M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584131848

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  • ・株式市場では一般に、1つの事業を行う会社:「ピュアプレイ(pure play)」の方が好まれ、複数の事業を行う会社は、価値が低く評価される傾向にある(コングロマリット・ディスカウント)
    ・TOB(Takeover bid / tender offer):株式公開買い付け
    ?相手方と友好的に話が進められそうな時には、相手方の経営陣と条件を交渉する。
    ?交渉が暗礁に乗り上げそうな場合には、相手企業の取締役会に働きかける(ベア・ハッグ:相手企業の取締役会に対して正式な買収提案を行う)。
    ?相手企業の株主に対して直接働きかけて株式を買い集める(TOB)
    ・「ストラティージック・バイヤー」(戦略的買収者):相手企業の事業を自分たちの事業に統合することで、より高い企業価値の創造を目指す。(シナジー効果)
    ・「ファイナンシャル・バイヤー」(財務的リターンを目的とする買収者):ターゲット企業が非効率な経営をしていることに目をつけ、経営を変えることで企業価値を高め、買った値段以上の株価にして、リターンを得ることを目的とする。
    ・「買収カレンシー」
    会社を買収する際には、その対価を?現金で払う方法と?買収者の株式で払う方法がある。
    ・NPV Coverage Ratio
    プロジェクトから毎年上がるキャッシュ・フローのうちローンの元利払いに充当可能なキャッシュ・フローを現在価値に割戻し、その合計値がローンの金額の何倍になっているかを見る。NPV Coverage Ratioが1.0を切る場合にはプロジェクトのキャッシュ・フローでローンを返済することはできず、このようなプロジェクトに対して、銀行は融資を行うことはできない。
    ・Annual Debt Service Coverage Ratio
    プロジェクトから毎年上がるキャッシュ・フローのうちローンの元利払いに充当可能な各年ごとのキャッシュ・フローが各年ごとに必要とされるローンの元利払い金額の何倍になっているかを見る。たとえ1年でも1.0を切ることがあれば、そのときにローンの元利払いが滞る。NPV Coverage Ratioの数値がよくても、1年でもAnnual Debt Service Ratioが1.0を切る年が予想されれば、プロジェクトに対する融資は難しくなる。

  • 韓国鉄鋼メーカー ポスコが M&Aの標的になるか?
    興味ふかい。

  • 会社法が施行されるときに三角合併が話題になり日本企業が外資企業に乗っ取られるという大騒ぎがあったことはもう忘れ去られようとしています、あれは一体何だったのでしょうか。

    あの騒ぎから凡そ5年が過ぎようとしていますが、幸か不幸か日本企業は外資企業に乗っ取られた例はなかったようですが、日本以外の世界では大型合併があらゆる業界で行わてきたようです。

    自動車業界のように失敗に終わったものもありますが、製薬業界・石油業界・鉄鋼業界・化学業界等、巨大企業が次々に誕生しているような感じがします。

    この本では、日本企業が将来成長するためにはどうあるべきか、日本ではどのような形でM&Aが進むのかが解説されていて、化学業界に身をおく私にとっても興味のある内容でした。

    特に、あれだけ騒がれた三角合併が日本では置き無かった理由が解説されていた点(p103)は興味が持てました。また、今回の金融危機により投資銀行はなくなったと解釈していましたが、投資業務は規制はあるものの存続している、また中堅銀行は今まで通り存続していること(p169)を知り、いずれ同じ現象が起きる可能性もあると感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本の上位10社を除けば、残りの会社は全て海外の民間投資ファンドによって買収することが可能(p40)

    ・本業以外に手を出して破綻した企業の代表格はGM,1984年にコンピュータソフト(EDS社)、航空宇宙産業(ヒューズ)を購入していた(p46)

    ・GMはシボレー、キャデラック、ビュイック、GMCは残ったが、オペル、サーブ、ポンティアック、ハマー、サターンは売却、清算された(p47)

    ・ファンドや買収者が株主提案をすることが増えてきている、中部電力、電源開発、江崎グリコ、ブラザー工業、ノーリツ、フクダ電子等(p69)

    ・任天堂が買収されない理由として、1)現金を持つ合理的理由を理解している、2)今の経営陣はベストな布陣であると理解されている、が考えられる(p69)

