- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591171639
作品紹介・あらすじ
恩田陸氏、清水ミチコ氏、推薦!
実は老後の話でもピアノの話でもなく、
私たちがどう生きるかという話だったのに
びっくり。励まされます!
――恩田陸
人はピアノの前に座ると、自分との対話が始まる。
稲垣さんの対話は、正直で面白いうえ、
読んでるこっちまで参加したくなる。
――清水ミチコ
朝日新聞を退職し、50歳を過ぎて始めたのは、ピアノ。人生後半戦、ずっとやりたくても、できなかったことをやってみる。他人の評価はどうでもいい。エゴを捨て、自分を信じ、「いま」を楽しむことの幸せを、ピアノは教えてくれた。老後を朗らかに生きていくエッセイ集。
〇 目次
1章 40年ぶりのピアノ
2章 弾きたい曲を弾いてみる
3章 動かぬ体、働かぬ脳
4章 ああ発表会
5章 老後とピアノ
コラム 大人のピアノのはじめかた
付録① 私が挑んだ曲一覧
付録② 私の好きな名盤11選
稲垣えみ子
1965年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社で、論説委員、編集委員をつとめ、2016年に50歳で退社。以来、夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしの「楽しく閉じて行く生活」を模索中。著書に『魂の退社』『寂しい生活』『人生はどこでもドア』『アフロ記者』『一人飲みで生きていく』など。『もうレシピ本はいらない』で第5回料理レシピ本大賞料理部門エッセイ賞を受賞。
感想・レビュー・書評
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「それは予想もしなかったことだ。ピアノを練習するとは、「結果を出して世間に認められる」と現代人誰もが人生の唯一の価値と思い込んでいるものとは全然別のことなのであった。上も下もない。どんなに凡庸な人間でも、自分の心の中のどこかに隠れていた美しいものに、自分の手で火をつけることができる」p249,250
いやー、楽しかったです。
転んでもただでは起きぬ、ってこういうこと。
40年ぶりのピアノが連れて来たものは―――。
1年後にドビュッシーの『月の光』を弾けるようになることを目標に、イケメンピアニストに習い、近所のブックカフェでのピアノの練習を始める稲垣さん。
小学生のころピアノを習っていたとはいえ、立ちはだかるのは身体と脳の老い。なかなか思うようにいかない。
それでも、諦めず、いや、諦められず、難関ごとに工夫して何とかやってゆく。
その思考の柔軟さに感銘を受けた。
若い人は若い人の、老いゆく人は老いゆく人の、考え方のコツと生き方のコツがある。
人生はいくつになっても発見と驚きに満ち満ちている。
あー、ピアノ弾きたいなあ。←さっそく影響受けている人。
ギターでもウクレレでも、フラダンスでもいいな。
自分の身体で意思をもって、自分を造っていきたい。表現したい。
そんな思いになる、ワクワクするエッセイ。
付録に稲垣さんがチャレンジした曲一覧と、稲垣さんオススメのピアノ演奏のCDアルバムが紹介されている。
ピアニスト・ダニエルバレンボイムさんの生き様にはただただ敬服するのみ。 -
この本大好き!
面白すぎる!
共感と分かりみしかない!
大人になってからピアノ始める方って意外と多いのよね。
でテキストに花丸付けてあげると物凄く喜んでくれるの。
確かに大人になったら花丸なんてもらう機会なくなるものね。
この本読んで大人の生徒さんの心の内がよーく分かった。
しかし…この方元々子供の頃結構弾ける子だったんじゃないかしら。
40年ぶりの最初の一曲目が、きらきら星変奏曲からってなかなかよ?
確かに大人になってからのピアノは好きな曲から始められるけど、弾いてきた曲の数々に驚いた。 -
小学校時代に習ってたピアノを40年ぶりに再開した著者の生の声を文字で聴けたという感じだ。
ピアノと出会い、時間もあるし、コツコツ努力すればピアニストにはなれずとも、何某かのモノにはなるだろうと…。
何事もやればできる!
老いたって若者なんかには負けるもんか!
いくつになっても夢を諦めない!
