完璧じゃない、あたしたち

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 513
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591155363

作品紹介・あらすじ

「女たちの人生が、たった一度、どうしようもなく変わってしまう、
 美しくて、怖くて、きらきらした瞬間が、ここには詰まっている。
 女の人生を変えるのは男だなんて、誰が決めたのさ?」
 ――翻訳家・岸本佐知子氏、推薦!

<すべて”女と女が主人公”の短編小説集>

“私”も“あたし”も自分に似合わなくて困ってる「小桜妙子をどう呼べばいい」
セックスの妙をめぐる、女二人の哀切滑稽な別れ話「Same Sex,Different Day」
これぞ究極のシスターフッド!? あるお屋敷で起きた痛快復讐劇「ばばあ日傘」
十九歳、世界一みじめなスナックのアルバイトで――。「ときめきと私の肺を」
都会の不安な夜に出会った、不機嫌で魅力的な女の子「東京の二十三時にアンナは」
ほか全23編を収録。
名前をつけるのは難しい、でもとても大切な、女同士の様々な関係を描く。

読者の熱い支持を得たWeb連載小説に、書き下ろしを多数加え単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 23編の環境も立場も違う「あたしたち」の関係性の物語。百合要素が強めだかそうではない問題を提議する関係も。恋の始まりや終わり、友情やふとすれ違っただけの交流まで徹底して女と女で構成されていて正に帯の「女の人生を変えるのは男だなんて、誰が決めたのさ?」をにやにやしながら叩きつけるのが爽快。23編もあるからなんだこりゃ?な話もあるけどその分刺さる話は直球でやって来る。「しすか·シグナル·シルエット」「だからその速度は」「あなたのこと考えると無駄になる」「ヤリマン名人伝」辺りが好み。「ときめきと私の肺を」や「東京の二十三時にアンナは」の辛い時に静かに横にいる、というのも染みる。

  • 様々な短編小説が書かれている一冊。
    世にも奇妙な話から少しホッコリするような話まで、色々な系統が入ってるからサクサク読める!
    改めて人は違ってみんないい!!と、思えるような作品でした〜♪

  • まだ子供だった頃、「女の敵は女」と大人みんなが言っていた。
    周囲の人も、テレビも。
    だから、そうなんだと思ってた。
    もう少し大きくなって、「女の敵は女だけど、女の味方も女」だと思うようになった。
    古い価値観とは違うんだと思って、ちょっと誇らしかった。
    更に年を経て、「敵味方でも他のことでも男女は関係ない」と思うようになった。
    触るもの皆傷つける気持ちだった。
    そして今は、「男女も関係ある、その上で個人の問題」と思っている。
    この世の中、男女差はやっぱりあるのだ。
    もう制度の面でも、皆の心根の面でも。
    それがなくなればいいと思う、けれど今あるそれをないものとしてしまうのは、全て男女を理由に片付けてしまうのに近いくらい乱暴なことなんだと思う。
    そんな今の私の心にしっくり来る作品集だった。
    愛おしい女達に幸あれ。

  • 短編集。
    同著者の「ババヤガの夜」が面白かったので、他の作品も読んでみたいと思った次第。

    百合系の恋愛もの、SF、昭和歌謡、ホラー、異国情緒もの、他、非常にバラエティーに富んだ内容で、どれもが全て短編じゃなく、長編で読みてー!と叫ばずにはいられないほど引き込まれる内容。

    また、作者の独特の表現も素晴らしく、例えば、

    「ゆっくりゆっくり歩いた。恋の速度に合わせて。」(「だからその速度は」より)
    「~、私はくじ引きで当てた腐ったほうれん草のような色の折り畳み傘を広げ~」(「あなたのこと考えると無駄になる」より)
    「~こんなところで終わる人間じゃないんだと毎日自分に言い聞かせていた。つまり私は、どこにでもいる普通の十九歳だった。」(「ときめきと私の肺を」より)
    「何もかも失ったって、よく言うじゃない」~「それね、案外難しいんだよね。必要なものはどんどん失くなってくけど、嫌なものとかいらないものは最後までべったりこびりついたまんま。全て失くして身軽にきれいになんて、なれないね。なかなかね。」(「タイム・アフター・タイム」より)

    等々にしびれまっくた。

    作品同士のつながりは無くそれぞれ独立しているので、どこから読んでもOK。短いものであれば5分もかからないものもあるので、ぜひ本書を手に取ってどれか1作品でも良いから、読んでみて王谷ワールドへ足を踏み入れていただきたい!

  • 2023年1月
    どこにでもいそうな女の子たちのどこかにありそうな物語の短編集だが、今までこんな小説を読んだことがなかった。
    自分の一人称に悩む女の子の話とか、本人からまるで腐れ縁のように語られる女同士の関係性とか、可愛らしいベタなラブコメとか(百合)、どれも本当に新鮮で面白かった。

  • 最初から最後まで最高の女同士の小説しかない!!
    レズビアンロマンス小説もシスターフッド小説もあると思ったらスリラー小説もあるしサスペンス小説もあるしSF小説もあるし、てんこ盛りで良かった。
    お腹いっぱい!!
    この小説たちを一生愛す!!

    『完璧じゃない、あたしたち』で好きだった小説
    「小桜妙子をどう呼べばいい」
    「十本目の生娘」
    「だからその速度は」
    「夢で見た味」
    「東京の二十三時にアンナは」
    「タイム・アフター・タイム」
    中でも「だからその速度は」が好きすぎて最早辛い。
    最高でした。

  • 「北口の女」があまりに良かったので、これが所収されている本書を手に取った次第です。もう、あんまり覚えていないのですが、最後の「タイム・アフター・タイム」が好きです。歌がらみの話が私のツボにはまるのかもしれません。女同士のドロドロなのも好みでした。SNSとかニコが若い頃には影も形もなかったもの。これの影響力のスゴさに感心すると同時に、こんなんに振り回されてんじゃねぇ、と言いたい気持ちも募ります。そういいつつ、最早、社会とか流行とか風俗とか、そういうものの第一線から遠ざかった、少なくとも外部からはそのように認定されるであろう私。その私に、シンディ・ローパーの気怠いバラードが染みるのです。

  • 全て女性が主人公の短編集。
    年代を問わず様々な女性が出てきて、シリアスな話もあれば面白可笑しい話もあり、一話ずつ新鮮な気持ちで読み進められた。

  • ◎友人スワンプシング
    ◯戯曲グロい十人の女

  • 最初は正直なところちょっと「おえ」って感じでしたが、自分でもよくわからないエネルギーに引っ張られて読了してしまいました。
    「なんでもすぐに投げ出しちゃだめ」という母親の言葉を忠実に守って、好きでもない行為をし続ける女性が出てきたかと思うと、数十年ぶりに同窓会で会えた彼女と友達になろうとする女性や、言葉もわからん日本に突然やってきて後ろ向きになっていたけれど、あることがきっかけで一歩踏み出していく女性も。
    ぶっとんでいる話もあれば、妙にしんみりしてしまう話もあり、さまざまな題材を短編に落とし込めるこの作家さんの嗅覚の鋭さと力量が際立っているなぁと感じました。

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著者プロフィール

著者:王谷晶(おうたに・あきら)
東京都生まれ。小説家。著書に『探偵小説(ミステリー)には向かない探偵』『あやかしリストランテ 奇妙な客人のためのアラカルト』『完璧じゃない、あたしたち』など。

「2019年 『BL古典セレクション③ 怪談 奇談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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