    ・任天堂の役員報酬はマイクロソフトの6億円を比較して8000万円程度であり高くない、任天堂のゲームクリエータにとって仕事に熱中できることがポイント(p77)

    ・三角合併とは、海外の買収者が日本企業を買収する際に、その代金を現金でなく自分の株式で払うということ、その際にはその海外企業の日本法人も絡むことになるので当事者が3者となり、三角合併と呼ばれる(p100)

    ・三角合併が日本であまり起こらなかった理由として、貴重な自社株を交付することに躊躇する、買収した親会社の株式を交付された株主達は持ち続けてくれるか等の心配がある、1株あたりの収益(EPS)が低いため(p103、155)

    ・敵対的買収とは、株式を買われる会社の「経営陣を敵に回して」行われる買収のことで、買収される株主や従業員については必ずしもそうとは限らない(p114)

    ・株式評価の際に重要なのは、これまで会社があげた利益よりも、これからあげると予想される利益が重要であるため、赤字の東芝の株価が黒字の日立よりも高くなるという現象がおきる(p142)

    ・金融危機により5大投資銀行は投資銀行をやめたわけではなく、商業銀行と同じ土俵で投資銀行業務(資本勘定の12.5倍:自己資本率8%)を行うことが要請されるようになった、また老舗のラザード(中堅投資銀行)は今まで通り存続(p169)

    ・ベアリング商会は、合衆国の国債を引き受けてアメリカ政府に融資することで、アメリカは1803年に仏領ルイジアナ(ミシシッピ川ほぼ全流域、15州210万平方キロ、現在アメリカの4分の1)を買収できた(p183)

    ・原子力発電業務において、東芝はウェスティングハウスを買収(2006年10月、4200億円)ので、三菱アレバ、日立GEと比較して有利な立場にいる(p199)

    ・9つあった百貨店は、三越・伊勢丹、阪急・阪神・高島屋(エイチツーオーリテイリング)、大丸・松坂屋(Jフロントリテイリング)、そごう・西武・セブン(ミレニアムリテイリング)の4つに集約された(p201)

    ・キリン、サントリーの合併は、世界の食品・飲料業界で見れば、ネッスルやコカコーラの4分の1程度(時価総額:2.5兆円)であり、生き残りの必然の組み合わせ(p217)

    ・買収されたアルセロール(欧州鉄鋼会社)は、8つの投資銀行をつかって、買収防衛戦を繰り広げた、ミタル側はゴールドマン・サックス等の5行を用いた(p233)

  • はじめに
     
     キリンとサントリーの合併は「勝ち組同士の合併」などという甘いものではない。キリンにしてもサントリーにしても、グローバル・マーケットを生き残るために手を組まざるを得なかった。私の目にはこう映ったのだ。p6


    第1章 赤いハゲタカはトヨタを買収するか

     国家ファンド:
      政府が運用するファンドのことで、国富ファンド、あるいはSWF(Sovereign Wealth Fund)とも言われる。オイルマネーや外貨準備などの国家資金を海外に投資する基金のことだ。
      産油国や進行輸出国などが現在得ているオイルマネーや外貨準備は、未来永劫に続くとは限らない。原油枯渇などの事態も想定される。そこで、これらの国の中には、将来に備えて、現在保有している資金を投資に回し、将来に向けて増やすことを目的として、ファンドを設立するところが出てきたのだ。p28
      
     これら国家ファンドは日本の代表的企業(トヨタなど)に対して買収を仕掛けてくるのだろうか?「その可能性は否定できないものの、現時点では考えにくい」というのが正解だろう。なぜなら、国家ファンドの投資スタイルは、基本的に分散投資だからだ。p30

     コスモ石油のアブダビ国際石油投資会社(IPIC)からの出資受け入れ(21%)は、同社がアブダビに持つ権益の起源が2012年に到来することと密接に関連している。アブダビとの親密な関係を築いていくことが権益契約更改の交渉上、重要になるということだ。p34

     株式市場では、一つの事業を行う会社、いわゆる「ピュアプレイ」のほうが好まれ、複数の事業を行う会社は価値が低く評価される傾向にある(コングロマリット・ディスカウント)。p46

