市川房枝と「大東亜戦争」: フェミニストは戦争をどう生きたか

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  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (668ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588327049

作品紹介・あらすじ

戦前から婦選運動を牽引し、日本におけるジェンダー・ポリティックスの政治理念と政治様式の生みの親でもある市川房枝。その市川は、どのような軌跡を描いて非戦論の立場から戦争容認・協力へと転向していったのか。本書は、多くの未公開資料などを利用しつつ、「告発史観」の視座からではなく、同時代の社会状況のもとに市川の言説と活動を跡づけ、その戦時期活動の意味を再検証する。

感想・レビュー・書評

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  • ☆交流関係を見ると、生きた伝説だな。

  • ジェンダー
    政治

  • 進藤久美子『市川房枝と「大東亜戦争」 フェミニストは戦争をどう生きたか』法政大学出版局、読了。戦後の政治家としての評価とは裏腹に戦前・戦中の軌跡を評価するのが難しい市川房枝。一次資料にあたりながら、礼賛でも弾劾でもない抑制のとれた筆致でその全体像を描き出す最新の浩瀚な評伝

    。大正デモクラシーの空気を吸い、そのさらなる完成(婦人参政権)を目指す市川の大きな壁は大東亜戦争。非戦のから撤退するか、それとも権利獲得のために政府に協力するか。市川は後者を選ぶ。満州事変に反対した彼女を「転向」と捉えるべきか。

    彼女の転回を戦争肯定と理解するのは早計過ぎるだろう。晩年まで石原完爾に共鳴(彼女自身のイデオロギー超越性のスタイルもあるが)したように、東亜連盟への共感や中国の女性との連帯の志向は、単にナショナリストと片づけることはできない。

    戦中も女性擁護の立場から東条内閣の内政政策と鋭く対立し、その先鋭化は女性徴兵論にも赴くが、市川の軌跡そのものが、都議会ヤジに象徴されるように、この社会の男性優位の構造そのものが、今も変わらぬことを物語る。今読むべき1冊か。

  • 「女の力信じはまったワナ」[評者]渡邉澄子(文芸評論家)東京新聞
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014042702000179.html

    「擁護でも弾劾でもなく」評者:宇野重規=政治学者・東京大教授(読売新聞)
    http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20140527-OYT8T50088.html

    法政大学出版局のPR
    http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-32704-9.html

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著者プロフィール

1945年高知県生まれ。1971年ペンシルヴァニア州立大学大学院歴史学研究科修士課程修了(M.A.)。1980年、立教大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、東洋英和女学院大学国際社会学部教授。法学博士。専攻は、アメリカ史、ジェンダー・スタディーズ。主な著書に、『ジェンダー・ポリティックス─変革期アメリカの政治と女性』(新評論、1997年)、『ジェンダーで読む日本政治──歴史と政策』(有斐閣、2004年)、訳書に、S.バスネット著『世紀末のフェミニズム──四つの国の女たち』(田畑書店、1993年)、K.グリーンスパン著『世界女性史年表』(共訳、明石書店、2003年)、J.アン・ティックナー著『国際関係論とジェンダー──安全保障のフェミニズムの見方』(共訳、岩波書店、2005年)、ほか。

「2014年 『市川房枝と「大東亜戦争」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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