どうすれば愛しあえるの: 幸せな性愛のヒント

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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584137734

作品紹介・あらすじ

性愛の享楽は社会の正義と両立しない———宮台
「良い変態」は社会の抜け道である———二村

社会が良くなっても
性的に幸せになれるわけではない。
むしろその逆が起きている。
男も女も満たされた人生に必要な知恵とは

(〈目次〉より一部抜粋)

まえがき あなたなら愛しあえる 二村ヒトシ

第1章 ほんとうの性愛の話をしよう
「母への恨み」と〈心の穴〉 
女性が「うっすら病んでいる」世の中 
男の〈インチキ自己肯定〉 
男にもある「女性性」 
男の名刺はペニスと同じ 
なぜ男は素直にヨガれないのか 
「変性意識状態」とは何か 
「自分探し」より「自分なくし」 
女は潮吹きよりハグが好き 
AVの蛸壺化と勘違い男 

第2章 なぜ日本人の性愛は劣化したのか
「セックスレスの増加」と「精子の減少」 
「年の差恋愛」をする女性 
女が男を見極める3つの基準 
なぜ若い人はセックスが下手なのか 
メンヘラ女性とのセックス 
アラサー以下の女性がメンヘラ化する理由 
性愛は自己承認のツールなのか 
〈家族の劣化〉による〈感情の劣化〉 
女性の性的ポテンシャリティ 
なぜヒトラーはモテたのか 
セックスはビフォア・アンド・アフター 
「激しいセックスが好き」の意味
〈祭りのセックス〉から〈愛のセックス〉へ 

第3章 性の享楽と社会は両立しないのか 
性愛における決定的な男女の差 
男の感情的劣化に対応する女 
中動態の女と能動態の男の断絶 
フェミニストvsオタク男子 
「マッドマックス」と怒れるフェミニスト 
社会が良くなっても性愛で幸せにはならない 
「社会の物差し」対「性愛の物差し」 
性愛でヒトはバンパイヤに「戻る」 
性愛を自覚的に損得から隔離せよ 
「恋愛結婚」の誕生と帰結 
あらゆる一目惚れは間違いである
「わいせつ」と〈なりすまし〉
昔の娼婦とAV女優の違い 
「AV業界の社会化」が問題に 
「損得」よりも「正しさと愛」だ 

第4章 「性愛不全」から脱却する方法 
エロい男は希少資源 
メンヘラとヤリチンの共通点 
専業主婦廃止論で言いたかったこと 
相手の性愛願望にいかに応えるか 
倒錯者というポジションをとろう 
「良い変態」は社会の抜け道である 
「委ね」「明け渡し」とヒモの資格 
男と女はリバーシブルの関係に 
女は詐欺師だから男よりも自由 
「変性意識状態」を目指す 
人間の性的エネルギーとAI 
性教育とスクールカースト

感想・レビュー・書評

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  • 対談をまとめたからなのか、読みにくいところもあるが、結構腑に落ちたりする文もあって、なんとか読み終えた。相手の幸せを望むことが大事。

  • 宮台真司の本を買う人は、ぼくも含めて、お金を払って説教を聴きたいタイプの人だろう。マゾヒスティックな修行僧というか。宮台さんの言うことは確かかもしれない、だから我々はもっと己を高めていかなければいけないのかもしれない、と言う風に。世の中の「感情の劣化」がいかに嘆かわしく、それをどうにかするためには我々が自分をどのように改造していけばいいのか、かなりの理屈密度で論が展開されている。

    ためになるところは沢山あったけど、モテるためには「自分探し」じゃなくて「自分なくし」「世界探し」をするべし、という所が基本的だけど特にためになった。自分の心に余裕がなくなるほど「自分探し」に走ってしまいがちである。

    宮台さんは、ある年齢まで自分が母親に復讐している事を自覚できなかったらしい。ぼくも、ある時に心療内科で母親に関するトラウマを認知して以来、母親の影は相対化していたつもりだったけど、その後、自分が一方的に母親視していた女性にひどい振られ方をして、どうやらまた新規に「母親」への復讐心が立ち上げられていたようだ。こういうことは何かきっかけが無いと自覚しにくい。ぼくの場合、その「母親」が弱点にしていた部分を他の女性にも見出そうとして、なにか空しい足掻きをしていたようなところがある。そのあたりにぼくのキモチワルさもきっとあっただろう。

    宮台さんも二村さんも、本書のなかで「自分も昔こうだった」というような精神的恥部を結構積極的に披瀝している。固く強張った心を解きほぐすには、自分の精神的恥部を客観視して相対化する、というプロセスが問題解決の頻出パターンのようだ。無意識を意識に吸い上げる。基本的にはフロイトのいってることだ。

  • 感情が劣化した当方に、この本はグサリと刺さった。

    心の穴を埋めるように恋人、パートナーを扱ってはいないか?自分の気持ちはオートマタ的な損得に基づいて発露されていないだろうか?

