学校に行きたくない君へ

制作 : 全国不登校新聞社 
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591159668

作品紹介・あらすじ

覚えておいてほしい。
私たちはどこからでもスタートできる。

樹木希林、荒木飛呂彦、西原理恵子、
リリー・フランキー、辻村深月……
総勢20名の先輩たちが語る生き方のヒント!

世のため、人のためは考えず、
ただ「私」が救われるために、話を聞きたい人に取材をする。
企画から取材まで、不登校の当事者・経験者が、
人生の大先輩たちに体当たりでぶつかり引き出した本音のメッセージ。
社会に出たくない人も、いま人生に迷っている人も、
中高生からシニア層まで幅広い世代に突き刺さる言葉がつまった一冊です。


●目次
樹木希林 難があってこそ育つ
荒木飛呂彦 自分に自信を持つために修行する
柴田元幸 小さいころから、世界は筋が通らない場所だと思っていた
リリー・フランキー 「こうだったらいい」とたくさん想像する
雨宮処凛 さまようことが自分を豊かにする
西原理恵子 原因究明よりも明日の飯
田口トモロヲ あきらめるのは、肯定するのと同じ勇気がいる
横尾忠則 孤独になっているときこそ、自分が成長するチャンス
玄侑宗久 私たちはもっと揺らいでいい
宮本亜門 「不安がる自分」を否定せず、やりたいことをやる
山田玲司 マシな罪人として楽しくやっていく
高山みなみ 不安は誰でも持っている
辻村深月 楽しいことがあれば、それを生きる理由に
羽生善治 いつ始めても、いつやめてもいい
押井守 「プラスマイナスゼロ」の人生ならおもしろい
萩尾望都 あなたの感動を羅針盤に
内田樹 学びとは「不全感」より始まる
安冨歩 東大生も不登校生も悩みの根は同じ
小熊英二 頭の力を抜いてごらん、君は生きている
茂木健一郎 脳には個性があり、その差に上下はない

感想・レビュー・書評

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  • 「全国不登校新聞」というメディアがあることを少し前に初めて知った。樹木希林さんの本を読んだ際に、フォローさせて頂いている「夜型さん」に、希林さんがこのメディアへメッセージを寄せられているということをコメントで教えて頂いたからだ。

    このメディアは、全国不登校新聞社の発刊ですでに20年以上の歴史があり、その間一度も欠刊がなかったそうである。
    同社の代表理事奥地圭子さんは、1984年から「登校拒否を考える会」を立ち上げ、その翌年にはフリースクール「東京シューレ」を開設するなど、早い時期から不登校やひきこもりの問題への取り組みを進めてこられた方である。

    本書は、不登校やひきこもりの経験者がインタビュアとして、その自分が誰の話を聞くことが有意義かということを考えて、その対象者にインタビューを敢行することにより編集されたものである。世間一般の読者受けを考えたインタビューではなく、そのインタビュアーが個人として話を聞きたいと思う人に、その思いをぶつけながら取材をしている点が特長であり、それが本書を熱気の感じられるものにしている。

    本書の編集長もまた、不登校やひきこもりの経験者だそうだ。

    そして、インタビューに答えている人物のほとんどは、現在、その筋で世に認められている人物であるが、そこに至るまでに、不登校や引きこもりなどの経験をもち、あるいは現在でも「生きづらさ」と共存しながら生きている人たちであった。

    樹木希林、荒木飛呂彦、柴田元幸、リリー・フランキー、雨宮処凛、西原理恵子、田口トモロヲ、横尾忠則、玄侑宗久、宮本亜門、山田玲司、高山みなみ、辻村深月、羽生善治、押井守、萩尾望都、内田樹、安冨歩、小熊英二、茂木健一郎。

    自分にとっては、知っている人物も、これまで全く無縁だった人物も含まれている。また知っている人物ですら、成功実績を知るのみで、そこに至るプロセスについては知らなかった人物が多い。

    本書を読んで、いかに自分は「世間知らず」だったのかというような気持ちになる。「世間を知る」という意味を、勝手な限定的な世界を知ることと勘違いしていたのではないかと感じる。

    東京大学東洋文化研究所教授の安冨歩氏は、現代人の生き方をポケモンに例えている。つまり自分自身で戦っているのではないと。そして自分自身を生きている人はどこにいるのかという問いに対し、不登校や引きこもりの中にいると述べている。

    上記に登場した、インタビューを受けた側の大先輩たちの話を聞いていると、まさに「自分自身を生きる人」の実感が伝わってくる。

    コラムで自身のひこもり体験を述べている若者が、親から言われて最も嫌だった言葉を列挙していた。
    「ふつうにしなさい」
    「この先どうするのよ」
    「あなたのためを思って言ってるのよ」

    「ふつう」とは何か?
    皆が学校へいくから、行かないのは「ふつう」でない?

