静かに生きて考える

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584139943

作品紹介・あらすじ

世の中は騒々しく、人々が浮き足立つ時代になってきた。そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか? 作家森博嗣が自身の日常を観察し、思考した極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を生き抜くための智恵を指南する。〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむ生き方のヒントに満ちた書です。

感想・レビュー・書評

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  • 気づきの多い一冊だった。
    自分を楽にしてくれたのは、
    生き甲斐追求に拘らず、まずは自分自身を諦めることからスタートすると気持ちが楽になる。

    物事は複雑に考えず、シンプルに素直に思った通りにやっていこうと思えた。
    そして自分の頭で考える事の大事さ。
    頑固にならないよう、変化を恐れず楽しみたい。
    過去よりも今が1番楽しいと言えるように、生きていけたら幸せ。

  • 『木嶋先生の静かな世界』を読んで以来気になっている作家さん。でも、他の作品はまだ読んでいない。なぜか手が伸びない。今回はエッセーということで、気軽に読んでみた。

    40回に分けて書かれている。内容は、大体、作者の趣味の話か、日頃思っていること、周りに人がいない森の中での暮らしについてだ。

    何となく、研究体質で人の目を気にしない方なのだろうなと想像はしていたけれど、想像の斜め上を行っていた。かなり論理的で、考えが固まっており、人によっては手厳しいと感じることもあるだろう。でも、その考えの殆どが私には納得できたり、共感するものだった。

    誰しもが作者のように、真に贅沢な生活はできない。財産や能力が違いすぎる。でも、考え方や社会の捉え方は参考になる。ただ、周りを冷めた目で見ているのではない。そこには筋が通った生きていく上での賢い考え方がしっかり組み込まれていた。

      ………………(以下 抜粋多)


    ✳︎無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状態といえるだろう。人間はなぜ生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものだから、辻褄が合っている。

    第29回:暇だから「観察日記」みたいに書こう
    ・どうして選挙に行かない人が多いのか?
    ・どうして子供が減ってしまったのか?
    ・この際だから、やめた方が良いものを書いて おこう
    は共感の嵐でした。政治家でもない人がこれだけわかるのに、どうして政治家はわからないのだろう?と謎です。

    ✳︎インターネットが普及し始めた頃、そこには本当に貴重な情報が集まった。人間の知性に接することができる。静かな場所だった。30年位前のことだ。

    ✳︎人の意見、人の経験は自分に当てはまるか?
    判断や方法等について、他者の意見や経験などを参考にすることが多い。だが、ちょっと考えればわかることだが、条件が違いすぎる。なんとなく、成功した人の方法を採用すれば、自分も成功できるような気になるけれど、自分はそもそも成功する人かどうか、という点で疑問を持ったほうが良いだろう。
    要は、安易に人の意見やデータに飛びつくなということ。逆に失敗した人の経験を聞いて、同じ失敗をしないように注意をすることは有益だ。

    (教育について)
    ✳︎褒めても叱っても、人は育つ。
    叱ると、真面目な人と隠れる人になり、褒めると、自己アピールする人とふてくされる人になる。さて、どちらが良いだろうか?褒める時と叱る時が当然あるだろうから、その時々で、褒めて、そして叱れば良い。それが自然だと思う。最初から「褒めて育てよう」なんて方針を決めるのは不自然だ。ただ、叱る事は、難しい。怒らずに叱る事は非常に難しい。

    ✳︎知らないことが馬鹿なのではない。知ろうとしないことが本当の馬鹿である。

    ✳︎日本人の特有の2つの価値観。若い事は良いことだ。働く事は良いことだ。

    ✳︎大人しいことや怒らないこと、ルールを守ること、つまり協調性が、社会人には求められる。感情的なものも、周囲と合わせる必要がある。不満や不審を抱いてもすぐに表には出さない、笑顔で応えて逆らわない、という従順さも「性格が良い」などと表現される。要するに、「いちいち考えない」ことが、社会では必要みたいだ。


    ✳︎今年も新しいエンジンを中古で手に入れ、それを分解し、オイルで手を真っ黒にして作業に没頭した。これは何のためだろう?
    もちろん、自分の気持ちをわかりたいからだ。自分の気持ちを知る事は、自分との対話であり、また孤独を感じることでもある。これがとても面白くて楽しい。生きている喜びの大半がこのような時間にあると感じている。

    第38回簡単な方法に縋って失敗する
    は特に、参考になった。
    ✳︎どうすれば良いでしょうかと問い続ける人たちは、方法を探しているし、解決する方法があると信じているのだが、残念ながら、方法は存在しない。まず、それを認識することが問題解決の第一歩である。
    その問題に至った履歴を丁寧にたどり、自分で考え、自分を修正し、自分の時間と力を費やして、何とか自分の未来を築き直すしかない。それは簡単ではないし、誰も知らない方法によって実現するだろう。問題が解決したら、そこで初めて、その人の方法が生まれるのである。
    (略)したがって、既存の方法に安易に飛びつかないこと。ある人物1人の指摘を鵜呑みにしないこと。できるだけ多くの意見を受け入れよく考えること。悩む時間を惜しまないこと。回り道を少しずつ進むこと。1つの方法にこだわらず、その時々で最適なものを考えること。そうすることで自然に問題は薄れていく。ゆっくりと、自由や幸せに近づくことができるだろう。

