逆説の政治哲学 (ベスト新書 334)

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  • ベストセラーズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584123348

作品紹介・あらすじ

「正義を実現しようとする人は、無自覚のうちに『ファシズムの罠』に絡め取られてしまう-」先人たちの思想がもたらした光と影。

感想・レビュー・書評

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  • 政治哲学の本です。左右偏りなくバランスあり、まとまりが良い編成になっているので読みやすいです。

  • 正義を実現しようとする人は、無自覚のうちに『ファシズムの罠』に絡め取られてしまう―

  • 著者がいろんな政治思想を教えてくれます。テーマごとに別れてて、まとまりがあるし、説明もわかりやすい。ファシズムって具体的になんなのかとか、今にも通じる古典とか、勉強になった。あと著者の優しさを感じます。

  •  テーマごとに政治学・政治哲学に関する古今の名著のフレーズを紹介しつつ、著者が解説とコメントを付した本。一節が短く、コラムのようで読みやすい。これは著者が体系的な説明をすることを敢えて避けたから。体系的な説明をしてしまうと、却って見方が固定されてしまうことをおそれてのことだという。結果的に、トピックごとに気楽に読める体裁になっている。
     が、扱っているテーマは「政治とは何か」「保守と革新」「民主主義の問題点」「全体主義の本当の怖さ」「正義が狂気に変わるとき」「本当の正しさとは何か」と一筋縄ではいかないものばかりである。
     いずれも読み応え・考え応えがあるが、特に考えさせられたのが「第五章 正義はやがて、狂気に変わる」である。かつて山本夏彦は「あたしゃ正義が嫌いだ。正義は、他人に正義を押しつけておいてなお正しいという顔をしているからだ」という事を言っていたが、人間が自分の正義を確信したとき、正義は内省というブレーキを壊してしまう。残虐な行為というのが往々にして正義の名の下に行われるというのは分かっていたつもりだった。しかし、フランス革命の実態について紹介されていた箇所はさすがにビックリした。国王の横暴と貧困に耐えかねて民衆が蜂起した、くらいにしか理解していなかったが、そもそもバスティーユ牢獄には政治犯はいなかっただとか、暴徒と化した民衆がどれだけ残虐なことをしたかを知り、愕然というより唖然としてしまった。これからはうかつに「フランス革命について知りたければ『ベルばら』読んだら?」と言えなくなったなぁ…(笑)。

     また、各節末には「発展的な読書のために」として紹介される参考文献が充実している。本文中でも言及されている思想家や著作については、思わず読んでみたくなるものばかりである。著者の紹介の仕方の上手さに脱帽である。
     政治哲学の入門書、あるいは政治や民主主義・全体主義などについて知り、考えてみるのにオススメの一冊。

  • 本棚の整理をしておりまして興味高じて再読です。
    保守系はあいも変わらず、実に出世が遅いのだと痛感。
    進む大学機関もそうならざるを得ません。
    いまだにアカデミズムの世界では、左巻き志向が多いので。
    賢いはずの人材が妙な世界にどっぷりと浸かってまあ。
    保守系の育成には時間が必要以上にかかると思います。
    薄っぺらな知識だけではなく、それ以上のことが
    求められているものだから。
    再読して、改めて付け足すことがあります。
    入門者では決して収まらない可能性を持ち併せた「作品」
    であると私は思うております。長生きして大きな知識人
    になってほしいです。大学での出世なんぞ関係ねえと

  • 保守系の人が書いているということで、若干そういう色が着いた文章もあるが、政治哲学の入り口としては非常に出来が良い。
    章や節が短いので読み進めるのに苦が無く、平易な言葉遣いで、高校生くらいでも読める。
    文献紹介も、発展的に知りたい人にはありがたい。
    この人の他の著作のタイトルを見ると、何やら怪しげなのも混じってる気がするが、本書はそこまでイデオロギーを主張するものではなく、むしろそれに固執することの危うさに対して警鐘を鳴らしていると言える。

  • 冒頭の政治科学と政治哲学の区別に始まり、どのページを開いても勉強になる。特に、アイン・ランドに関する記述「自己中心主義者(他人の目を気にしない人)」「利他主義者(他人のために尽くす人)」の区別が参考になった。たしかに良い教師は、例外なく利他主義者だ。彼らは優等生でも劣等生でも変わりなく接するが、それは生徒が、自分が影響力を与えられる(「自分を頼ってくれる卑屈で従順な人」p.215)である限り、である。そして、「自己中心主義」がアメリカ精神の源流なら、彼の地に教育学(授業学)が不毛なのは当然と思う。

  • 保守派の政治学者ということでそういった面を考慮にいれて読む必要はあるかなと思いましたが、さまざまな政治学者の考えの一端に触れるにはうってつけの一冊かなと。どちらかといえば私は革新派に分類されるだろう人なのでんーー?
    となるところがないわけではなかったですが、図書紹介まで繋げてあるあたりはまた読み直したいなと思わせてくれました。ただ古典と言われるようなところも多かったので図書紹介の本も全部読もうとするとかなり時間がかかりそうだなと。

  • 歴史を専攻していた時も避けてきた、政治。

    政治学には、政治哲学と政治科学があること。
    政治科学では切り捨ててしまう、
    個人の価値観の小さな違いが、
    政治では決定的な違いになること。

    哲学とは、世の中で常識とされていることに
    懐疑の目を向けていくこと。

    知っておかねばならぬことが、たくさん。
    知らないと、世の中が見えないと思った。

  • イデオロギー的に相容れない本でした。

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著者プロフィール

昭和58年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院修了。現在、拓殖大学客員研究員。専攻は政治哲学。著書に『だから、改憲するべきである』(彩図社)、『政治とはなにか』(総和社)、『逆説の政治哲学 正義が人を殺すとき』(ベストセラーズ)等がある。

「2015年 『人種差別から読み解く大東亜戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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