で翻訳出版されているとのこと。
    是非、世界中の人に読んでほしいと思った。

    • Manideさん
      今日は、とても青い空で、ほのぼのとしてます。

      これから、コナンの映画を観てくるんですが、
      映画館までテクテクと歩いてます。

      ほんと、争い...
      今日は、とても青い空で、ほのぼのとしてます。

      これから、コナンの映画を観てくるんですが、
      映画館までテクテクと歩いてます。

      ほんと、争いなく、幸せに生きていけるといいですよね。
      2024/04/28
    • aoi-soraさん
      コナンは大人と子供が一緒に楽しめる映画ですよね^⁠_⁠^
      ほのぼの休日、いいですね♪
      私は近くの山でハイキングしてきました。
      最近運動をサボ...
      コナンは大人と子供が一緒に楽しめる映画ですよね^⁠_⁠^
      ほのぼの休日、いいですね♪
      私は近くの山でハイキングしてきました。
      最近運動をサボっていたので、結構疲れたよ
      夕飯の時のビールが楽しみ✧⁠◝⁠(⁠⁰⁠▿⁠⁰⁠)⁠◜⁠✧
      2024/04/28
    • Manideさん
      山もいいですね、ゆっくり楽しんで、幸せを満喫しましょう(^-^)
      山もいいですね、ゆっくり楽しんで、幸せを満喫しましょう(^-^)
      2024/04/28
  • 8月は意識して先の大戦に関する書籍を手にするようにしています。

    ある意味で本書も関連書籍なのでしょう。

    「何のための戦争だったのかもう思い出せない」
    印象的な言葉です。

    そんな状況でも時間が経てば同じ過ちを繰り返す...なんて愚かな...

    救いとなるのは「世界で最後の花」を守るため、守ろうとする人がいるという事。

    ハルキストではありませんが、村上春樹さんの新訳で復刊した本書、夏休み中の子供たちにも手にして欲しいと思います。



    なぜ人間は戦争を繰り返すのか?
    わたしたちは戦争のない未来をつくることができるのか?

    第二次世界大戦開戦直前に描かれた、今を生きるわたしたちに託された平和への切実な願い。世界で読み継がれてきたロングセラーを、村上春樹の新訳で復刊。

    <あらすじ>
    第十二次世界大戦が起きた世界。文明は破壊され、町も都市も、森も林も消え去った。残された人間たちは、ただそのへんに座りこむだけの存在になってしまった。ある日、ひとりの若い娘がたまたま世界に残った最後の花を見つけます。その花をひとりの若い男と一緒に育てはじめます。すると……。

    【ニューヨーク・タイムズ紙絶賛!】
    「戦争に関する作品のなかで、最もシリアスで、最も皮肉とユーモアを感じる一冊である」

    【村上春樹氏による訳者あとがきも収録】
    世界では今でも、この現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら、当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。(「訳者あとがき」より抜粋)

  • 兵隊たちが行進し、突撃する絵が不気味です。戦争は今やそれで儲けたい人がさせているものだと思っていますが、始めさせるには多くの妬みや憎しみの種をまかなければならないのでしょう。やってみればきっと人を殺すことはとてもイヤな感じがするものだろうに、続けてしまうのは感覚が麻痺してしまうから?戦争は下手をしたら人類という種の絶滅さえ招きかねないのに、そういうことが出来る人間というのは不完全な生き物なのだな、と思いました。

  • かなさんのレビュー拝見して手に取った本。
    荒廃した世界に最後の希望を見つけて復興が進む
    より良い世界を求め飽和状態になると
    弾けてしまい希望は絶望に
    想像と破壊が繰り返される
    一体何度繰り返せば学習するのだろう
    みんな忘れてしまう
    世界で最後の花に
    どう向き合うのがいいんだろう

    • かなさん
      しじみさん、こんばんは!
      早速読んでいただけて嬉しいです(*^^*)

      そうなんです、色々考えさせられる作品で
      何をしたら、よいのか...
      しじみさん、こんばんは!
      早速読んでいただけて嬉しいです(*^^*)

      そうなんです、色々考えさせられる作品で
      何をしたら、よいのか…
      このままじゃ、いけない危機感はあるんだけれど、
      じゃ、個人的にはどうしたらいいのか…

      でも、この作品を読んだから、
      こういう気持ちにも改めてなったわけだから
      この作品には、私は感謝してます。
      2023/08/29
    • つくねさん
      かなさん、今晩はっw

      図書館行ったらあったので早速読みましたっw
      いろいろ考えさせられますね。昔から同じ事繰り返してる訳だから
      い...
      かなさん、今晩はっw

      図書館行ったらあったので早速読みましたっw
      いろいろ考えさせられますね。昔から同じ事繰り返してる訳だから
      いっそのこと最後の花そのまま終わらせた方がいいのではと思ったりもしたんですけど・・・・・
      希望がある限り、何度でも前に進まないといけないのかなって感じです。
      作品を通して、そんな気持ちになれたことにも感謝ですよねっw
      かなさん、ありがとうございました♪

      2023/08/30
  •  今だからこそ読みたい、読んでおくべき作品だと感じました!そして、読んでよかったと思いました。作はジェームズ・サーバーさん作、訳を村上春樹さんが手がけられています。

     ストーリーは、第十二次正解大戦後の何もない世界からはじまります。何もない世界では、生きている人間も何も感じない無の世界…。そんな中、1人の女性が世界に残った最後の花を見つけ、その花を1人の男性と一緒に育てることになるのだが…。

