- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591166116
作品紹介・あらすじ
〝読み書きが苦手なのは、
「がんばってないから」じゃないんだよ〟
――「40人学級に3人」の確率でいる、
発達性読み書き障害の子どもたちのために、
「今」できること、「将来」役立つことを、徹底解説。
大反響コミックエッセイ『うちの子は字が書けない』、
待望の実践サポート編!
知的発達に問題がなくとも、読み書きだけが困難な「発達性読み書き障害」。
その子によって現れ方も異なりますが、授業では黒板の字をノートに写しきる前に消されてしまう、テストで漢字が書けないために減点されてしまう、一見簡単そうに見える文字の練習がなかなか終わらないといった状況が起こります。
そもそも障害であることが理解されず、「怠けているからでは」「がんばらないからだ」と誤解され、諦めてしまう子ども、家族もいる発達性読み書き障害。
本書は、元筑波大学教授で、NPO法人LD・Dyslexiaセンター理事長でもある専門家・宇野彰先生による解説と、千葉リョウコ先生による漫画で、子どもたちが抱える今・現在の問題にどう対処すればいいか、また彼らが将来、どのように自立を果たせるか、を考えます。
宇野彰(うの・あきら)
筑波大学元教授、発達性ディスレクシア研究会理事長、NPO法人LD・Dyslexiaセンター理事長。医学博士。言語聴覚士。読み書きが困難な子どもたちの指導をするかたわら、指導ができる先生を増やすために尽力している。著書に『改訂版標準読み書きスクリーニング検査――正確性と流暢性の評価』(インテルナ出版)、『ことばとこころの発達と障害』(永井書店)などがある。
LD・Dyslexiaセンターホームページ http://square.umin.ac.jp/LDDX/
千葉リョウコ(ちば・りょうこ)
漫画家。千葉県在住。家族は夫と専門学校生の長男、高校生の長女、小学生の次男とトイプードルの5人+1匹。長男と長女のふたりが「発達性読み書き障害」と判定され、それぞれの性格や症状にあったサポートをすべく奮闘中。著書に『うちの子は字が書けない――発達性読み書き障害の息子がいます』(ポプラ社)などがある。
感想・レビュー・書評
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発達性読み書き障害の子をどのように支援していけばいいのか。
〇発話で相手に伝える能力はあり、学習内容を理解したり、計算をしたりなど、「読み書き」以外のことは普通によくできますが、「読み書きだけはとても苦手で、学校で教わる通常の練習では、ひらがな、カタカナ、あるいは漢字がどうしても覚えにくい障害です。(p14)
☆基本は、苦手をいじらないこと。あとは、楽しく覚える工夫をすること!
〇学習というのは、繰り返し復習して身につけていくことで、長期記憶であり意味記憶です。いくら短期記憶がよくても、長期記憶がよくないと文字を習得することはできません。(p23)
☆長期記憶に入れていくのには、どうすればよいのか。
短期記憶は、例えば今日漢字10問テストがある、みたいな感じだろうか。10問くらいなら、直前に覚えてすぐテストを受ければ、まあ大体10問近くできるだろう。でも、これを繰り返していくうちに、(例えば今日覚え、明日宿題で練習し、3日後復習し、1週間後にテスト)というようにすると、長期記憶に入っていく。でも、発達性読み書き障害だと、これが難しいってこと?