    一度通読しただけでは咀嚼し切ることはできない、性愛と社会の諸問題。

    自分自身がそんな「クソ社会」の一員であることを自認した上で読むと、より興味深い示唆を与えてくれる。

    本著は年齢や性別を跨いで、性愛で悩む多くの現代人のガイドブックになりうる。
    そしてこの一冊が個人、社会にとって要らなくなる。
    そうなれば著者のお二人、私にとって御の字だろう。

  • さすがは社会学者の著書でした。表紙の愛らしいイラストからは想像できないくらいにちょっとヘビー。笑
    難しい言葉が沢山並んでいて、とてもすべてを理解するには及びませんでしたが、非常におもしろく読ませていただきました。

    小生、普段はこういった本を手に取ることが少ないため、性産業に従事されている方々が、こんなにも真剣に人間の性に向き合い思索していることに率直に感動を覚えました。


    自分の無知と無教養を晒す覚悟で申しますと、「セックスは、欲を抑えきれない動物がそれぞれの性欲を処理すべくとる刹那的な手段」だと思っていました。とんでもなかった。もっと奥が深かった。(謝罪)


    最後の方の章で書かれていた言葉が特に印象的でした。

    「セックスの醍醐味とは、眩暈である。つまり、忘我。
    ハイデガーの言葉で言えばエク・スタシス(脱自)。(以下略)(人は)リアルというクソから逃避すべく性交する。」


    なるほど。わたしはセックスをしたことがなかったのか…。

  • 一冊の本に、こんなに傍線を引いたのは何年ぶりだろう、ほとんど緑線なのも。

     主張は要するに「野良男と賢し女構造の」野良男、つまりバイオレーターになるしか、人生を、仲間を、社会豊かにする方法はないぞ。という、何千年も続く神話の繰り返しだったが、耳通りの良い言葉で、なんというかリフレッシュされる。

     ぼくは、丙午のへそ世代だけど、工学部大学時代マン研の先輩の何割かは性経験があり、僕らは片思いの経験があり、後輩はそれすらゼロだったのを思い出す。そこに断層があった。恋愛至上主義世代の最後の尻尾だ。

     よく考えると、恋愛至上主義の解体はバブルの終焉よりも速かったように思う。

     今より昔の方が、昔の女のほうが開放されていた。こんな事実も忘れてしまっていたことにショックを受ける。多分2006年のハルヒのころには気づいてたんだが。

     少し前なら「全ての若者が読むべき」と言ってたと思うが。もう望みがない。
    この本は「恋愛工学」偏差値が80を超える人のもので、残りの99%の人には困難すぎるとしか思えない。むしろ炎上的な感情反射の棒で叩かれるだけだろうと思う。社会の閉塞にしか寄与しないだろう。すでに持ってる人にだけ届くだけだ。格差拡大。


     sexというものが「病院でスポイトで種付けされるのが標準で、チンポをマンコに入れるのは異常!」
    という社会まで、あと10年もかからないという印象しかモテなかった。生命の始まりも終わりも病院でないのは銀行が許さない社会。

    「LGBTのみがリーガルな社会になりつつある」とは、よく言ってくれたの感

  • テーマからもう少し軽い感じかなと思いきや、想像以上に社会学の講義になっている。
    男は経済的な豊かさがないと結婚の決断が出来ず、女性は経済的に豊かになると結婚を望まなくなると、色々な意味で結婚は金なんだと、改めて感じる。

  • 読了。難しい恋愛哲学の本であった。でもわかった。この本は本物である。

  • 二村さんの「あなたがモテないのは、自分について多面的に考えていないから」に納得。宮台さんの、好みからかけ離れた相手を好きになることが恋に落ちるってことというのも心に残った。

  • 損得勘定の意識が強くなっていた自分に改めて社会生活をする上でもっと重要な事を気づかせてくれた本。

    性愛時にフェチ系という自分の趣向のみを追求する人とダイブ系という相手と一緒にトランス状態(変性意識)になる人がいるが、前者は相手は代替可能なので長続きはせず、後者は相手は代替不可能でいつ迄も幸せな性愛生活を送る事ができる。

    日本の若者の性的退化が言われて久しいが、その原因としては体育会的なホモソーシャリティ文化が失われた事が原因と著者は分析する。周りから強制・サポートする人が居なくなったから、若者の性に対する意識は退化してしまったのだ。

    社会が良くなれば性愛的に幸せになれるかと言うと全くそのような事はなく、なぜなら人間の感情は不条理であるからだ。性愛は自覚的に損得から隔離する必要があり、社会の法外の営みとする事で日常社会での幸せな生活を維持する事ができると著者は考え、バンパイヤ的な生き方を進めている。

  • 多分もう読まない

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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