ってやつで、挑戦した。
だが、ピアノのという山はとんでもなく高かったと。
衰えた身体では思うようにはいかず、老体に鞭打ちながら、壊れそうになりながらピアノに向き合う日々をありのままに綴っている。
「楽器が音を奏でる」ということの本質的な素晴らしさやワクワク感。
そして、毎日のように音を奏でていた頃の懐かしい思い出がイキイキと蘇ってくること。
それがピアノっていいですね。ってことなんだと…。
上手く弾けるかどうかじゃなく、曲へのみずみずしい愛を持っていること。
ピアノに向かう著者の姿勢と根性に感服する。
自分も著者と同様にピアノを弾いてみたい…とは思うのだが、まず楽譜を読むのに苦労する。
…というか、理解できない、ドレミを書き込みたくなるのだ。
指も思うように動かない。
両手なんて、とんでもないのだ。
あ〜無理だな、と一瞬で諦める自分。
私の時代もかなり、かなり遡るのでオルガンである。
小学低学年の頃、少しだけ習った記憶がある。
ただ、なぜか発表会ではオルガンを弾いていないのだ。木琴だったのだ。
下手だったからか…。
娘には、ピアノを買って習わせた。だが、引っ越しと同時に辞めた。
娘の部屋には、調律のしていないピアノがあるのだが…。
ビロードのカバーをかけて眠っている。
ごめんねと言わざるを得ない。
ピアノを聴くのは大好きなのだ。
弾けないからたまに自動伴奏して聴いている。
ちょっと弾いてみようか…。 -
著者が50の手習いで始めた「大人のピアノ」。ピアノを持たず、近所のブックカフェをホームグラウンドとして日夜練習に励む著者の「ヤドカリピアノライフ」。その格闘の日々を綴ったエッセー。「目標がなくとも、どこにも向かっていなくとも、今この瞬間を無意味に努力することそのものが楽しい」。
練習に練習を重ねても、なかなか進歩せず、老いからくる身体と脳の衰えに意気消沈する著者。練習のし過ぎで腱鞘炎にもなってしまい…。「中高年のピアノとは、時間がない! なのに焦っちゃいけない! という永遠の矛盾の中にある」。やがて、発表会で他の人の演奏を聴いて「誰だって、いくつになったって、下手くそだって、ピアノを弾く意味というものがちゃんとあるのだ。どんなに困難な人生を歩んでいても、ピアノを弾くことで自分の中の思いもかけない美しいものと向き合うことができる。そして、人の中にも同じように美しいものがあるんだと信じることができる。それさえわかれば、人生十分ではないか」と悟りを開く著者。そして老齢ピアニスト・バレンボイム氏の演奏を聴いて、「本当に肝心なのは上手く弾けるかどうかじゃなくて、曲へのみずみずしい愛を持っていること」だと達観する著者。ピアノにとことんのめり込むことで見えてきた著者の老後=「これからは手放していく。目標も、野望も。そして小さな一瞬にかける。今にかける。そこで初めて、生の自分が出てくる。思いもよらぬ自分が自分から出てくる。それを自分で認めてやれば良いのだ」。
これまでピアノには全く縁がなかったが、著者と同世代ということもあって共感できることは多かった。読み応えあるエッセーだった。著者が懸命に演奏する姿、見てみたいなあ、YouTubeとかに出してないのかなあ、トオモッタラありましたよ!
ビビッドな文章にも魅了された。「メトロノームのごとくリズムを刻んだショパンなんてあーた、聴いたことありますか? 私はありますよ! そうです私の弾くショパンです」といった感じ。
そういえば、50を過ぎて仕事を辞めてマラソンに入れ込んでしまった友人がいるが、彼もこんな心境なのかな、とちょっと思った 。 -
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稲垣えみ子「老後は成果主義の価値観より、単なる趣味こそが人生を支える」〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
https:...稲垣えみ子「老後は成果主義の価値観より、単なる趣味こそが人生を支える」〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
https://dot.asahi.com/aera/2022021000063.html2022/02/15 -
老後の習い事指南 by アフロ記者『 老後とピアノ』 - HONZ
https://honz.jp/articles/-/51096老後の習い事指南 by アフロ記者『 老後とピアノ』 - HONZ
https://honz.jp/articles/-/510962022/03/03