〇おばあちゃんといとことゲーム感覚で遊びながら覚えたから、楽しく覚えられたんだよ~!(p48)
☆楽しいと、覚えられる。
でも、これは発達性読み書き障害でなくても同じかなとおもうけどなあ。
楽しい→繰り返せる→覚えられる
〇家庭で長時間教えているからといって、書けるようになるわけではない。(p74)
☆これはぜひ困っている方に伝えたい言葉。
本人の成長、刺激、楽しさなど、あらゆるものの複合で覚えられることはある。だから、親が根詰めて教えるのは×。失敗経験を積むだけになりかねない。
〇「読み聞かせ」をおすすめします。(p76)
☆あとは、「しりとり遊び」とか。
読み聞かせ、やはり最強。
〇ひらがなの読みでは0.2%、カタカナの読みでは1,4パーセントの出現率だった発達性読み書き障害ですが、漢字の読みでは6.9%まであがります。(p88)
☆ひらがなは、小1の夏休みまで待って、正しく書けないときは疑う。漢字の時は、音読やひらがな、カタカナまで確認する必要がある。そして、その子がどうしたら勉強を楽しむことができるか考えていく。専門的に調べないと、その子に合った学びの方法というのは簡単に調べられるものではない。
〇これは、手を動かす「運動の記憶」が読みを促通させるからです。(p102)
☆正しい書き順はそこまで強く言わなくてもいいが、その子の中での書き順は決めた方がいい。書き順の定着が、運動の記憶につながっている。
〇「あえて苦手なことで勝負する必要はない。」
☆苦手なものは避けてOK。好きなこと+苦手ではないことを拾っていくと、幅が広がる。
そうなんだけど、そうはいっても、やっぱり公教育の間は、どうしても苦手なことにも取り組まなきゃいけない。
例えば、算数が苦手だからといって、算数をやらないでいいわけではなく、どうしたって小学校4年生くらいまでの算数は生きていく上で必須だし、5、6年のだって、週に何時間も勉強するわけだから、苦手意識があると、ずっと失敗体験を積むだけの時間になりかねない。
どうにかして、少しでも楽しいと思えるようにサポートしていかないといけないなあ。
多層指導モデルMIM
読みのアセスメント、指導パッケージ(学研教育未来)
カタカナの学習をしっかりやると漢字が入りやすくなる。
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より専門的な内容。分かりやすい。
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発達性読み書き障害入門書として自分にはベスト
※前作は未読
子どもが発達性読み書き障害かな?と思い始め、関連の本を数冊読んだが、
専門的すぎると
「じゃあ、わが子はこれからどうすればいいのでしょうか?」
と、いう基本的な部分がわからない
学校の先生に相談しても「努力が足りないから」と言われるし
周りに同じ障害の方もいないので、まさに五里霧中
そういう段階の自分に、最もフィットした本
この本に助けられた点
・著者のひとり、千葉リョウコさんのお子さん二人が発達性読み書き障害
→つまり、同じ障害を持つ親としての経験談が聞ける
・二人のお子さんがで、きょうだいで性格も特性も発達性読み書き障害に対する捉え方も違う
→同じ障害を持っていても、人によってこれだけ違うんだと理解できた(当たり前のことですがなかなか気づけない)
ここがこの本の最大の長所かと思う
→もし、ひとりのお子さんだけについて書かれていたら「うちの子とは違うような……わが子は発達性読み書き障害ではないのか?」とか、そういうことで悩んでしまっていたと思う
もうひとりの著者・宇野彰氏のパートも
「学校への手紙例」など、
「そうそう、そういう具体的なことが知りたいんですーー!!」
という内容満載
なお千葉リョウコ先生の漫画のファンで作品もいくつか所持しております!!
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前回から少し踏み込んだ内容。字が細かくて、老眼には少し辛かったです
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LDについてかなりイメージしやすいんじゃないかな。
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発達性読み書き障害の子どもたちとどのように関わっていったら良いかがとても具体的に書かれていた。マンガもわかりやすい。この本に書いてあったことを参考にしていきたい。
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読み書き障害という病態があるのはわかっていましたが、字が全く読めないのだろうと思っていたのでこんな風に段階が分かれていて英語のみ、漢字だけ、カタカナと漢字、ひらがなも苦手と子どもによってレベル?があるとは思っていませんでした。
これを知ると漢字が読めなくって困っている人の理解が進んだりなんの障害もないと思っていた我が子ももしかしたら、と考えるきっかけになり良かったです。