    頑固である事は、精神的に弱いと言える。若い頃から、このような頑なさが育ち始めている。だから、若いうちに、自分が頑固にならないように気をつけておこう。自分はこんな人間だ、と思い込まない。今の状況に満足して落ち着きたい気持ちはわかるけれど、いつも新しいものに目を向け、自分の考えを疑い、疑問点を探そう。だし、周囲に反発しなければならない、と焦らないこと。自分は、まだまだこれからだ、将来を見据えて、じっくりと考えていこう、と大きく構えていればよろしい。誰かに理解してもらう必要は無い。常に、自分を理解し、自分を認めることが1番大事だと思う。 大事な事は、自分が望むシチュエーションをいつもイメージすることだろう。

    ✳︎自分が好きなようにできない、と感じている人たちは、まるで自分の人生をコンテストに出品して、周囲から審査を受けるような具合に、日々を捉えているみたいだ。確かに勉強や仕事の1部には、そんな競う面がある。けれど、人生の大部分がそうではない。全部が競争だという錯覚を早く正したほうが良い。人生は戦いでも競争でもない、と思うだけで、生きやすくなるだろう。




  • 私の中で森博嗣先生は突出した存在です。
    多くの人が友達の存在に癒され、人に救われているのですが、それを選択しない事もまた選択肢なのです。
    確かに、思ったようにならない事ってたーーーくさんあって、仕事のストレスはほとんどがそれです。
    私も他人に期待しない事を選びたい傾向があります。
    森先生の様にはなれませんが私のずーーーっと先で生きる事を1人心から楽しむ先生の背中が私の希望であり、光です。

  • #静かに生きて考える
    #森博嗣
    24/1/17出版
    https://amzn.to/494PyhP

    ●なぜ気になったか
    僕はいろいろ考えてしまうタイプ。最近思うこと、「考える」ことをしない人生のほうが幸せなのではないだろうか? そんな考えに対するヒントが書いてないか読んでみたい

    ●読了感想
    共感できたり心に響くフレーズが頻出し大満足な読後感。森さんの考えが少数派と自覚する僕の考えと同じで、世の中同類が存在することを知れたのも大収穫。森さんの過去の著作、読みあさるとしよう

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き

  • 世の中は騒々しく、人々が浮き足立つ時代になってきた。そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか?人生を幸せに生きるとはどういうことか?自身の日常を観察し思考した極上のエッセィ
    「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を生き抜くための智恵を指南する。
    〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。
    他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむ生き方のヒントに満ちた書です。(内容説明)
    稚拙であれ、未熟であれ、幼稚であれ。知らないことが馬鹿なのではない。知ろうとしないことが本当の馬鹿である。本質を射抜く思考のメソッド。【目次】
    やかましい世の中でも静かに生きたい
    一人で楽しんでいることいろいろ
    もう充分に生きただろう
    のどかさにかまけて
    五月が一番夏らしい季節
    思いどおりになる楽しさ
    単なる移動による幻想
    インプット過多の社会
    こんなふうに生きようと考えたことはない
    ジェネラルからスペシャルへのシフト
    どうでも良い話をしなくては
    とにかく頭を下げる文化について
    マスクとワクチンはどちらでも良い
    中古品と仕掛け品の人生
    完成したとき味わえるものとは
    思い出って、作るものなの?
    言葉を覚えて知ったつもりになる
    「人間が描けている」という幻想
    「科学的に確かめられた」とは?
    褒めるか、叱るか、それが問題なの?〔ほか〕

  • エッセイを読んだのは初めてでなんとなく表紙に惹かれて読みました。
    読み終えて自分は自分の考えを全然持っていないという事を改めて感じた。
    森さん程地に根をはる生き方は今はまだできていないけど、そういう生き方を自身の方法でこれから変えていきたいそう思わせる本でした。

  • のんびりしたいものである。

  • 今、読んでおります

  • かなりの物持ちの模様。
    地下室にたまっていく原稿を想像し、大変だなぁ~と思った。
    環境が素晴らしく、ネット環境が整って世界万歳って思った。
    趣味に邁進して羨ましくなった。
    うん、好きなことしよう。

  • かなり個性的な暮らしをされている著者のエッセイ。
    人と関わらず、森の中でひっそりと(?)暮らしているようだが、詳細は不明。

    世論や情勢に対して、つらつらと思うことをしたためている。
    ともすれば、偏屈な老人のボヤき、皮肉とでも捉えられそうな内容でもある。
    しかしそれでいて、なんとも共感できる部分も多いのが面白い。

    成功したからこそできる余生生活だと思われるが、こういう考え方で生きることもできるという、ひとつの道筋のようなものを感じられた。

    余談だが、長音の使い方が独特で気になってしまった。
    おそらく著者なりのこだわりがあるのだろう。
    シャンプー、パトカー、マナー
    シャワ、ハンバーガ、パートナ、レポータ
    エネルギィ、ストーリィ など

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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