(190)失礼な日本語 (ポプラ新書 い 8-1)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591166437

作品紹介・あらすじ

「慎んで哀悼」!? 首相官邸も間違える! メール、ウェブサイト、企画書、話し言葉……うっかりミスが致命的な失態になる。新聞のベテラン校閲者が教える文章マナー。
誤字や文法的に不適切な言葉、つながりのおかしい文章を知らず知らずのうちに使っていませんか。意図が伝わる、読みやすい文を書く基本。文法、敬語、誤解されやすい言葉……など日本語の知識が満載。
カバーイラストは『こども六法』の伊藤ハムスターさんが担当。

<校閲とは「文書・原稿などの誤りや不備な点などをしらべること」(『岩波国語辞典』第8版、岩波書店)ですが、大事なことは、多様な読者の目に触れる前に、正確で読みやすい文章にすることです。だから基本的に人知れず仕事をする黒衣(くろご)です。>
<言葉のやりとりで最も重要なのは、相手を思う心です。言葉は、人によってさまざまな受け取り方があることを心得たうえで、相手の立場や事情に思いを致し、状況に応じて表現を工夫することが大事です。そうしないと、伝わらない、失礼な日本語となってしまいます。>
(以上、「はじめに」より)

*章立て
第1章 「綸言汗のごとし」 首相の言葉チェック
第2章 敬語は難しいけれど 畏敬か敬遠か
第3章 固有名詞の怖さ 誤りはこうして防ごう
第4章 いわゆる差別表現 理解と配慮があれば
第5章 イラッとする使い方 仲間内だけで結構です
第6章 「たが」の外れた文章 書き言葉は丁寧に
第7章 失礼ワード20選 誤解必至です

*著者プロフィール
岩佐義樹(いわさ・よしき)
毎日新聞社校閲センター前部長。1963年、広島県呉市生まれ。早稲田大学第1文学部卒業後、1987年、毎日新聞社に校閲記者として入社。用語委員会用語幹事などを務める。毎日新聞校閲センターが運営するウェブサイト「毎日ことば」や、『サンデー毎日』の連載コラム「校閲至極」などに言葉に関する文章を随時掲載。著書に『春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち』(ワニブックス)など。なお毎日新聞校閲センターではTwitter(@mainichi_kotoba)などを通し、言葉に関するアンケートを実施している。新聞記事の制作過程における、実際に校閲記者が入れた赤字(誤り)の解説も人気。

感想・レビュー・書評

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  • なぜか時々このような日本語について考えさせられる本が読みたくなります。
    読んだからには変な日本語を使わないように注意しようとも思います。
    言葉は意思や感情・思考を表現し、理解し合う道具です。
    正しく伝わることが一番大切だと思いますが、不快感や違和感もないことが理想です。

    「安部普三」という人を知っていますか?
    元総理大臣の話をしているのなら「安倍晋三」の間違いだとわかりますよね。
    人の名前を間違えることは失礼であるにとどまらず、お役所業務などでは別人扱いとなり致命的なミスになります。

    最近はテレビを見ていても漢字の間違いなどが多いと思っています。
    注意力が足りないのか、能力がおちているのか?いずれにせよメディアの質の低下を感じる要因の一つです。
    インタビューなどの字幕が実際の発言と違っているのもよく見かけます。
    素人の誤りをさりげなく訂正するのはいいですが、政治家や評論家の発言を微妙に修正しているのは気になります。

    本書は日本語のの誤字・誤用を指摘している本ですが、そこまで気にする?という記述が多いと感じます。
    誤りにとどまらず違和感の有無にまで発展していたりします。
    例えば「うれしい」の言い方だと、「うれしゅうございます」「うれしかったです」「うれしいです」「うれしいのです」「うれしく思いました」「うれしかったですよ」のどれがいいかまで言及しています(細かすぎる!)。

    「美しい水車小屋の娘」、美しいのは「水車小屋」か「娘」か。あたりの話題は面白いし気を付けなくちゃと思います。

    以下のような世間の多くが間違っており、自分も間違っていると気づかない言葉も結構出てきました(使わないから助かっている)。
    ×貯金を切り崩す、〇貯金を取り崩す
    ×喝を入れる、〇活を入れる
    ×更正施設、〇更生施設