    マイノリティが特異な目で見られるという現実に対し、宮本亜門氏は、「マイノリティは人類にとって大切な前例」であり、マイノリティをマイノリティでないものへ変えていく使命ある者と言っている。

    西原理恵子氏は、「子どもより先に親が何を不安がっているのかを解決した方がいい」と言いきっている。先の言葉(「この先どうするのよ」等)に対する明確な答えであるように思う。

    それぞれのインタビューのやり取りの中から、一瞬「世間知らず」の感触が沸き上がると当時に、新たな視点を与えてくれる書でもあると思う。

  • 樹木希林さん、辻村深月さん、茂木健一郎さん他著名人の方々の「人生を生きるヒント」が詰まった一冊!学生から社会人、年代問わずお勧めな本です。
    愉しく読めて、色んな考え方見方があるなと参考になりました。


    〜私たちはもっと揺らいでいい〜 

    玄侑宗久 「中陰の花」芥川賞受賞
     
     人は変わらないことを大切にしすぎているのではないでしょうか。人生はつねに新しい局面を迎えていきます。「いま」を見て、感じて、合わせていく。そのためにはいったん揺らがないといけない。「揺らいでいい」という自覚を持つことが「無常という力です」。世の中も無常であるし、私も無常なんです。
    仏教では「揺らぐ」ことを「風流」と呼びました。揺らぐことが自然だと思っていれば、あるいは植物のようにあれほど変化していいと思えれば、もっと楽になれるんじゃないでしょうか。


    揺らぐことが時に苦しく、揺らがない自分になりたいそう思っていたのですが、このことばに出会えて少し気持ちが楽になれたような気がします。

  • 月2回発行される「不登校新聞」なるものがあると言う。
    中でも特に読まれるのがインタビュー記事であるらしい。
    20周年記念で、そのインタビュー記事から抜き取った20名の記事を本にしたもの。
    聞き手は、不登校・ひきこもりの当事者・経験者である「子ども・若者編集部」の面々。
    不登校・フリースクール育ちだという編集長のコラムもある。

    期待が大きかった分、落胆も大きいというのが本音。
    「学校なんか行かなくて良い」「あんなところに行っても何の役にも立たない」などと、軽々しく言ってほしくない。お名前を挙げるのはひかえるが、心底失望した。
    ひとは「易きに流れる」というあまり好ましくない性質を持っている。
    易しい=優しいと勘違いした子どもが「あの有名なひとが言っているのだから」と安易に不登校という道を選択しないか、心から憂えている。
    もうそれ以外ないというほど苦しい状況でも、「学校なんか」などと言ってはいけない。
    何故なら、学校に行っている子たちだって、それぞれに悩みを抱えているし、日々迷い焦り様々に逡巡しながら登校してるからだ。

    事故で両親を亡くし、祖母とふたりで暮らしていた14歳の子を知っている。
    足の悪い祖母にとってかなりの負担だったのだろう。殆どネグレストに近かった。
    それでも、一日も早く祖母を介護できるようになりたいからと、必死で勉強していた。
    口には出さないが、そういう子だっているのだ。
    この本に登場するひとたちは、功成り名を遂げたという実績があり、その上での発言だ。
    不登校の子を「本人の甘えだ」と非難するひとを嫌悪するのに、なぜ自分は同じことをするのか。比較したり競い合ったりするために双方があるわけではない。
    責任転嫁も、自己憐憫も、ついでに依存心も禁物だ。
    「学校に行かない」という選択をしたのなら、次なる場所で何か学び取ってほしい。
    「私って何も出来ない人間だった」と気が付くのも学び。
    「僕はこんなことが出来たんだ」と気が付くのも学び。
    くれぐれも家の中で電子機器に依存するのだけはやめてね。
    そして、不登校の間、あなたの身の回りの世話をするのはあなたの親。
    その親の命だって無限ではないのだよ。

    あれこれ言ってきたが、樹木希林さんと萩尾望都さんのインタビュー、臨済宗の住職さんである玄侑宗久さん、荒木飛呂彦さんの言葉が、具体的で大変良かった。
    (ここでやっとレビューらしくなった・・)
    親御さんたち、大変だなぁ。どれほど自分を責めたことだろう。
    どうかひとりで悩まずに、色々なひとに相談してほしい。
    分かってくれる人が、きっといると思うから。
    そして、何か新しいことを始めると良いと思う。自分がしたかったことを何かひとつ。
    それが、いずれ自分を支えてくれるだろうから。

  • 生きていく道はいくらでもある。
    そんな当たり前のことに気づかせてくれる。

  • 私は元不登校児で、今は高校で教員をしている身です。

    過去の自分の経験から見ても、今、学校で懸命に日々の勉強から何か得ようとしている子供を見る立場から見ても、ちょっと学校を悪く言いすぎじゃないかな、という印象が残った。

