- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584138861
作品紹介・あらすじ
いまのワタシは最高に不幸! そんな悩みを持って生きる20代〜40代の考え方を一刀両断! 価値観を180度変えさせる「人間らしく生きる生き方の極意」を強烈に指南。イスラム法学者の第一人者にして博覧強記の怪人とされる中田考先生の初の人生論。
感想・レビュー・書評
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内容はものすごく辛口で、深く突き刺さりまくります。
表紙絵と、中身があっていない本ランキングは、間違いなく1位ですね。
宗教(イスラーム教)の視点から観る、人生論。
賢いとバカの違いは、シンプルで、
賢いとは、「何がしたいか」「何ができるか」の2つが分かっていて、分相応に生きること。
そして、バカは、例えるならば「自分のことをヘビだと思う、ミミズ」と1章で説きます。
こういった調子で、努力は報われる、自由に生きよう、などの言葉をバッサバッサと切り裂いていきます。
あれもこれもダメと言われると、どうしてもじゃあどうすれば?なんて、正解を求めたくなりますが、それこそがバカである、とさらにダメ押し。
私みたいな、本に影響されやすいタイプの人間は、少し距離をとりながら、読んだ方が良いのかもしれません。
最近ゆるく生きているな、なんて思っている方は、背筋を伸ばすチャンスです。
ただ、劇薬なので、心が折れるかも知れませんが。 -
世間一般に流布しているバカの言説を一掃してくれます。
一読しただけでは消化しきれませんが、すごいことを言っているのは分かる。
読後感としては、心がふわっとして、楽になります。
イスラームの考え方に則り、現在の日本に蔓延している、ミミズに向かってお前はヘビだと言うような、バカを生み出す言説を打ち砕いてくれます。
社会という枠組みで考えるから、自己啓発のような勘違いが生まれる。
宗教という枠組みで考えると、答えはないだから、人間に生きる資格や生きる権利など初めからなく、がんばらなくてもいいということがよく分かります。
大ヒットとなった「君たちはどう生きるか」に関して、かつては、そこで語られるような自己啓発的なものが少数派だったから成り立っていたが、今はかつての多数派の言説であったものが少数派になっており、逆にそちらのほうがコペルニクス的になっている。
だから、諦めて、長いものに巻かれるのが、大多数のバカにとっては幸せなのである。
本書の中では、「ツイッター」「ONE PIECE」「男はつらいよ」「キングダム」「宇宙兄弟」など、サブカルや漫画についての言及も面白いです。
みんなちがって、みんなダメなのだから、自分の身のほどを知って生きることが今の時代には大切です。
自分が何をしたいのか、自分は何をできるのか、自分は何をなすべきか。
自分の身の丈に合ったことをなせばよいことが分かり、心が楽になる一冊です。 -
1番の収穫は何者にもならなくてもいいってところ。
今SNSの普及で感じてるとにかく何者かにならなきゃいけないとか、何者かになれるような気になってしまってる人に捧ぐ。
大量の凡人として生きることがどれほど幸せなことかというのを独自のパワーワード炸裂で書いてあってツイッタランド人民には馴染み深い、インスタ人民には少々強烈すぎる内容でした。
そしてツイッタランド人民の私はめっちゃ楽しく読みました。
現代の承認欲求病と信仰者の比較では、イスラームの承認欲求と無宗教の承認欲求が比較されてて、信仰者は神のみが承認を与える存在でそれ以外の承認など必要ないが、無宗教の場合は他人という無数の存在に承認されないと気が済まない。
そんなこと無理だし、無理なことを求めてしまうそのバカさで不幸になっているというぶった切りが最高に気持ちよかったなー。
でも、そもそも承認欲求のためにSNSやってるかどうかは世代差あるけど。
あと、承認欲求はもともと西洋の考え方でキリスト教がルーツとか、そんな承認欲求に文化とかあるのって驚いたしそもそも生きる上で、承認欲求なんてつきものなんじゃないの
ってその考え方自体が現代病なんだなってところが面白かった。
だからといってイスラームになれとかそういう押し付けがましいことは絶対言ってこない。この作者の徹底した自己責任論者な姿勢がただの読み物としてこの本を成り立たせていた。
自分に何ができるのかを突き詰めて考えることもせずに、ただ知識をつけて何かを分かった気になって何者かになれるような錯覚を抱きながら何者にもなれないなんて嘆くのはバカそのものですねってのは突き刺さったなー。
老人についてや幸福について死に方についても書かれてたけど全てにおいてその目の前にある現実で満足できないのはなぜだか考えろ、どうして今の自分から変わらなくてはいけないと思わされているのかよくよく考えて見抜けよっていうメッセージが、情報に脅されて踊らされてるだけの日本人を少し楽にしてくれる気がした。 -
「バカ」はバカなりに生きろというのが本書のメッセージ。いま流行りの承認欲求とやらはまだ生まれたばかりの赤ん坊には生き延びるために必要かもしれないが、資本主義がその欲求の肥大化を煽るがために、バカが量産されているという。バカというのは、本書では「身の程知らず」くらいの意味合いだろう。それから、やたらと自由を求めるのがバカの属性。生まれながらにして個人はひとりひとり違っており、にもかかわらず「平等」を喧伝するのは欺瞞のいたり。そもそも言語の本質からして「区別」なくしては成立しないのであり、したがって各国民の意見を一単位とする民主主義もまた欺瞞であり……中途半端なリベラルを根本から否定する痛快の書。まだ完全にものにしていないので、再読したい。
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バカが不幸になると本書は説く。バカとは自分はミミズなのにヘビと勘違い、錯覚して身の丈に合わない生き方をしようとする人のこと。
ほんんど大多数の人はバカなのだから、自分がバカだと認識して、その中で何がしたいか、何ができるか、何をすべきかを考えて生きるべき。
著者はイスラームのため、根底がそもそも一神教で、神に承認、認められるかが基本になっているため、視点が大きく異なる。ただそのゆえ、気づかされることが多かった。
以下抜粋
民主主義というのは存在しない。民主主義という口当たりのいいイデオロギーをかぶせることにより、大衆に自分たちが主権者だという愚かな幻想を生ませているに過ぎない。 -
全然知らなかったイスラム世界の片鱗に触れることができた気がしました。もっとストイックかと思っていたけれど、意外と無理のない社会という印象。一方資本主義社会は、誰もが成功のチャンスを与えられているというが、実はほとんどが成功できない社会。そしてみんなが成功を手中にできないことにに苦しんでいる。
私にとって、新鮮な視点を与えてくれた本だと思います。 -
文章は、読みやすく結構どんどん読み進めたんだけど内容が自分の考えと違っていたので最初から最後まで違和感があった。確かに、実力以上の目標を持って“もっとできるはずなのに…”とストレス溜めるより“俺の実力こんなもん”とストレスフリーで背伸びして頑張らないと言う考え方もあるんだろうけど。やっぱり、僕は上を見ていたいな。