([も]4-1)わが盲想 (ポプラ文庫 も 4-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591143087

感想・レビュー・書評

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  • 面白くて、かつ、すごい話。

    全盲の19歳のスーダン人大学生が、偶然、日本への留学の機会を得る。福井県立盲学校、筑波技術短期大学、東京外国語大学の学部・修士・博士課程を終え、現在は東京外大の特任助教、また、ネットで調べたら学習院大学の特任教授を勤められている。専門は、中東およびアフリカの現代政治。
    まだ学生であった頃にスーダンの女性と結婚し、今では3人の子供の父親でもある。

    19歳の時点で日本語に接したことのない全盲の方が、日本で大学教授までになるのは、信じられない。才能と努力の賜物だと思うが、この本の面白いところは、それに対してほとんど悲壮感を感じないこと。途中で随分と落ち込む様子は書かれているが、それでも前を向いて活動を続けるところ。驚くようなエピソードもたくさん。

    笑いながら読みつつ、元気をもらえる。

  • 紛争が続くアフリカ・スーダンに住む盲目の青年が、たまたま耳にした「日本留学」に申し込んで派遣が決まり、文化も言葉も全く分からない上に見えない世界で、日本へ来て奮闘する様を書いた自伝書。
    ストーリー全般にわたって明るく軽快な語り口なんだけど、エピソードのひとつひとつがとにかく凄すぎて笑える。
    この本も自身で書いており、日本語の語彙力・筆力ともに圧巻過ぎて、とにかくすごい。←語彙力

  • 紛争が続く祖国スーダンを飛び出し、盲目の青年・アブディンがめざしたのは、未知の国ニッポン。言葉も文化もわからない、しかも見えない世界で、幾多のピンチや珍事に見舞われながらも、ユーモアいっぱいに切り抜けていく様を、音声読み上げソフトで自ら綴った異色の青春記。(e-honより)

  • 思索

  • おもしろかった!ただの視覚障害の外国人じゃない。相当頭がいい努力家。奥さんのアワティフさんをはじめ、すごく魅力的なひとたちに恵まれている。
    苦労したことも描かれているけど、全然ネガティブな感じがしない。特に靴ひものくだりはとてもよかった。

    筆者の見たことのない情景が、読者の眼に浮かぶってすごいことだな。

  • 高野秀行さんのファンならお馴染みのアブディンさんの著書。書きだしからものすごく面白い。19歳で来日した盲目のスーダン人の青春記が面白くないわけないけど、その文章のユーモア溢れるタッチが最高。

  • いろんな意味で、参考になった。
    ます、先を考えてくよくよし過ぎない。根拠はなくても、何とかなると考える。
    辛さをがまんしない。
    人には素直に頼る。
    結婚したくなったら、さっさと決める。
    とりあえずやってみる。
    日本人には難しい、こういったところを、取り入れると、随分人生楽しくなると思う。
    特に、知り合いから会う人を紹介してもらい、数回の会話でフィーリングが合えばプロポーズし、OKがもらえたら親に伝え、そしてここからが大切なのだが、親に相手の家族について調べてもらう。相手の家族の評判が良ければ結婚の許可が出る、というシステムね。
    結婚なんてこれで良くない?たくさんの人と付き合ってもまとまらない時はまとまらないし、まとまっても、相手の家族に問題があれば駄目になる。相手の家族に問題があるとわかるのは、結婚が決まってから、というのが傷を大きくする。
    知り合いなら興信所雇う必要もないし、数回会話しただけなら、駄目になっても傷は小さくて済む。
    みんな結婚に壮大な夢を見すぎなんだよ。期待するからガッカリする。
    これくらいの気軽さで結婚してもいいんじゃない?そして駄目だったらさっさと別れて再婚すれば。
    私も、死ぬまでに何千万必要とか聞いて、暗い気持ちになってたけど、この本読んだら、まあ、いいか、と思えるようになった。
    またしばらくしたら元に戻りそうだから、そしたら、またアブディンさんのお世話になろう。

  • 怠け者で猪突猛進のアブがそのまんま書かれてる。
    おもろい。

  • 目は見えず、母語はアラビア語、日本語もろくにわからない19歳の青年が家族を説得して来日した顛末から書き起こしていて、この十五年間、日本で夢を追い、進学を重ねつつ、故郷から配偶者を迎え父にもなった波瀾万丈の日々。青春記・成長物語でもあり、異文化冒険譚でもあり。
    スーダンからきた異邦人の視点、視覚障害者というマイノリティの視点、どちらも読み手にたくさんの発見をもたらしてくれる。お涙や感動をよぶというのではなく、その当たって砕けろや七転び八起きの爽快さにちょっと元気が出てくる。
    母国では本を読む習慣のなかった著者が、日本で点訳本を通じて読む楽しみ(=本への現実逃避)を覚え、読書を通して砂漠が水を吸い込むように日本語を吸収した成果として(同時に、ラジオ聴取を通してみがいた面も多分にあるとは思うが)、こなれた日本語で読み手をぐっとひきつけて離さない語り口もさることながら、聴覚を頼りに音声読上げソフトで綴っている状況でありながら、漢字の「渡来」とカタカナ英語の「トライ」のかけことばを駆使できる言語感覚もすごい。

  • 小さな生き物が大きな怪物を倒すような爽快感

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