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著者の稲垣えみ子さんは有名な方だと思うが、私が初めて知ったのは昨夏読んだ清水ミチ子さんの鼎談集だった(鼎談相手のもう1人は確か編集者の中瀬ゆかりさん)。朝日新聞で記者として働いていた稲垣さんは50歳で早期退職、ガスも冷蔵庫もない生活をしていると読み、とても印象に残っていた方だった。
その稲垣さんが、今回、ピアノを40年ぶりに再開したことを綴った本を出したと知り、興味を持って手にした。私は稲垣さんとは年代は異なるが、ピアノは好きでよく弾くため(やはり子供時代に習い始め、幸い挫折することなく社会人の今も趣味として続けている)、とても面白く読んだ。とにかく稲垣さんのピアノへ向き合う姿勢が真摯で素晴らしかった。困難にぶち当たる度、試行錯誤してとにかくやってみて前に進む、そして人生の真理をピアノを通して体得されていた。練習量も半端なくとても努力家な方だなとも思った。
諦めずに柔軟な思考で前向きに続けていると必ず突破口があること、ピアノでも何でも確り向き合うことが大切であること、万人受けする上手い演奏をすることではなく自分が今ここで少しでもきれいな音を奏でそれを楽しめることが幸せである(=この姿勢は人生にそのままま通じる)、ということを学んだ。
この本を読み、私のピアノへのやる気も更に上がった。また、ピアノに限らず、物事に真摯に向き合おうと思った。 -
稲垣えみ子さんのピアノ再開ストーリー
テレビで知って手にした本です。
はじめに。私もかつてはかなりの情熱を持ってピアノを再開し、ピアノと生きると人生の目的を見つけた一人でした。
人生の階段には色んな仕掛けがあって、今は一歩引いた所でマイペースなピアノライフを過ごしている。
稲垣さんのピアノに老後とある、これがとても魅力的でどんな向き合い方をしてどんなピアノを…と自分のピアノライフに活かすヒントを得たくて読みはじめる。
とても変わった始め方、ピアノを所有せずにレッスンしている。何何…と書いている事は普通の事でも角度が違う。そんな事出来るんだとか、それはどうなんだろう。そう思うものの、読み進めエピローグに答えがあった。
エピローグが最初にあったら読み進めなかったか…読んだろうけど見方が違ったかもなぁと思える。
そんなに簡単じゃないピアノ。
弾くことも、維持することも、特に理解が得難かったり、何よりモチベーションが保てない。
子供の習い事で終わる方も多い中、いつまでもピアノと暮らす人の工夫が何よりなんだと思えた一冊。
2023年の読了第一冊目がこの本で良かった。 -
『ピアノを弾く』ということに興味があり、手に取ってみたが…。残念ながら、さっぱり響いて来なかった。借りて読んだ本で良かった。
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退社して時間ができたら、まだ元気なうちに、ずっとやりたくてもできなかったことに挑戦したいと、筆者は論説委員、編集委員を務めていた朝日新聞社を50歳で退社。そこで、ピアノに挑戦。
我が家にピアノも無いのに、カフェのピアノを毎朝借りてそこで練習、月一のプロのレッスンを受けながら、三年でショパンのマルズカ、グリークのノクターンを弾けるまでに。旅行に行っても、ピアノスタジオを探してきっちり練習を、プロを目指しているわけではないと言いながら、その根性はプロ顔負けの意思の強さ。
そこで、得た教訓的なものは、70歳過ぎて落語を始めた私にも役に立つことばかり・・・列挙しときます。
・落語をずっと習いたかった。
・今しかチャンスはない。
・「見栄」という強敵。
・焦り、ビクビクしてるからダメなのだ。
・頭が軽くなったら、口が軽くなった。
・大人は、ハードルが高いほど意地になる。
・人の内側の深いところからにじみでる「何か」。
・人生で一度も使ったことのない脳細胞。
・地道な練習も案外悪くなかった。
・しゃべりたい噺を選んでいい⁈。
・わずかな前進も、積もれば大きな一歩となる。
・気持ちは先走り、袋小路に迷い込む。
・これがスランプなのか?
・遅まきながら基本のキ。
・緊張そのものがダメだった?
・力を抜けと言われても。
・こうありたいというエゴを捨てる。
・「目指すべきモノがある」という幸せ。
・発表会、失敗も「自分のため」と思えば。
・本番は練習の3割しか発揮できない。
・所詮プロではないんだから。
不器用でもかっこ悪くても朗らかに落語をやる。
70の手習い、今を楽しむ、でおますな。
検索したら、そちらが出てきたんです。
その本ならば気になってました!
確か「読みたい」...
検索したら、そちらが出てきたんです。
その本ならば気になってました!
確か「読みたい」に登録したはず。
そういえば、どちらも「中年とピアノ」ですね。
読み比べしてみるのも面白そうです♪
オススメありがとうございます!