象徴天皇の旅: 平成に築かれた国民との絆 (889) (平凡社新書 889)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582858891

感想・レビュー・書評

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  • 象徴天皇のあり方を30年模索し続け、常に国民のそばに寄り添うような存在であり続けた記録。宮内庁担当記者の記録はなかなか珍しいと思うのですが、ただ皇室に張り付いていたわけじゃなくて、両陛下の訪問を逆に政治利用しようとする知事に厳しい質問を投げ掛けたり、王族を敬うことに厳しいタイで王族に粗相をした記者を諌めたり…と結構色々されてるんだなあと理解が深まった一冊でした。ほかの担当記者の取材記録も読んでみたいですね。

  • 令和になって上皇になられた前天皇陛下と
    上皇后になられた前皇后陛下の旅に同行した
    記者目線の記録。
    戦争や災害に苦しんでいる人たちに
    寄り添うことを中心に活動をされてきた
    お二人の真摯さが伝わる。
    政治的な影響があってはならない立場での
    各地への訪問は多くの制約があって
    大変だったと思う。
    スケジュールもタイトで心身ともに
    辛い時もあったのではないだろうか。
    訪問先で迎える人たちが準備に
    時間やお金を使いたい気持ちは
    分からないでもないけど
    それをお二人が望んでいるとは
    思えない。
    現天皇陛下と現皇后陛下も同じような
    環境で訪問を続けるのは
    少し問題だと思う。
    個人的にはその他の皇族の方々に
    より知名度を上げてもらって
    役割を分散させるのが
    良いのではないかと思っている。

  •  宮内庁担当記者が平成天皇の旅を記す。

     今上天皇(平成天皇)は日本の全ての県を二回訪れている。象徴天皇として国民と共にありたいという天皇の意思によるものだ。
     国内だけではない。外国にも数多く訪れている。中国や東南アジアといった日本との間に暗い過去がある国へも行っている。これも天皇自身の意思による部分が大きい。
     本では被災地や離島への旅についてもふれられている。つらい環境にいる国民を勇気づけたいという天皇の意思だ。
     忘れかけられた被災地、重度障害者施設。様々な地や施設は天皇が訪れることによって人々の目にふれられる。
     天皇が自分の意思によって旅先を決めることは時に象徴天皇としての立場を危うくしてしまう面もある。天皇が来るということを政治利用されてしまう危険性もある。皇室の活動を伝える記者の役割は重要だ。

     象徴天皇は憲法で決まった瞬間にできたものではない。昭和天皇と平成天皇が長い時間をかけてつくりあげてきたものなのだ。平成天皇、皇后両陛下の二人がつくりあげた部分もとてつもなく大きい。
     日本は平成という時代を首相に恵まれなかったかもしれない。でも天皇にはこれ以上ない天皇皇后両陛下に恵まれた。後世の歴史はそう評価するはずだ。
     この本を読むまで天皇というものを全く分かっていなかったことを痛感した。平成のうちに一人でも多くの人にこの本を読んでもらいたい。

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著者プロフィール

1961年大阪生まれ。86年日本経済新聞社に入社。東京、大阪の社会部で警視庁、大阪府警、法務省などを担当。現在、編集委員(皇室、近現代史)。元宮内庁長官の「富田メモ」報道で2006年度新聞協会賞を受賞。著書に『非常時とジャーナリズム』(日経プレミアシリーズ)、『天皇と葬儀――日本人の死生観』(新潮選書)、『焦土からの再生――戦災復興はいかに成し得たか』(新潮社)、『熱風の日本史』(日本経済新聞出版社)、『忘れられた島々――「南洋群島」の現代史』(平凡社新書)、『昭和天皇は何と戦っていたのか――「実録」で読む87年の生涯』(小学館)、共著に『「東京裁判」を読む』『「BC級裁判」を読む』(ともに日経ビジネス人文庫)がある。

「2017年 『天皇の戦争宝庫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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