    最後の章には、誤解必至な失礼ワードが20選ばれています。

    当たり年、いさめる、いやが上にも、汚名挽回、枯れ木も山のにぎわい、掉さす、さわり、進言、世間ずれ、壮絶、
    他山の石、追撃、煮詰まる、抜け目がない、破天荒、はなむけ、ひそみに倣う、妙齢、役不足、やぶさかでない

    どれもが誤った使い方がかなり浸透しているので正しく伝わらない可能性が高い言葉ですね。
    誰かに言われたら受け取り方を注意する必要がありそうです。
    益田ミリさんではないですが、自分では「言えないコトバ」にして別の表現に置き換えるのが良さそうです。

    -----

    本書では、首相が使う言葉や首相官邸が作成した文章を例に、言語感覚のおかしさが数多く指摘されていました。
    岩佐さんの「日本語を粗末にするな!」という怒りに乗じて私も意見したいのは、誤字や誤用ではなく、首相官邸の発する言葉の背景にある国民をおちょくった態度です。
    これこそ「失礼な日本語」の最たるものです。
    以下の言葉、イラッとします。

    「誤解を招いたとすれば…、誤解が生じているなら…」
    「仮定の事には(考えていないから)答えられない」
    「個別の案件にはコメントしない」

    時代と共に言葉の意味が変わっていくことは、ある時点で認めなくてはなりませんが、以下の言葉も最近(誰が言ったかで)意味が変わりつつあります。

    「真摯に受けとめる」→ そういう意見もあったことは取り敢えず覚えておく
    「丁寧に説明する」→ 同じことを何度も何度も繰り返し話す
    「議論を尽くす」→ 話し合いで、あらかじめ決めていた時間を使い切る
    「責任を果たす」→ 責任は自分にあると言う
    「アンダーコントロール」→ なるようにしかならない状態

    そもそも言葉の意味が正しく伝わっていないのだから、「誤解を招く?」のも当たり前ですね。

    • nejidonさん
      kazuさん、なんと面白くてためになる記事でしょう。
      二度三度と読ませていただきました。
      ふむふむと納得したり笑ったりと、すごく忙しいで...
      kazuさん、なんと面白くてためになる記事でしょう。
      二度三度と読ませていただきました。
      ふむふむと納得したり笑ったりと、すごく忙しいです。
      首相のスピーチは側近のスピーチライターが書いたものを読んでいるのでしょうね。
      オバマ氏は10人近く抱えていたらしいですが、自分のものにするまで読み込んで「ここで目を閉じる」「ここでは胸に手を当てる」まで細かい指示がついたそうです。
      何だか感動する気も失せますが。
      日本はまだまだそこまで追いつかないってことでしょうか。
      自国語なのに下手って・・・それも人前で話すのに。
      カギカッコ内の引用が身に沁みます。私も気を付けないと。それよりこの本を読んでみたいです!
      遅ればせながら、今年もよろしくお願いします♪
      2021/01/10
    • Kazuさん
      nejidonさん、今年もよろしくお願いします。
      本書の著者は、毎日新聞社の校閲センターで仕事をしていた方なので、かなり繊細な表現まで気に...
      nejidonさん、今年もよろしくお願いします。
      本書の著者は、毎日新聞社の校閲センターで仕事をしていた方なので、かなり繊細な表現まで気になってしまうようです。
      自宅では朝日新聞を読んでいますが、新聞記事の日本語は厳しくチェックが入っているのでしょう。おかしな表現にはお目にかかりません。
      校閲の仕事は、誤字・脱字の訂正だけでなく文章の内容が正しいものか事実確認まで行うので、正確性にはとても厳しいらしいです。
      校閲者の頭の中が覗けるかも知れません。
      私にはチョットついていけない部分もありました。

      2021/01/10
  • あなたのその言葉と文章、間違っていませんか?——『失礼な日本語』 | GetNavi web ゲットナビ
    https://getnavi.jp/book/497404/

    今週の本棚・新刊:『失礼な日本語』=岩佐義樹・著 - 毎日新聞
    https://mainichi.jp/articles/20200329/ddm/015/070/015000c