     過ちを繰り返すのが人間…でも、繰り返さないようにできるのも人間なのではないでしょうか…。先の大戦も、今まさに起きているウクライナ侵攻も、何のためなんでしょう?そこにあるのは大きな犠牲だけ…みんなわかっているはずなのに、やるせないですよね…。「世界で最後の花」を守るために、私にもできること…考えていきたいと感じました。

    • かなさん
      しじみさん、こんにちは!ありがとうございます。
      そうなんです、第十二??って驚きますよね(゚д゚)!
      でも実際に作られたのは、
      第二次...
      しじみさん、こんにちは!ありがとうございます。
      そうなんです、第十二??って驚きますよね(゚д゚)!
      でも実際に作られたのは、
      第二次世界大戦前のようです。

      でも第二次世界大戦後の今でも
      戦争をしている国もあって、終わりが見えない…
      ジェームズ・サーバーさんがもし存命だったなら
      きっと嘆くでしょうね…。

      「世界で最後の花」を守りたい気持ち、
      大事にしたいですね(^^)
      2023/08/28
    • つくねさん
      えっ、そんな昔に作られたお話しなんですか!
      驚きました。
      なんだか読んでみたく思いましたよ。
      えっ、そんな昔に作られたお話しなんですか!
      驚きました。
      なんだか読んでみたく思いましたよ。
      2023/08/28
    • かなさん
      しじみさん、おはようございます(*^-^*)
      そうなんですよ、結構前ですよね~!
      この作品を、最近今をときめく?村上春樹さんが
      訳して...
      しじみさん、おはようございます(*^-^*)
      そうなんですよ、結構前ですよね~!
      この作品を、最近今をときめく?村上春樹さんが
      訳して出版してるんです!
      絵本で絵はラフ画だからかわいいとか
      キレイとかはないけれど
      その分、メッセージが伝わりやすいと思います。
      だから、すぐに読み切れます。
      訳した村上春樹さんのあとがきも、心に響きます。
      よかったら、手にしてみてくださいね。
      2023/08/29
  • この本は。
    人類へのギフトてす。

    度重なる戦争で、幾度美しい地球を台無しにしても懲りることなく破壊を繰り返す愚かな人類へのギフト。
    どうか人類に、このギフトの意味を受け止める度量がありますように…。

    この本が創刊されたのは第二次世界大戦が勃発したばかりの頃なのです。
    そして、なんと。
    この本の始まりは人類が第十二次世界大戦を起こした時の話。

    戦争により世界が丸ごと破壊され、人々が愛や希望を失った時。
    1輪の花が1人の心を救いました。
    花は人の心に愛をもう一度灯し、やり直す勇気をくれたのです。
    たった1輪の花が。
    絶望からのやり直しはとても大変なことなのに、人々は愛と知力で復活させました。
    それなのにどういうことでしょう。
    文明からは再び邪悪な心や妬みが産まれ、またしても戦争に…。

    いまだまさにそのループのただ中にいる私たち。
    一輪の花も残らないほどに地球を痛めつけてしまう前に気づいてほしいと願わずにいられません。
    人類はただの地球のいちメンバーにしか過ぎないことを。

    訳者である村上春樹さんのあとがきにギュッと心がしめつけられます。

  • 村上春樹の新訳で、世界で読み継がれる名著を復刊。戦争が起こってしまう「今」を生きるわたしたちへ託された、平和への願い。2023年6月14日発売予定。|株式会社ポプラ社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000629.000031579.html

    そして、一輪の花のほかは… - Webcat Plus
    http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/1745112.html

    世界で最後の花|一般書|翻訳|本を探す|ポプラ社
    https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008427.html

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    そして、一輪の花のほかは… ジェイムズ・サーバー(訳:高木一郎) 1983年5月10日 篠崎書林... | Tumblr
    https://nyankomaru.tumblr.com/post/61058399489/1983-5-10

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『そして、一輪の花のほかは…』のレビュー ジェイムズ・サーバー (猫丸(nyancomaru)さん) - ブクログ
      https://boo...
      『そして、一輪の花のほかは…』のレビュー ジェイムズ・サーバー (猫丸(nyancomaru)さん) - ブクログ
      https://booklog.jp/users/nyancomaru/archives/1/4784101586
      2023/06/06
  • 人間の愚かさだけが描かれてる…
    何回繰り返せば気がつくのか…

  • 本屋に平積みになっていたので、手に取ってみた。
    ヒトラーのポーランド侵攻により第二次世界大戦が勃発した直後に書かれた本。

    プーチンをヒトラーに準える意図が出版側にあるのかどうかよく分からない。

    作中で戦争が再度起こる筋書きからは、作者の諦観の方を強く感じる。それでも、人間の出直し力に期待してしまう、ということだろうか。

    ソ連の長さも、明治維新から太平洋戦争までも74年だが、2.5世代が経つと、じいちゃんばあちゃんの生の声(肉親の肉声)での、記憶の伝承が出来なくなって、同じような試行錯誤を繰り返すのだろう。

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著者プロフィール

新聞記者を経てニューヨーカー誌の編集、同誌への原稿執筆等等で活躍。同時にエッセイ、小説、漫画、児童書等の分野でも業績を残しており、邦訳も多数ある。映画「虹をつかむ男」('47、アメリカ、ダニー・ケイ主演)の原作者としてもしられている。1894~1961年。

「2019年 『たくさんのお月さま 物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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