    学校なんてなんで行っているの?
    行かなくていいよ、学校なんか学ぶことはろくなことじゃないよ、等々…。
    もちろん、学校という画一的システムから外れる子どもがいて普通だと思う。
    40人がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、机に座って、知識を学ぶ。
    今は少しずつ変わりつつあるとはいえ、長い年月をかけるには、あまりに不自由な世界だと思うし、生徒たちはそんな中でよくやっていると思う。

    インタビューの内容が素晴らしい著名人もいました。樹木希林や荒木飛呂彦みたいに、自分がちゃんとある人の話はよかったし、「かがみの孤城」で不登校の子どもたちを描いた辻村深月の話もとても興味深かった。
    保護者の方へのメッセージや、不登校経験者の話も、励みになると思う。

    が、やはり、経験もないのに、無責任に不登校の人は自分があるんだよ、なんて、言って欲しくはない。
    今学校にいる子どもたちがどれだけ頑張っているか…。
    毎日自分を律して、親の期待に応えようとしている子もいるし、やりたいことが決まっている子もいる。
    そして、過去に学校に行けなかった自分は、決して自分の意思で行かなかったわけじゃないと、読みながらもやもやとしたのでした。

    これだけたくさんの著名人から話を聞いているんだから、内容がバラバラで、インタビューの趣旨も一貫性がないのは仕方がない。
    バラバラだからこそ、自分に合う話とも出会えるのかもしれない。

    それとは別に、不登校新聞は興味を惹かれました。

  • 2019.9月。
    リリーさん、さすが。この人は本当にね。希林さんの降りていくってのもよかった。あの、学校行くのしんどいなら行かなくていいとおもう。いい、いい。学校に行くのが普通だってのはもう違う。自分で気づいてそうなったならもうそれでいい。行きたければ行けばいいし、無理なら無理でいい。もっと楽にでいい。と思うけど、それができないから苦しいんだろうな。子がそうなったらどうするか。一緒に遊びまくるか。旅行するか。働いてみるのもいいか。外には出たらいいとは思うけどね。外からの感覚に刺激を受ける時期だと内田さんも言ってるし。おもしろい言葉、たくさんありました。

  • 不登校・引きこもりの当事者や経験者が、インタビューした記事をまとめた本。

    インタビューをする記者達は、自分が何を聞きたいか、知りたいかを一生懸命に考えてインタビューしている。

    インタビューされる側も、当たり障りのない常識で答えるのではなく、それぞれの内側にある考えや気持ちを丸出しにして答えてくれてる。

    今、苦しいとき、そこからの一歩を引き出す言葉は、人それぞれ異なると思う。
    この中にそのひと言が見つかればいいね。

    誰が読んでも、自分の固定したしまった考えがリセットされるインタビューがあると思う。
    誰でも、いつでも、大なり小なり悩みがある。
    これでいいのかな、自分のやったことは失敗だったかな、どうしてこんなことになっちゃったの…などなど。
    インタビューする側の真剣さ、される側の全てを包み込んでくれる感じ…それを読むと、誰もが勇気をもらえる一冊だ。

  • 樹木希林さんと内田也哉子さんの「9月1日」の元ネタとも言える『不登校新聞』。その編集部員達によるインタビュー集。

    不登校にまつわる不安や悩みをさまざまな著名人にぶつけてみる、その会話が凄く面白くて、素敵な言葉がたくさん引き出されていた。

    私自身は親だから、もちろん不登校の子の親目線で考えることもあったけれど。そういえば自分も小学校のころ特に理由もなく学校に行きたくない時期があったなぁなんて思い出したり、、どちらかというと自らの価値観を揺さぶられることの方が多かった。

    一番強烈だったのは、
    リリーフランキーさんの『本当に頭に来るのは、自分のことより、自分が美しいと思っていることを汚されたとき。』という言葉。
    うまく説明できないけれど、あぁそうなのそれを守るために頑張ってるんだよね、、!と。

    その他に心に残ったフレーズ集

  • いろんな考えがあるなと思いつつ、根底にあるのは「生きていてほしい」ということ。生きづらいと悩んでいる人も生きていれば自分が生きられる場所って必ず見つかるんだと思うの。

  • 大変温かい空気をまとった本だった。

    「数々の著名人も、昔は不登校だったんだ。まぁそうだよね。学校って息苦しいもんね。友だちは楽しいけど。」
    みたいな安心感をくれる。

    一人一人インタビューコンパクトなのに人柄が出ていてイイ感じだ。


    但し、こんなに自分に自由に生きている方々の紹介の文章が、
    まさしく画一的でつまらなさすぎるので、星マイナスいち。

    「○年生まれ。○○県出身。△△大学を出て・・・」なんていうのが、この素晴らしく優雅な人たちの人となりを表す紹介文かよっ!!

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