     トヨタには一代一業という考え方があるという。ファミリーの一代で、一つの別の事業を興すという家訓だ。
     豊田佐吉が自動織機を発明し、佐吉の長男の喜一郎がトヨタ自動車を創業した。喜一郎の長男の章一郎は、さまざまな仕事を経て、コンクリート製プレハブメーカーに入った。章一郎は喜一郎の急逝に伴い、トヨタ自動車の取締役になるのだが、住宅事業に対する思い入れは強いという。p50
     以下に一代一業とはいえ、いつまで経っても独り立ちできない事業を自社内に留めておいては経営が拡散してしまう。かつては、豊田自動織機の内部に自動車部が設置された後(1933年)、トヨタ自動車が上場するまでには(1949年)、16年を要した。トヨタホームの全身である住宅事業部が、トヨタ自動車内に設置されたのが1975年。以降34年を経過しても、トヨタホームはトヨタ自動車の100%子会社のままだ。
     いつまでも親の庇護の下に子どもを置き、甘えさせても、ろくなことはない。p52


    第2章 なぜマイクロソフトは任天堂を買収しないのか

     任天堂の価値の源泉は、世界をアッと言わせるようなゲーム機やゲームソフトを作り出す「人材」だ。M&Aで会社を買収する際、買収の狙いは相手の企業の価値を生み出す源泉となるものである。金にモノをいわせて買収しても人材が流出しては元も子もない。p75

     宮本専務。彼の持つ任天堂の株式は100株。金額にして230万円程度だ。おそらく彼にとって、そういったことはあまり重要でないようだ。p77


    第3章 M&Aを成功に導くポイント

     なぜNTTドコモのマイナー出資は意味をなさないのか。資本の力を持って、技術を強引に広めようとする戦略自体が根本的に間違っている。その技術が本当に良い技術であれば、国境を越え、資本グループの枠を超えて、世界で採用されていくからだ。たとえは悪いが、ドコモがやろうとしたことは、自分に自信のない女性が持参金をちらつかせながら相手に結婚を迫ったようなものだ。p131

     20%程度の出資を行い、取締役一人を役員会に送り込んだとしても、その取締役がよほどの卓越した経営力とリーダーシップの持ち主でもない限り、役員会の意思決定は多数決で行われてしまう。20%の「武器」しか持たせないで、「後は任せる」といって、戦場に送り出される兵士(ドコモから派遣される役員)は、討ち死にする可能性が高い。p134


    第4章 買収を陰で演じた投資銀行はどうなったか

     投資銀行は「投資もしない」し「銀行でもない」。投資銀行は、企業や国家が資金を調達するに際して「アドバイザーとして助言を提供」する。さらには、企業買収や合併(M&A)のアドバイスにもあたる。p170
     企業や国に対して社債や国際、あるいは株式を発行するよう助言した後、投資銀行はこれを「引き受ける」(一括して買い取る)ことにより、実際の資金調達に協力するのだ。p171

     M&Aのアドバイスを行ったり、トレーディングに従事している投資銀行のプロフェッショナルたちの中には、年間を通じて、年収の数倍、若しくは数十倍・数百倍の利益を稼ぎ出しているものも多い。競合他社にしてみれば、彼らプロたちが現在得ている年収の2倍を支払ったとしても、採算に合うと計算できれば、2倍の年収をオファーして、ヘッドハントを仕掛けてくる。この結果、彼らの年収が高くなってしまうのだ。
     「儲かったときには自分たちの年収が上がる。一方、損をしたときには、自分たちが損失分を負担するわけではなく、最大のリスクとして会社が倒産するだけである」という「非対称性の問題」も指摘されている。p181

     大雑把に言うと、100億円の買収・売却取引で取引額の1~2%が成功報酬手数料となる。p194

     投資銀行を辞めた後のキャリア:
      一番多いのは投資ファンドへの転職。仲間とファンドを立ち上げるものも多い。
      コンサルタント会社に移る者、ベンチャー企業の経営を任せられた者もいる。中には、会社を買収してオーナー兼経営者になった者もいる。「もう働く必要はない」と、NPO等で社会貢献している者も多い。p196


