ワーキングプア 解決への道(ポプラ文庫) (ポプラ文庫 え 3-2)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591115466

作品紹介・あらすじ

NHKスペシャル取材班が、放送では伝えきれなかった詳細を書籍化し、大反響を呼んだノンフィクションの続編が、待望の文庫化。深刻かつ喫緊の問題に、解決の糸口は見つかるのか?深い闇に一筋の光を投げかける一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 『解決への道』とサブタイトルで書かれていますが。今後もこの問題は根深く残っていくだろうし、世界がグローバライゼションの名の下に『安い労働力』を求める限り今後も増え続けるのではないか?と思っています。

    前作は主に国内の様子が取りざたされていましたが、今回の前半部はワーキングプア「先進国」であるアメリカやイギリス、そしてアジアでは韓国の様子が描き出されています。韓国では『アジア通貨危機』のころより非正規雇用の人間が増加し、そのしわ寄せが最も行っているのは日本同様、若年層が中心である、ということや、アメリカでは当時、ITバブルが崩壊し、高給取りだったが今はキャンピングカーでそのひ暮らしをする元プログラマーの男性。イギリスはリバプールで行われている貧困の連鎖を止めるために若年層に巨額の予算を投じて行われる支援政策。貧困はどこの国でも大きな社会問題なのだとあらためてそう感じました。

    国内では北海道釧路市の例を取り上げて、生活保護の受給についてや段階を踏んだ自立支援政策を取り上げていましたが。個人的な見解として、地方は見捨てられ、朽ち果てていくような気がしてなりません。そして、最後のほうに、『つながり始めた人々』というタイトルで、こういう状況にノーをいい始める人たちが特集されています。

    こういう声がもっと大きくなって、『働く』ことや『仕事』についてや『貧困』などの問題が少しでも是正されることを願ってやみません。

  • 「はじめに」の中で、解決編とうたわれている。が、(当然だが)全く解決していない。どころか、この本が上梓された後、事態はさらに深刻さを増している。紹介されているのは海外の実態と対策、国内事情の後追いだが現在はどうなっているのか。「働いたら負け」という名言が現実のものになりつつあると感じる。

  • ワーキングプア解決への道

    この本、NHKスペシャルでも放送された内容の

    三作目となります。

    解決はどのような方法があるのか?

    海外で行われている事例なども上げて説明されています。

    まだまだ日本でも出来ることは多いと思いますね。

  • NHK取材班だけあって、韓国・ソウル、アメリカ・ダラス、イギリス・リヴァプール、そして国内では釧路と広範な取材に支えられたレポート。なにしろ、取材費もふんだんに使えそうだし。問題は広範囲に及ぶが、やはり基幹は雇用にあるだろう。韓国ではIMF危機以降、急速に雇用の非正規化が進み、2007年現在でその割合は55%にも及んでいる。日本でも33%だから、実に3人に1人はすでに非正規雇用者なのだ。生活保護水準以下の賃金に甘んじざるを得ない人も多い。そして、タイトルに謳う「解決への道」は、はるかに遠いのが現状である。

  • 前作の『海外編』といった所でしょうか?
    TV放送も観ましたが、こちらの本の方が分かりやすかったです。

  • 「日本を蝕む病」の続編。
    続編であるからには違う構成の仕方で解決方法の提案が重層的に行われるのを期待していたが、結局前作と同様に個々の事例を追うテレビドキュメンタリーの手法がそのまま採用されていた。
    NHK自体ももっと本気で取り組むべきではないのか。
    せめてスポットを当てたのであれば。

  • 経済の効率性をもとめた後に残された影を描いてあります。誰のための経済成長なのか、何のための競争なのか。すごく考えさせられるノンフィクションの本です。ぜひぜひ読んでみてください。

    〔38期 まさし〕

  • 韓国、アメリカ、イギリス、日本同様にワーキングプアに陥った国の現状を取り上げている。イギリスの事例は、読んで希望が持てるものだった。各々解決への道を模索しているけれど、やはり小さい力だけでは限界があり、国の力で大きな一貫とした変化を作らなければ、いつまでたっても解決には至らないという結末に終わった。正直、解決編ということで、もっといろいろな制度が紹介、検証されているのかと思ったけれど、事実そんなうまい解決法があるなら実践しているだろうし、簡単ではないからいつまでも解決しないんだから、仕方があるまい。まぁドキュメンタリーの活字化ということで、やはりエピソードが多いかな。

  • 大学を卒業しても就職できず、フリーターのまま30歳を迎えてしまった韓国の若者、中国やインドに仕事が流れてしまい、スキルがあっても再就職できないアメリカの40代SE、頼れる家族もなく、30代にして路上生活者になってしまった日本の若者など、働く意欲も健康な体もあるのに賃金の安い不安定な仕事にしかつけない人たち。読んでてせつない。どうにかならないのかと本当に思う。そして、人ごとではなく、怖い。

    行政主導の支援で上手くいきつつある、アメリカやイギリスの事例が紹介されていて、少しほっとする。日本は、役所の窓口の方など各々頑張ってる人達はいるものの、大きくひっぱっていく流れがないと解決は難しいと感じた。

    韓国は日本以上に非正規大国(日本33%、韓国55%/2006年調べ)だという事実を知って驚いた。サムスンやヒュンダイなど、利益をあげている企業のイメージが強いから以外だったが、その分歪みがでているのかもしれないと思った。

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