母さんは料理がへたすぎる

著者 :
  • ポプラ社
3.62
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本棚登録 : 297
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591165850

作品紹介・あらすじ

<第1回 おいしい文学賞受賞作!>
父親をなくした後の日常や、お互いへの優しい眼差しなど、家族それぞれの等身大が描かれていて、とても魅力を感じました。
小川糸(作家・選考委員)


僕の名前は山田龍一朗。
今春、なんとか志望校に入学できた十五歳。

山田家の父親は三年前に事故で他界。会社勤めの母親と、幼稚園に通う三つ子の妹たちの面倒をみるのが龍一朗の役目。もともと料理は好きだけど……。それぞれつまづいたり、悩んだり、助けられたりしながら日々を刻んでいく山田家と龍一朗を、こまやかで確かな筆致で描いた青春と成長の物語。
未来が明るくておいしい。生きる力がわいてくる!


<もくじ>
母さんは料理がへたすぎる
ないないづくしの女王さま
待ちぼうけの幸せ
プレゼント
ウソつきたちの恋
春が生まれる
母さんの料理がへたすぎて


装画 くまおり純

感想・レビュー・書評

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  • 第1回おいしい文学賞受賞作!カツサンドやらちょいまえごはんやらご縁があった賞。

    山田一家のお話、それぞれが主人公でおもしろい。
    事故で亡くなった父のパートもあり。
    渉が夢でおとーさんに会った、とよくいうのが分かった。それにしても三つ子ちゃんたち、あんなにも似ていないものなのか・・
    琴子さんのパートの冒頭「私は恵まれている」はよかった。パートナーをなくしているにも関わらず、恵まれていると自覚しているところがかっこいい。

  • おいしい文学賞第一回受賞作。若者向けのライトテイストながらしっかりと家族愛や若者の葛藤が盛り込まれていて、料理系の小説の中でもかなり出来がいいのではないかと感じました。
    交通事故で父親を亡くした一家を舞台にした連作集です。料理力、家庭力で家族を支える長男。明るくて仕事は有能家事は無能な母親。天真爛漫な三つ子姉妹。
    小学一年生がそんなに口回るかいと突っ込み入れたくなるところは有りますが、こんな明るい家庭はいいよなあとしみじみ思いました。
    最近料理の楽しさを再確認した所なので、家族に料理作っておいしい顔を見る事が出来るのってめちゃくちゃ幸せだと思います。長男も紆余曲折して自分の道を見つけて行くのですが、嫉妬や何か分からない心のモヤモヤを書き表すのが上手い。
    ファンタジーも多少含まれていますが、おおよそ家族青春小説ととらえて構わないと思います。
    これが第一作目のようですが、良くまとまっていて以後も期待出来そうです。是非頑張って頂きたいです(謎の上から目線)

  • 家族愛が伝わる素敵な一冊。YA向けのような読みやすさ。これからの長男の成長っぷり、家族の姿、続編なんかで知ることができたら面白そう。

  • 『待ちぼうけの幸せ』
    夢で亡くなった人に会える、の逆の視点。
    死後の世界の主人公のところに、生きている人が会いにくる話。
    この発想がなかったから、とても心があたたかくなった。
    『春が生まれる』
    妻が娘に連れられて亡くなった夫のいる世界へ。
    涙なしには読めなかった。

  • シンママを支える高校生長男の成長記。
    書き下ろし。

    ・母さんは料理がへたすぎる
    ・ないないづくしの女王さま
    ・待ちぼうけの幸せ
    ・プレゼント
    ・ウソつきたちの恋
    ・春が生まれる
    ・母さんの料理がへたすぎて

    主夫だった父親が不慮の事故で旅立ち、料理が苦手な母に代わって食事の支度をする龍一朗。

    おまけに3つ子の三姉妹のお守もあり、毎日が大変。

    三つ子の中には不思議な力を持ち、あの世と交信する子がいたり、夫との別れに未練を残した母はそれに助けられたり。

    龍一朗は親友の飛躍的な活躍に、自分を卑下してしまうが、自分の料理が周りを幸せにし、他人と比べず、自分の道を進むことの大切さを学んでゆく。


    心温まるストーリーで、後半は泣けた。

    現代の話なのに、スマホとか登場せず、時代を感じさせない語り口も好印象。

  • 突然、事故で亡くなった父に代わって家事をする龍一朗、絶望的に料理が下手な母、3つ子の妹達。父は亡くなっても父なんだよね。渉の行ける世界は不思議だけど、あったら素敵だなぁ。琴子さんが抱えていた後悔…泣けたな。蛍ちゃんの初恋は、その歳でその発言はないよなって思うけど、みんないい人で、いい人過ぎなくて、応援したくなる。

  • 全7篇からなる連作短編集です。
    章ごとに主人公が異なり、視点が変わることによって、ラブコメやファンタジー、青春小説など色々な楽しみ方ができました。
    父親を亡くしたという暗い要素はあるものの、終始ポワーンと温かく包み込むような雰囲気でしたので、ホームドラマを見ているようでした。明るく前向きにさせてくれる作品で、
    改めて、手料理は人を暖かくさせるなと思いました。料理人やコンビニが作る料理も美味しいですが、やっぱり自分が作った料理や近しい人が作る料理の方が温かみがあるかなと思ってしまいます。
    5人家族+1人、それぞれの人物に愛着があり、とても魅力的でした。全員にエールをあげたいです。

