- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591141342
感想・レビュー・書評
-
この本を読もうという人のほとんどは犬好きであろう。当たり前だ。でも、高野秀行さんの奥さんが書いてて高野さんも登場するから、などという理由で読む、犬が苦手な人っていうのも、わたしの他にもいるよね? … いないかな…。
子供の頃近所の大きな犬に本気で(と思う)追いかけられた恐怖体験が忘れられず、犬は基本的に怖い。記憶の中で迫ってくる犬はずんずん巨大化して、まさにバスカビルの魔犬である。つながれてない犬は、リボンなんぞ付けたティーカッププードルでもダメだ。
そんなわたしが、ノーリードでタイの遺跡を駆け回るマドの姿にはしみじみ嬉しくなった。黒犬マド(ソマリ語で「黒」って意味だそうだ)は、放浪→保健所→愛護団体→高野家という経歴の持ち主で、極端な怖がり。著者の言う「ビビリ犬」である。そのビビリ癖をなんとかしようと、高野夫妻とマドは旅に出る。たっぷり一緒にいて、楽しい経験をいっぱいさせて、怖がらなくていいよ、この世界は楽しいところだよと伝えようというのだ。
その行き先タイは、人も犬もいきいきと、かつ、のんびり暮らす、お二人にとってはホームグラウンドのようなところ。敷居の高い犬連れ海外旅行もここならば大丈夫!と選んだはずが、意外や、散歩もままならない困った状況に直面することとなる。可愛がられて自由に暮らす地元の犬たちにとって、マドはテリトリーの侵犯者なのだ。かくて高野夫妻とマドの「小さな群れ」は、のびのび散歩できるところを求めて、タイの各地を旅することになる。
犬連れの旅って大変だなあと思う。出国入国時の検疫手続き(日本は世界一厳しいと言われているそうだ)など、簡略化されたとはいえ、なかなかややこしそうだ。移動手段も限られる。それでも、行く先々に、マドを見て笑顔になり声をかけたりなでてやったりする人がいる。犬連れだからこその旅の味わいというものも、また間違いなくあるのだなあと思わされる。ビビリ犬だったマドも、少しずつ変わっていく。表紙にも使われている、世界遺産スコータイの遺跡での写真、マドがもう実にいい顔をしてるんだよねえ。かわいいなあ。あれ?わたしってほんとは犬好きだったのか?
「高野さんと旅」とくれば、これはもうお約束、ありゃ~というトラブルもちゃんと(?)ある。そういう体質なのか。体質と言えば、ご自分でも書かれているが、高野さんってあまり頑健じゃないよねえ。この旅でも倒れちゃってる。先日ツイッターをのぞいたらミャンマーで熱出してたし。体の弱い探検家? 笑い事じゃないけど、つい笑ってしまう。 -
ビビりな保護犬、マドを連れてタイの旅。
のんびり暮らす「アジワン」たちの洗礼を受けつつ、ビビり克服に挑む。
ついでにパパ(著者の夫)との微妙な関係も改善か?
出国前から帰国まで、必要な手続きも詳しく紹介されていて、犬連れ旅を考えている人の参考書としても良いのでは。 -
著者の愛犬は、生い立ちが影響して超ビビり。
怖がらなくてすむようにしてあげたい、というのはよくわかるのだけど、そこで選んだ方法が海外旅行というのがすごい。
知らずに読み始めたら、著者はノンフィクション作家高野秀行さんのパートナーで、高野さんも一緒にタイ旅行へ。
読みやすい文章から愛犬(と時折高野さん)への愛情が滲み出ていて、夢中で読んだ。
ものすごく犬と暮らしたくなるのと、ものすごくタイに行きたくなるのを覚悟の上、是非、と人に薦めたくなる本だった。 -
犬とタイを旅行するお話し!
マドちゃん大切にされているし、パパとも仲良くなれてよかった!
検疫はなかなかややこしそうだが、気軽にペットを連れて旅行できるようになったらもっと楽しいだろうなーと思った! -
超ビビりなワンちゃんのビビり撲滅を目指した飼い主夫婦との、2ヶ月にわたるタイ旅行の記録。
海外へ犬を連れて行くために必要な手続きや、あると便利な持ち物なども詳細に書かれており、旅のルポであると同時に参考資料としても有益な一冊です。
ワン連れで海外旅行はさすがに難しいけれど、近くの目的地でもいいから愛犬と旅がしたくなりました。犬にとっても飼い主にとっても貴重な体験ができそうな気がしてきます! -
まさか、犬と海外旅行出来るとは思わなかった!多分行けないけど、行ったつもりになれる〜。日本の飛行機もせめて犬と一緒にいられるようにならないかな〜。
-
ノンフィクションライター夫妻が愛犬・マドの「ビビり」を克服するべく決行された、二人と一匹によるタイ旅行を綴ったものです。著者に対しては失礼にあたるかもしれませんが、高野秀行さんのファンである私は、妻である片野さんから見た高野氏を知りたいというミーハーな動機も手伝って本書を購読しました。
旅先が二人にとってはお馴染みであるタイとはいっても、あまり例のない犬連れの海外旅行に伴って手続き、宿泊施設の選定、散歩場所など乗り越えるべき数多くのハードルが現れますが、それ自体が本書の主な目的のひとつであり、本文の体験談に加えて巻末にある「動物検疫スケジュール」も合わせて、愛犬を連れた海外旅行に憧れるひとびとの先鞭をつける役割を果たそうとしています。
同時に本書は二人と一匹による旅行記でもあり、あちこちにいる「アジワン」たちとの触れ合いをはじめとして、タイのひとびととや各地の様子を伝えてくれています。また、カラーも含めて夫妻の手によるものと思われる写真がふんだんに掲載されている点も特徴です。
わたしにとってお目当てだった片野さんの視点からの高野氏は、辺境作家としての氏の著書から受けるようなエキセントリックさや恐妻家のイメージはなく、家庭人として穏やかで自然に振る舞われている印象を受けました。 -
2014-12-19
ほんと、いつ頃からかそこら辺をフラフラ歩いている犬っていな...
ほんと、いつ頃からかそこら辺をフラフラ歩いている犬っていなくなりましたよね。いて欲しいわけではないけれど(絶対!)、ちょっと寂しいことのような気がしないでもないような。
最近になって片野ゆかさんのブログも、時々のぞきにいってます。あちこちで撮られたマドの写真がいいですね。