跳べ、暁!

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 199
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591167090

作品紹介・あらすじ

母親を病で失い、気力を失くして会社を退職した父親と実家のある田舎へ越してきた14歳の春野暁(あかつき)。バスケットに情熱を燃やしていたものの、転校先の平川中に女子バスケット部はない。そこで暁は、学年イチの秀才で運動神経ゼロの欣子、日本に不法滞在の身でほとんど学校に来ていないタンザニア人のプミリアたちと女子バスケット部を立ち上げる。だが、暁以外は初心者でルールさえもよくわからず、練習場所にも事欠く始末。さらにそれぞれの家庭の事情にも苦しめられる。そんなとき、暁の前を華麗なフォームで長身の少女が走り抜ける。それが、暁と本田薫との出会いだった……。

感想・レビュー・書評

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  • /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
     
    単純にバスケットボールのお話なのかと思いきや、いろんなところに話が飛んでいく感じでした。

    不法滞在の家族の話や、奥さんが出ていってしまった家庭の話や、お母さんが亡くなってしまった家族の話と、バスケチームのメンバーの家庭が、いろいろな闇を抱えていて、そんな重いものに潰されそうな中で、バスケに望んでいくという話です。
    さらには、メンバーとの別れが待っていたりして、なんとなく、すっきりしない、ストーリー展開でした。

    そんなお話なのに、試合のシーンが結構なページ数です。なんか、バスケの試合だけにするか、バスケをもっと薄くするかしてくれていたら、よかったのにな〜と、思ってしまいました。

    バスケ小説で熱くなりたかったんですが、微妙でした…残念。
    藤岡さん3作目でしたが、次はリラに…か、空に…を読むので、そちらに期待します。


    /_/ あらすじ _/_/_/_/_/_/

    中学バスケットボールの小説。
    バスケットボールだけでなく、その家族や、生き方、、、とても広い話に膨らんで行きます。


    /_/ 主な登場人物 _/_/_/_/_/_/

    ■バレー部
    春野暁 あかつき、女の子、中2〜3、転校生
    吉田欣子 きんこ
    本田薫 クロベエ
    ブミリア・リモ 長身
    野本亜利子
    倉田七美

    ■家族
    春野達夫 暁父
    白木 
    ブミリア・サラ リモ母
    吉田翠 欣子母

    ■先生
    中林
    奥村佳子 先生、女バスの副顧問

  • 中学二年で転校してきたバスケ少女、春野暁。
    仲良くなれた大人びたメガネ女子の吉田欣子と、それまでなかった女子バスケ部を立ち上げることに。
    色々な生徒が少しずつ仲間になり、少しずつ暁も強くなっていく。
    主人公の暁は比較的目立ったところのない少女に見えるのだが、周りの友達がバラエティー豊かで、もめたり、まとまったりが中学生らしい。
    それが試合になると、急に暁のエースぶりが際立って描かれるのも面白い。
    スポーツ以外に社会的な問題も絡めていたり、思春期の色々な思いも感じられて、学生さんに読んでもらいたい青春物語です。

  • 母を亡くし、無気力になった父と一緒に田舎の実家に引っ越した主人公暁。心の支えだったバスケ部が転校先にはなく、クラスにもなじめない。
    そんな暁が、唯一声をかけてくれた優等生欣子と一緒に女バス部を作り試合に向けて仲間と一緒に戦っていく姿に涙、涙、そして涙!あぁ、こんなにも気持ちのいい涙は久しぶりだ。

    少しずつ増えていく仲間。初心者のいる中で自分が部を整え盛り上げのばし引っ張っていかなければならないというプレッシャー。
    母を亡くし、父も当てにならないという中で、よく頑張った暁。
    けれど藤岡さんの小説はおざなりの「泣ける部活青春小説」では終わらせない。
    彼女たちが抱えるそれぞれの事情。自分で、自分の力で乗り越えなければならない壁。
    14歳の持つ可能性は無限大だ。全力で壁に向かって突き進む彼女たちに心からのエールを送りたい。
    口当たりの良いだけの水より、苦みのある緑茶。彼女たちの未来は、多分そういう世界。

