スポーツ雑誌のメディア史: ベースボール・マガジン社と大衆教養主義
- 勉誠社(勉誠出版) (2018年1月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784585230601
作品紹介・あらすじ
戦後初期のスポーツ雑誌の誌面上には、「高尚さ」や「教養」を語る編集者や読者の声が少なからず存在している。
代表的スポーツ雑誌社であるベースボール・マガジン社の雑誌刊行の系譜を追うことで、現在のスポーツ・メディアのあり方とは異質な、スポーツ雑誌と「教養」との結びつきに光を当てる。
戦時期の国防意識、占領によるアメリカ文化の流入、高度成長とオリンピック、大衆化と教養主義の終焉など、日本人の戦後精神を跡付ける。
感想・レビュー・書評
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スポーツ雑誌と「教養」はなぜ結びついたのか?
現在のスポーツ・メディアのあり方とは異質だった戦後初期のスポーツ雑誌から解明する。
2023年10月期展示本です。
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https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00538892詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
池田恒雄の評伝をきちんとまとめたはうがいいんではないか、といふ感じ。
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自分にとってのベースボールマガジン社は、ターザン山本が率いる「活字プロレス」の本拠地としての週刊プロレスの発行元でしたが、その「活字プロレス」にも連なる「読むスポーツ」というジャンル生成のクロニクルです。いよいよ準決勝に向けて盛り上がるサッカーW杯ロシア大会ですが地上波だけでなくNHKが動画をバンバン放出してスポーツ視聴そのものが2020年の5Gシフトに向けて走り出している一方、スポーツ雑誌、サッカー雑誌「読むスポーツ」は苦戦という話を出版社の方から聞いたばかり。今、当たり前のようにスポーツ=コンテンツという流れの中で、スポーツ=教養という視点が成立した時代があったこと、そして雑誌=啓蒙活動という時代があったことが丁寧に掘り出されていきます。(ちなみに本書は著者の博士論文の図書化です。)そういう意味では「犠牲出版」というキーワードを掲げ、採算性度外視で雑誌をどんどん増やしていったベースボールマガジン社社長 池田恒雄の価値観が時代の価値観とシンクロしていった時代のスポーツ雑誌物語です。それは、たぶん1億人の池田恒雄がいてそれがみんなリベラルアーツを求めていた時代なのでしょう。いわば「中間層の蹉跌」という意味でスポーツに限らず雑誌文化全体の終焉なのかもしれません。