君の名前の横顔

著者 :
  • ポプラ社
3.51
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本棚登録 : 521
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591171820

作品紹介・あらすじ

世の中のすべての悲しみを避けて歩くのも、
なんだか気持ちの悪いことのような気がした。

『いなくなれ、群青』、『昨日星を探した言い訳』の著者が描く、
血の繋がらない家族と名前をめぐる物語。


夫を亡くし、小学生の息子・冬明を一人で育てるシングルマザーの愛。父親の死後、義母の愛と弟の冬明を見守りながらも、家族という関係に違和感を持つ大学生の楓。
「世界の一部を盗む」想像上の怪物・ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない冬明に二人は寄り添おうとするが、「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」と冬明が告げた日から、現実が変容していく。
ジャバウォックの真実を知ったとき、あなたもきっと、その怪物を探し始める――。

家族とは、常識とは何かを問い直す、壮大でまったく新しい傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた本。
    家族、常識とは何かを考えさせられるお話でした。
    ファンタジー要素もあって面白かったです。
    河野裕さんの作品を読むのは2つめですが、世界観も好きで読みやすかったです。

  • タイトルや装丁から社会派か家族小説なのかなと思っていたら、ファンタジーだった。

    個人的にはファンタジー要素がないほうがよかったなあ。なくても充分成り立つと思う。
    この物語の世界観に入り込めなかった。

  • ❇︎
    横顔
    1. 横から見た顔。横向きの顔。
    2. 意図的に横に顔をそむけること。その顔。
    3. ある人物の日常的な、あるいは、
     あまり人に知られていないような一面
    (新語新知識)

    10歳の少年で弟 冬明
    20歳の青年で兄 楓
    冬明の母で楓の義母 愛
    愛の夫、冬明と楓の亡くなった父 英哉

    父はSNSの過激で執拗な誹謗中傷が原因になり
    5年前に亡くなった。

    変わってしまった世界の中で、
    シングルマザーになった愛は工務店で営業の
    仕事をしながら一人で冬明を育てる。

    不調を訴え徐々に学校に行けなくなる冬明。
    原因を訪ねる楓に冬明はジャバウォックがいて
    騒ぐと頭が痛くなるからと説明する。
    ジャバウォックは、得体の知れない怪物で
    楓が教えてくれたと告げる。

    ジャバウォックの正体を調べる楓は、
    5年前に何かが欠けてしまった事が原因では
    ないかと考え始める。

    見えない世界から突きつけられる理不尽な力、
    自分本意な正義をかさにした大きな唸り。

    家族に感じること、親子の愛情、子と親の関係、
    友情や恋、想像力に欠けた無自覚な悪意の矢は、
    時に大きく世界を歪めて変えてしまう。

    楓、冬明、愛の感情が交差する中、大切なことが
    欠けてしまった世界は元の姿をとり戻せるのか。





  • 愛は、離婚して一人息子の楓と暮らす牧野英哉と結婚し、冬明を授かる。英哉が死に、10歳になった冬明は不登校気味で、愛は困惑し疲弊していた。二人を見守る楓は、冬明の「ジャバウォック」の話を聞き、調べ始める。

    著者らしく、世界の改変につながる話。そのきっかけをもたらしたある人物の悪意が心底怖い。

  • 家族とはなにか。血の繋がりとはなにか。名前の持つ意味。正義とは?常識とは?
    高揚した議論の賜。ちょっと哲学的な。
    パラレルワールド的な。
    ジャバウォック、記憶に残るな。

  • 家族とは、血のつながりとは、そして捨てるべきものとは。

    SNSによる中傷で追い詰められた父親が自死したあと、義母と弟と距離をとって生きる大学生の楓。
    それなりにうまくいっていた「家族」。だけどそこには向き合わねばならないある現実があった。
    誰にでもある、見たくないもの消してしまいたいもの。
    でもある日突然、何かが無くなり、世界が少し変わっていたら…足元が揺らぐような、腕に鳥肌が立つような、得体のしれない恐怖を感じるこの設定。

    半分血のつながった弟と、義母。少し欠けた家族の中で、楓が立ち向かうべき「敵」。
    ニュースを見ていてよく耳にする「バールのようなもの」。よく聞くけれど、その実態は見たことがない。知っているのに知らないもの。そのバールのようなものがこんな壮大な一つの物語になるなんて。

    何かを手に入れるためには何かを捨てなければならない。受け取るためにはその手をカラにしなければならない。そして私たちはいつも、新しい何かを築くために、壊していくのだろう。バールのようなもので。
    楓の決断を、その勇気を、私は確かに受け取った。

  • 哲学的な小説で、ちょっと何言ってるか分からない的な表現が多いのがイラっと来る。
    若干、いや大いにファンタジーの世界観で不思議の国のアリス、いや鏡の国のアリスのモチーフがベースとなっており、ずーっとジャバウォックが登場する。完全なファンタジーとして読んでいる分にはそういう話なんだと理解できるが、一般小説として読むにはあまりに荒唐無稽でローカルな話なのかワールドワイドな話なのか作者はどこまでの影響を考えているのかよくわからない仕様を押し付けられた感で不満が残る。
    発想や着眼点は面白いのだが、やってることは目の前のことだけしか見てはいけない物語なので相当頭をフレキシブルにして読まないと挫折してしまう。

  • ファンタジーだった。
    急に無くなってしまうものがある。
    ジャバウォックが盗むから。
    ジャバウォックって何だろう?と楓(冬明の義理の兄)が探る。
    探り方がとても優しい。
    境遇の複雑な家族。
    SNSの悪意に追い詰められ自殺した父親。
    ジャバウォックは、昂揚した議論のたまもの。
    この世界に実在する怪物を言い表している。SNSで、大勢の人たちが昂揚した議論を交わし、そして誰かを攻撃する。巨大だけれど実態がない。怖しい怪物。
    アリスが出てきてますますファンタジー色が強くなりびっくりした。
    ジャバウォックは、鏡の国のアリスに出てくる怪物。
    千守がとても良い友人で良かった。
    冬明の話かと思ったが、この本は楓の話だった。
    産みの母親のことは、本当にショックすぎて辛い。
    乗り越え方が大人ですごい。
    家族の愛を感じた。良書。

  • 河野裕さんの新刊!

    名前がある事で視点が定まる
    でも、視点が定まりはするけどその名前がついてるものの全てを表現してる訳じゃ無い
    だから横顔もある

    スピッツの歌詞の話すごい好き

  • ものすごくつらいことがあって、自分を守るために何かしらの方法を生みだす的な話だと思うのだけれども、結果として裁かれるべき奴が裁かれていないのは納得いかない。
    ちなみに国語科の豆知識として、「辛」は常用漢字としての読みは「から・い」しかないのである。「つら・い」ではないのである。からいモノが好きな人は多いから、ええ名前ちゃうか。

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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