  • 転校先で女子バスケット部を立ち上げる中学2年生の暁。6人しかいない上に半分が初心者、しかもそれぞれの家庭の事情も複雑で苦しみを抱えて過ごす日々。それでもなんとかチームになっていく6人。
    青春だ。でもただの青春じゃない。私立受験失敗、不法滞在、女性差別、体罰…。いろんな問題を孕んでいる。周りの大人のせいでもあるが、一緒になんとかしてくれるのも周りの大人。
    みんな一生懸命だから、読みながら自然に応援して泣いちゃってました。

  • 父子家庭になってしまいながらも、一生懸命バスケする女子中学生の話。メンバーが6人しかいないのに、4人が複雑な事情を抱えている、だいぶ普通じゃない環境。バスケの描写が濃厚で、作者はバスケ経験者なのかな?と思う。中学生のメニュー作りの参考になりそう。
    主人公と欣子が魅力的。でも、普通じゃないことが多すぎる中、普通の亜利子が普通に怒るととても嫌な子にみえてしまう。読後感は悪くない。

  • 今まで読んだ藤岡作品とは違った、青春物という感じでした。若い読者層向けの作品だと思いますが、そこはそれ、中学生の頃を思い出しながら読ませていただきました。「金の角」やPアカが出て来たので、先に読んだ作品とうっすら重なっているのも、面白かったかな?

  • 母の死がきっかけで、新しい土地へ転校することになった暁。
    そこでバスケットボール部を創設する。
    そのメンバーそれぞれが、困難な状況にあり悩みを抱えており、現代社会の縮図のよう。
    テーマは重たいけど、バスケットボールの描写も多く爽やかなので、暗くならずに読みすすめられた。

  • この本には、中高生向けの書架で出会いました。
    藤岡陽子さんといえば看護師や地域医療のお話かと思いきや、今の中学生が置かれている環境や、今の社会が抱えるさまざまな問題が描かれたお話でした。

    読んでいて思ったのは、今の子たちは失敗が許されない、すごく窮屈な世界を生きているのかな、ということ。
    私は、中高生というのは法を犯さない失敗を思いっきりしていい時期だと思っています(この時期を逃すと失敗が生活を直接脅かすことになりかねないので)。そうしないと、自分が本来何に秀でているのか、何が好きなのか、周りの人と上手にやっていくにはどうしたらいいのかに気付くのはなかなか難しいのではないかと。

    この年頃の子を持つ親として、私は子どもたちのやりたいことを全力でいいね!と言い、応援していきたいと思います。たとえ、大人から見て「そりゃうまくいかないんじゃないか?」と思ったとしても。黒星でも白星でも、長い人生を生き抜く糧にきっとなっていくはずだから。

    そして、親の勝手な考えや都合を子どもに押し付けて振り回すことは、決してしてはならないと改めて思いました。

  • よくあるスポ根小説と自分は思います。
    リアル感を出したかったのかな。
    親子関係、人間関係いろいろと入り組んでいた。
    もっとシンプルに優勝とかあっても良いと思う。

  • 最近意識的に読むようにしている藤岡陽子さんの最新作(2020年10月現在)です。
    本作はバスケットボールに没頭していた中学生が、家庭の事情でバスケットボール部の無い学校に転校する事になります。
    転校後出来た友人の勧めで、女子バスケットボール部の設立を志します。
    いじめや、ブラック部活、不法滞在などの問題を盛り込みつつ、全体としてはスポーツ青春ものとして爽やかに読む事が出来ます。
    終盤に悲喜こもごもな流れが有り寂しくなる部分もありますが、出会い別れをしっかり描いた良作だと思います。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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