    第5章 新世紀のM&Aとはどういうものか

     今や、百貨店は他の百貨店と競争しているのではない。婦人服では、H&Mやしまむら。紳士服では、AOKIや青山。家電では、ヤマダ電機。家具では、ニトリ。p202

     時価総額(2009年10月):
      ユニクロ 1.4兆円 / 百貨店7社合計 0.9兆円   p203

     一人当たりのビール消費量(2007年):
      チェコ(140L)、アイルランド、ドイツ、・・・、アメリカ(15位)、・・・、日本(50L、38位)

     タバコは軽くて定型サイズだ。このため、国境を越えて流通しやすい。さらに日本国内のタバコ消費量は少子化と健康志向によって縮小傾向にある(国内タバコ総需要 (1996年度)3483億本 → (2008年度)2458億本)p222

     ミタルによるアルセロール買収を目にした新日鐵の三村社長のコメント:
      「どれほどの大企業であっても、一旦買収者のターゲットになり、その渦中に巻き込まれると、産業資本ではなく、金融資本のロジックによって怒涛のような荒波に呑み込まれてしまうということを我々は体験した」国家をもってしても、M&Aは防げない。p241

     重要な点は、新日鐵はまだまだ時価総額を大きくできるということだ。キリンがサントリーとの統合を決意したように、新日鐵は住友金属や神戸製鋼との統合を考えてもいい。それでもまだ、国内の競争相手としてJFEが存在するから、キリンなどのビール業界に比べて独禁法の壁が特段高いともいえまい。
     また、新日鐵は、2006年11月から機会があるごとに、ブラジル・ウジミナス製鉄に対する出資比率を拡大してきたが、このように海外の製鉄所を参加に治めることにより時価総額を拡大していくことも可能だ。p244

     インドの田舎町で牛小屋のような土壁作りの家屋に生まれ、インドネシアへ飛び出していってスクラップ製鉄工場を始めたミタル。その彼が、一代で、世界一の鉄鋼王になることができたというのが、グローバル資本主義の醍醐味である。ミタル氏こそは、ある意味で、戦後の日本そのものではないか。私には、そう思えてきたのである。p252

  • スラスラ読めるM&A関連の書籍。

    事前知識がない人が興味本位で読むのには最適だが、M&Aに関してある程度の知識がある人が読むのには物足りなく感じられると思われる。

  • 日本企業は同一産業内にプレイヤーが多数存在するため、国内予選で消耗戦をしてしまっている。
    一方で韓国等では、同一産業内にプレイヤーも少なく、国内予選なしで、最初からグローバル市場に向けて大胆で迅速な投資戦略を実行している。

    買収防衛の為に国内企業同士で株式の持ち合いをするのではなく、積極的にM&Aを仕掛けて、海外でも日本企業の存在感をアピールすべき。
    攻撃は最大の防御。


    以下メモ

    株式市場では、一つの事業を行う会社(いわゆるピュアプレイ)が好まれ、複数の事業を行う会社は価値が低く評価される傾向がある(コングロマリット・ディスカウント)

    国家ファンドとは、政府が運用するファンドのことで、国富ファンド、SWFとも言われる。産油国や新興輸出国などが現在得ているオイルマネーや外貨準備などは、原油枯渇などの可能性もあり、未来永劫に続くとは限らない。そこでこれらの国の中には、将来に備えるため、現在保有している資金を投資に回し、将来に向けて増やすことを目的として、ファンドを設立するところが出てきている。

    国家ファンドは原資となる公的資金の性格により2つに大別される。
    ・石油などの国有天然資源から得られる利益を原資とする商品系ファンド(アブダビ投資庁など)
    ・中央銀行の外貨準備高や財政余剰を原資とする非商品系ファンド(シンガポール政府投資会社など)

    キャッシュをたくさん抱えている会社は買収のターゲットになりやすい。

    株主としては、企業が持つ現預金は必要最小限に留め、余った金は投資に回して事業を拡大して収益を生み出すのに使うか、あるいは投資先が見当たらなければ、株主に戻してもらうことを期待している。

    現在東証に上場されている会社は約2300社。ジャスダック約900社。それらすべての会社が、その会社に最も適している経営者を有しているはずはない。駄目な経営者が既得権に安住して居座る、あるいは経営者による公私混同の放漫経営が横行する。こうした場合に
    自浄作用が働けば良いが、実際には取締役は社長に指名された人で構成されているため、自浄作用が働きにくい。こうした場合、誰かがリスクを取って、より良い経営者を送り込まなければ、株主や従業員は浮かばれない。