    (190)失礼な日本語|ポプラ新書|知識・教養|本を探す|ポプラ社
    https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201190.html

  • 日本語の難しさを再認識できる面白い本だ.第1章で安倍前首相の言葉が取り上げられていたが、話す内容からしてあまり思慮のない人なので当然のことだと感じた.第2章で出てきた敬語は確かに難しいが、敬語を使える人は親がきちんと教育したのだ という説を聞いたことがある.親自体が敬語を使えないと子供もそうなるのは当然かもしれないが、学校では教えてくれないので、自分で身につけるしかないのかな.難しいと思った事例を列挙.「お求めになりやすい←お求めやすい」「ご利用になれます←ご利用できます」「ご来店くださったかたには...←ご来店いただいたかたには...」

  • 冒頭の、首相のお言葉チェックがとっても愉快でした。いや全然笑えないけどね。

    誤用や無意識な差別表現の章は、自分もやってしまっているかも…と反省。
    しかしあとがきに「これだけ失礼の意味を含む言葉が多いのですから、一度も失礼な言葉を使ったことがない日本人なんていないと思います。」とあり、日本語ってほんと忖度を体現したような言葉だよなぁ…と納得したりなど。

  • ●ご発言する、ご発言されるは誤用。正しくはご発言をされる。
    ●お求めやすい価格、ご利用できますは不完全な形。お求めになりやすい、ご利用になれます。
    ●「あなた」は、お前、君などと違って丁寧な呼び方と思っていた。今は敬意が下がっています。
    ●斉藤=齊藤。斎藤=齋藤。斉は一斉にと言う言葉で使われるように、きちんと揃うと言う意味での感じで、本読みはセイです。斎は定められた期間、汚れを払うと言うことから「静かに過ごす部屋」と言う意味になり、書斎の子で用いられます。本読端サイ。
    ●エアロバイク、エレクトーン、オーロラビジョン、タバスコ、テフロン。これは全部商標名であり、自転車型運動器具、電子オルガン、大型スクリーン、ペッパーソース、フッ素樹脂。と言う。
    ●やむを得ない、せざるをを得ない。が正しい。「やむ負えない」と変換している場合がある。「やむ」=「続かなくなる」事を得ない、出来ない。仕方なく実行することを意味します。
    ●台風の当たり年。本来は縁起の良い言葉だから間違い。
    ●諫める、とは目下の者が目上の者に忠告すること。進言。
    ●枯れ木も山の賑わい。つまらないものでもないよりはマシ。
    ●壮絶なイジメ体験。壮絶な話、ほとんどが褒め言葉として使われますので、悲惨な体験をした人について使うのは失礼。
    ●負けてる方がするのは追い上げ、追撃ではない。
    ●役不足。力不足と言う意味で誤用される、もともとは花形役者につまらない役をやらせるような場合を言う芝居の言葉。
    ●やぶさかでない、と言うのはものを惜しみしないと言う、積極的にすると言うことです。

  • なんとマニアックな内容…!新書とはそういうものだよなぁと思いつつも、そんな印象を持つ。
    校閲とは重箱の隅を突くようなものといわれることもあるが、とても大切な仕事である。読み手に勘違いをさせず、失礼にあたらず、日本語として適切なのかを判断して一つひとつを調べる。すべてを疑ってかかるのが校閲の基本だと聞いたことがあるが、疑うためには疑うに足りる知識が必要である。常にアンテナを張って知識吸収をしつつ、持ち得るすべての情報を持って校閲していくのだなぁと考えると、尊い仕事だ。

  • 1/20に行われるブックトーク指定図書(日本語系)です。

  • うーん、自分の知識の間違いの多さに驚きました。特に、”ご利用いただく”が、OKなのにも驚きましたし、”貯金を切り崩して”生活しておりますが、間違いであったと。その他、失礼ワードも、多くが著者の指摘通りの間違いをしておりました。やはり、由来を知らず、言葉面だけ読んで意味を想像する所に間違いの由来がありそうです。慎んで哀悼の意を…え?あ、これも間違いでしたね。

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