  • 父親の主夫業を引き継いで、妹三人の面倒をみつつご飯をつくっている男子高校生。お年頃な悩みもありつつもばったばったと家事をしていく様子が頼もしい。彼だけではなく、家族それぞれの立場からのストーリーがありました。期待以上に面白かった。デビュー作ですが、今後が楽しみです。

  • 第1回おいしい文学賞受賞作品。

    「母さんは料理がへたすぎる」「ないないづくしの女王さま」「待ちぼうけの幸せ」「プレゼント」

    「ウソつきたちの恋」「春が生まれる」「母さんの料理がへたすぎて」
    7話収録の連作短編集。

    主人公は父親亡き後、会社勤めの母親と三つ子の妹達の面倒を見る15歳の山田龍一朗。

    料理センスゼロの母に代わり毎日の食事作りを、いとも軽やかに行う龍一朗が微笑ましく三つ子の妹(透・蛍・渉)も愛くるしい。

    友情に恋、進路と悩みはあれど、相手を思い遣りながら毎日を懸命に過ごす家族達に癒しを貰えるハートフルな物語。

  • 母さんは料理がへたすぎる
    白石睦月

    ∞----------------------∞

    主夫だったお父さんが亡くなって、料理が下手(というか出来ない)お母さんに代わって、高校生の長男が三つ子の妹たちと母の料理だけでなく、家事をして家を支えてる。

    「母さんは料理がへたすぎる」は長男の龍一朗が同級生に恋をし、時には友人にお菓子も手作りして、学校行事もこなしつつ、妹の世話もし、恋に敗れてしまったというお話。
    自由がほとんどないけど、だからってそれについて不満を言う訳でもなくて、出来た子だなぁって関心して読んだ。

    「ないないづくしの女王さま」では透ちゃんがお母さんの誕生日祝いのためにシオデを探しに山に登る。
    内緒だったのにみんなにバレバレだったのが可愛いし、姉妹の2人も透がシオデを取ってこられなかった時のためにプレゼントを準備してたっていうのも良かった。

    「待ちぼうけの幸せ」は亡くなったお父さんが三途の川に渡る前に、生前の夢だったお店を開いているというファンタジー。
    お寝坊さんの渉ちゃんがよくお父さんの夢を見るけど実はお父さんの所に行っちゃってた。お父さんは嬉しい反面良くない気もしてる。成仏したらスイマー(三途の川を渡ることらしい)となってそこから消えていくらしい。
    自分は成仏しようがなんだろうが関係ない、家族に会いたくて待ってるって終わり方も良かった。

    「プレゼント」。龍一朗は小学生。調理実習で料理を上手に作ったら、女子っぽいと陰口を叩かれ料理をやめる。そこに現れた転校生の辰美。更に料理上手な彼は、バカにする同級生のいうお母さんの次元ではなく、料理人を目指してた。言い返すところがめちゃくちゃかっこいい。
    その後、偶然会った龍一朗の家での餃子パーティ。辰美には龍一朗のお父さんがすごくかっこよく見えたよう。
    友達の佐藤くんのキャラもなかなか良いです。

    龍一朗の先輩の烏丸岬に恋する蛍ちゃん「嘘つきたちの恋」。小学1年生が高校3年生を好きになる。でも岬さんが好きなのは文学部顧問の青木先生。先生には彼氏がいると嘘をついたり、それでいいの?と気持ちを確かめるようなことを促す蛍が大人過ぎてびっくり。
    さり気なくお母さんが応援してくれてる。

    「春が生まれる」で、とうとうお母さんは渉の能力で夢のお父さんの所に連れていってもらう。夢って起きた瞬間に忘れてしまうから、きっと夢とは違うものなんだろうなぁ。
    義姉に紹介してもらった河田さんはほのぼのした優しそうな人なんだけど、その河田さんの亡くなった奥さんに夢で出逢ったのは必然だったんだろうね。
    これでお父さんもスイマーになったかもしれない。

    最後には「母さんの料理がへたすぎて」とことん料理が出来たからありがとう、と言う龍一朗だけど、夢って叶えられる人もいればもちろんそうじゃない人もいるし、寧ろ夢とか関係なく進路に進んでる人の方が多いのではないか(私も含め)と思う。
    お隣の中山さんに料理を喜んで貰えたのが嬉しくて、やっぱりこの道だよなって確信しつつそれでも不安な龍一朗は正統派の悩める高校生。
    辰美くんが国際的な料理のコンテストで優勝したのは、おぉ!と思ったけど、突然調理実習に来て一緒に料理はどうだろう流石に無いかな、と冷静に読んでしまったけど、物語としては有りです。

    白石睦月さんのデビュー作とのこと。とても読みやすいし、所々ファンタジーで突っ込めそうな感じも面白かったので、他にも読んでみたいと思ったけど見つからず。色々気になる作家さんです。

    2022/12/09 読了 (図書館)

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