  • 投資銀行でM&Aアドバイザーをしていた著者が最近のM&Aの動向について考察。

    世界で起きているM&Aと日本での認識の温度差について語る。
    日本のニュースや雑誌で流れる情報だけに目を通しているだけでは本質を見失ってしまう可能性があることを感じた。

    やはり自分の頭で考えることをしないと的外れなことを行ってしまいかねない。

    会社が大きくなるには時間をかけてコツコツと利益をあげるだけでなくM&Aによって大きくスピードアップして成長できることがよく分かる。
    インドの製鉄企業ミタルは約30年前にインドの牛小屋からはじまったスクラップ工場だったが、今や世界1の製鉄企業だ。
    これもM&Aなしでは成し遂げられなかった。

    M&Aの流れを理解するのと同時に、どのようにM&Aを実行していくのか、また経営者は敵対的買収をどのように回避していくんべきなのかなど知らなくてはならないことは多い。

    最近のM&Aトレンドを理解するのに適していると思います。

  • 読みやすいがゆえに週刊誌的。

  • ・買収ファンド
     国家ファンド: 分散投資、資金規模は大
     私的ファンド: バイアウトもあり得る、資金規模は国家に劣る
    ・トヨタの買収
     トヨタは多角化されており、コングロマリットディスカウントが
     効いている。
     したがって、買収すると、EPSが下がる等のデメリット

    ・買収相手の選定方法
     戦略的M&A 
     積極的: 他社のノウハウ、販売網、人材、技術etcが欲しい
          ex)JTとRJRインターナショナル
     消極的: 過当競争などの果てに否応がなしに合併
          ex) 百貨店、キリンサントリー?
          キリンサントリーは、
          1、圧倒的に大規模な海外の競合他社に飲み込まれないため。
          2、海外市場でそれら競合と伍していくために否応がなしに迫られた選択肢と解釈できる。

     財務的M&A
     買収後、インカムゲイン、キャピタルゲインを通じて利益を
     得ることを目的とするM&A
     余剰資金が多い。ex)ブルドックソース、
     財務的改善の余地が大きい。ex)本業以外にも手を出すアデランス

    ・良いM&A、悪いM&A
    -本業に関連するものか否か。
     選択と集中は企業の基本戦略であり、手を広げ過ぎるとコングロマリットディスカウントが発生する。
    -マイナー投資の意味はない。
     マイナー投資を行うと少数株主の意向も考慮しなければならなくなり、あまり上手くいかない。
    -三角合併について
     海外の企業にとって株式は大切なもの
     EPSが下がったり、株式交換後大量に売りに出される等の事態は
    避けたい。

    ・今後のM&A
     -百貨店
      市場縮小の中で生き残りのための消極的M&A
      しかし、それよりも業態の改善などが望まれる。
      ex)顧客重視の店舗
     -ビール
      海外勢は大規模化し、キリンやサントリーは今後、そうした企業と争っていく必要がある。
      そうした中で、飲み込まれることなく、互角に戦っていくためには、規模の拡大が必要。
     -タバコ
      JTは現在、世界第四位。適切なタイミングで海外企業を買収 し、海外でのプレゼンスを高めた結果であると評価できる。
     -鉄鋼
      アルセロール・ミタルが圧倒的な世界1位
      それに対して、新日鉄は消極的な買収防衛策(持ち合いなど)
    本当に防衛するならば、株価を高価格に維持する、M&Aなどを  通じて大規模な組織になるなど、積極的防衛が望まれる。

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著者プロフィール

1953年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、日本興業銀行へ入行。スタンフォード大学経営大学院で経営学修士(MBA)を取得。J・P・モルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズの各投資銀行でのマネージング・ダイレクターを経て、経営コンサルタント会社「インフィニティ」を設立。著書に、『投資銀行』(PHP研究所)『気弱な人が成功する株式投資』(祥伝社新書)『残酷な20年の世界を見据えて働くということ』など。日経CNBCテレビでコメンテーターを務める。

「2016年 『不透明な10年後を見据えて、それでも投資する人が手に入れるもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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