ナポレオンと東條英機 理系博士が整理する真・近現代史 (ベスト新書)
- ベストセラーズ (2016年3月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584125014
作品紹介・あらすじ
"片や英雄""片やA級戦犯"と、両極の評価をされているナポレオンと東條英機だが、果たしてそれは正しい歴史の見方だろうか…?工学博士が歴史を一つの事象として、冷静な目で検証する、異色の歴史書。
感想・レビュー・書評
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光の当て方によって物事は見え方が変わる。人もそうである。東條英機を単なる悪の権化のように教える日本の近現代史教育は絶対に間違っている。この本を一人でも多くの方に読んでいただき、人物像を再解釈してほしい。
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ナポレオンと東条英機 理系博士が整理する真・近現代史。武田邦彦先生の著書。歴史の専門家や研究者は文系出身の人が多くて、歴史関連の本も文系出身の先生方が書いていることが多い。武田邦彦先生の著書。確かに理系博士の武田邦彦先生が書かれた本書は理路整然とわかりやすく整理されていて、とても読みやすくてわかりやすかったです。歴史の授業や歴史の先生があまり好きでなかった私にとっては、理系博士が歴史を整理して解説するとこうも楽しいものなのかと驚きました。ただ、大東亜戦争の歴史的意義や社会的意義に対する主張や解説は極端な印象を受けました。
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歴史が好きですが、最近の面白い傾向としては、歴史学者・歴史を専門とする人以外の方が、歴史上の事件や人物について解説している本がでています。
この本もその一つですが、筆者は最低でも20年間は理系に関する本でお世話になってきた、武田邦彦氏ですが、恐らく歴史に関する本を書いたのは初めてではないでしょうか。
この本では、世間一般には、ヒーローとされている「ナポレオン」と、あまり良い評価を受けていない「東条英機」を中心題材として、彼らが過ごした近・現代史について解説されています。理系の方からの、歴史学者とは異なった視点で見られた歴史も面白いものです。今後も続編が出てくることを期待しています。
以下は気になったポイントです。
・大東亜戦争のシンガポール攻略戦において、アジア解放を目指す日本軍と対決したインド兵は、疑問に思ったはず。この意識がインド独立臨時政府の礎となった(p23)
・日露戦争でロシア、第一次世界大戦でドイツ、大東亜戦争緒戦のフィリピンでアメリカ、シンガポールでイギリス、インドネシアでオランダを駆逐し、ほぼすべての白人主要国に勝利した(p24)
・イギリスとフランスはドーバー海峡を隔てているがその距離は34キロ(本州と北海道)、日本と朝鮮は対馬海峡を隔てて200キロ、その差が、両社のいざこざ(戦争)が少ない理由(p41)
・ハプスブルク家とブルボン家は異なる家だが、頻繁に王族同士が結婚していたので親戚関係にある、ナポレオンは皇帝になり王族と結婚したので、処刑を免れている(p45)
・フランス革命当時には、人間は4つに分かれていた。高貴な人間(王族、貴族)、完全な人間(白人+男性+成人+社会的義務果たす)、不完全な人間(女性、有色人種)、人間ではない人間(奴隷)、フランス革命の人権宣言における平等とは、成人の白人男性に限定(p49)
・現代の日本では、年収1000万円の富裕層は4%、富裕層の平均所得は1500万円、それ以外の平均所得は360万円、格差は4倍程度。フランス革命当時は33倍であった(p51)
・アメリカ人の起こしたベトナム戦争、ソ連とアメリカのアフガニスタン戦争、イラク戦争、米英仏ロが空爆しているシリア紛争は、第四次のアーリア人の進出として今後の歴史では整理されるだろう、第三次は大航海時代(p73)
・19世紀の終わり、世界は、スペイン・ポルトガル・オランダ・イギリス・フランス・ドイツ・ロシア・アメリカの8か国でほとんど全ての国が支配されていた。支配されなかったのは、エチオピア(風土病が酷かった)・タイ・支那・日本の4か国のみ(p76)
・イギリスからインドから香料を輸入してその代金をポンドで支払った、インド人は大半をロンドンの銀行に預けた。300年経過してポンドの価値を10分の1に切り下げる、そして貯金の価値を10分の1にした、ただ同然で働かせた(p108)
・中国の遼東半島は、当時の中華民国の支配地域ではなかったので、占領ではない(p155)
・日本と満州国の関係では、植民地を直接統治していた人たちが、満州を植民地にしなかった日本を裁いたということになる(p159)
・日本は戦争をやっている最中に、「歴史上はじめての有色人種の国際会議」を行ったこと、会議の前に、ビルマ・フィリピンを独立させたことはたいしたこと(p224)
・日本は、東南アジアの国と戦ったのではなく、植民地を治めていた、イギリス、オランダと戦った(p251)
2016年11月23日作成 -
帯表
「ナポレオンより、東條英機のほうが平等の精神を持っていたのです-」
"教科書"には載っていないホントの歴史。
見返し
理系博士が語る、真実の「近現代史」!!
まえがき ~東條英機を正しく教えない歴史教科書
序章【冷静な歴史の見方】
過大評価のナポレオン、過小評価の東條英機
第1章【フランス革命とナポレオン】
差別が横行していた、暗黒時代の中世ヨーロッパ
第2章【日本の特殊性】
なぜ日本だけが白人支配から免れたのか?
第3章【白人の秩序への挑戦】
白人優位を打ち破った「日露戦争」
第4章【人種差別との戦い】
「第一次世界大戦」と「人種差別撤廃」への日本の努力
第5章【大東亜戦争の真相】
戦争を仕掛けたのは日本ではなくアメリカである
第6章【大東亜会議の意義】
世界の植民地を解放した、東條英機の偉業
あとがき ~論理的で誠実な歴史観を! -
歴史誇張することなく、客観的に分析した本。
繰り返し読んでいます。
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ナポレオン セーヌ川河畔 アンヴァリッド
東條英機 三ヶ根山 殉国七士廟
先入観 先に頭に入ったものを正しいと思う、自分が有利になるものを正しいものと思う、正しいことを正しいと思うのではなく、納得できることを正しいと思う。 -
武田邦彦による東条論。大東亜会議の存在も知っていたし、東京裁判が勝者による敗者イジメであったことも知っているつもり。しかし東条英機ってそんなに英雄なのかなあ~石原完爾の方が器が大きいと思うのだが。。。。。
東京裁判のA級戦犯の墓が愛知県にあることは知らなかった。東条英機はともかく広田弘毅(福岡県出身)の遺徳を偲ぶためにも一度そのA級戦犯の墓に参ってみたいものだと思った。 -
この本の言い分が正しいかどうかは別にして戦争観が変わった。
確かにこの時点で植民地解放を要求した国が、植民地をもっていることについては違和感を持たざるを得ない。