ライトノベル史入門  『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち

著者 :
  • 勉誠出版
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本棚登録 : 42
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585291497

作品紹介・あらすじ

*『ドラゴンマガジン』とは…
富士見書房から1988年に創刊され、現在も若年層向けエンターテインメント小説を扱う専門誌の一つであり、出版社が同じ富士見ファンタジア文庫の刊行作品やその関連情報を中心に掲載している。〈ライトノベル雑誌〉の先駆的存在としても知られ、2018年には創刊30周年を迎えようという老舗雑誌である。

感想・レビュー・書評

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  • ■書名

    書名:ライトノベル史入門  『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち
    著者:山中智省、あらいずみるい

    ■概要

    創刊当時を知ることのできる貴重なインタビュー!!雑誌創刊物語を追いながらライトノベル史をめぐる冒険に出ませんか?
    (amazon.co.jpより引用)

    ■感想

    自分が中学生の時に、ロードス島戦記、フォーチュンクエストにハマりました。
    この頃は、ライトノベルという言葉は無く、小説として語られていたように思います。
    もともと推理小説など本を読むのは好きでしたが、ここら辺の小説に出会って結構
    はまっていった記憶があります。
    (この頃、スレイヤーズにははまりませんでした。スレイヤーズをしっかり読んだのは
    ここ最近だったりします。)

    この頃、このような小説がたくさん発表されており、上記2作以外にも色々と読んだ記憶
    はありますが、正直題名すら覚えていません。色々と読んだ結果、上記2作が自分には
    非常に面白かったという結果となります。

    ここら辺の時代の裏話が、当時の関係者のインタビューから読み取れたり、歴史が分かったり
    するのが本書となります。

    個人的には、細かいデータについては良く調べているな~と思いますがあまり興味が
    無かったりますので、割愛します。

    私の目当ては、関係者のインタビューでした。
    関係者のインタビューを読むと、相当なブラックな職場で手探りと実験を繰り返して
    雑誌を発表し、ライトノベルというジャンルを創り上げたのが分かります。
    言葉では2行で表現されているだけの苦労話も、当時は相当な苦労であった事は容易に
    想像できました。

    歳を取っても、子供っぽいと言われても、面白いものは面白いんですよね。
    難しい言葉、文章だけが小説!という思い込み/文化を取っ払った関係者には感謝です。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    申し訳ないことに自分は『ドラゴンマガジン』の読書ではないが、掲載作品や新人賞の受賞作品には馴染みがある。
    感想としては『ドラゴンマガジン』に歴史があったということ、さらには今では当たり前であるメディアミックス的な内容を先駆けだった事には驚いた。

  • 本の感想で「ラノベみたい」という表現がよくあります。それは「読みやすいように文章や構成に工夫が為され、若者の心をつかみ取り奮起する」という意味では使われていないのでしょうね。
    これだけ多くの人が読み、読書の入口ともなっている「ラノベ」ですが、その評価はあまりにも貶められていると感じるのです。
    では、一体「ラノベ」とは何でしょうか。それを今に通じるラノベの黎明を築いた雑誌『ドラゴンマガジン』の創刊から見ていくのが本書なのです。

    メディアミックスを戦略として用いる、ビジュアルを重要視する、特集ページで作品やキャラクターを強く推していく。しかしその核にあるのは物語なのです。活字離れと言われている(いつの時代でも言われているのですが)若者に、活字で物語を楽しむ喜びを伝えるために、あの手この手が提供されていくのです。メディアミックスもビジュアルも全てが小説を楽しむために呈されるのです。
    雑誌創刊時に関わっていた人たちへのインタビュー、雑誌に掲載された記事、読者の声などから『ドラゴンマガジン』が生まれた理由や意義が述べられます。

    残念ながら僕自身は『ドラゴンマガジン』を購読していませんでした。しかしこれを読むと何と楽しそうなのでしょうか。
    当時「オタク」に対する風当たりが強くなっていった時代です。ファンタジーを読むことをおおっぴらに言えないような風潮もありました。そんな中であなたたちが好きなものを用意したよと提供し、好きな気持ちを肯定してくれ居場所を与えてくれた雑誌の存在は大きかったでしょう。(僕も別の雑誌でそれを体感しています。)そんな想いを込めて贈られた小説たちを表わす言葉として、読み手側が名付けたのが「ライトノベル(ラノベ)」だった。そこには作り手(出版社、編集、作家など)と受け手(読者)の幸せな関係性が見て取れます。
    だからこそラノベを大切に扱っていきたいのです。狼煙を上げた先駆者たちの想いを受け継ぎたいのです。だからこれからもラノベを若者に届けていきます。

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著者プロフィール

目白大学人間学部専任講師。専攻は日本近代文学、サブカルチャー研究。著書に『ライトノベルよ、どこへいく』(青弓社)、『ライトノベル史入門 『ドラゴンマガジン』創刊物語』(勉誠出版)、共編著に『ライトノベル・フロントライン』全3巻(青弓社)など。

「2020年 『小説の生存戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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