脱 大日本主義:「成熟の時代」の国のかたち (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582858464

感想・レビュー・書評

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  •  トランプ政権初期頃(2017年)に刊行された本書。資本主義に劣後していく民主主義、延いてはグローバリズムの終焉を基に骨子を固めている。そうした中で対米追従一辺倒の日本はアメリカの後押しにより政治大国を目指すべきか、或いは自立できるのかということを問うている(訴えている)。東アジア共同体に関する記述はコロナ禍で中国一強が進んだ現在だからこそ考えるべき問題。途中の自民党政権批判は後出しジャンケンだが中々に的確。
     個人的に面白いと感じたのは筆者の自民党保守派の行動分析だ。例えば外交において中華脅威論や日米同盟の神格化によって軍拡チキンレースが加速している点。経済政策では成長神話を脱却できずに新自由主義路線から脱することが出来ていない点。その他の細かい論点も悉く鳩山の予想通りの展開になってきている。注目すべきは鳩山の先見の明というよりは自民党の変わらなさだ。例えば、戦後直後の外交でも日本の「自立論」を唱える鳩山一郎や河野一郎に対して、「対米追従論」の吉田茂、岸信介がいる。そしてそれらの政治家の子孫がそれぞれ鳩山由紀夫、河野太郎、麻生太郎、そして安倍晋三だ。世代を跨いでも、世界の情勢が変わってもアメリカを巡る外交方針が変わっていないことには驚きを隠せない。そうした日本の保守派の「家訓」とも言うべき対米追従の仕組みがよくわかる本。

  • 脱大日本主義 鳩山友紀夫 平凡社

    政権交代を果たして首相になった鳩山由紀夫こと友紀夫が
    その短かった政権におけるアメリカに管理されながらの
    腐敗しきった傀儡的官僚支配の実態を語るとともに
    政治を離れた視点から今後の日本に対する思いを述べる
    成熟時代にある日本が
    日米合同委員会による米軍の支配とその地位協定を国民に知らせ
    日米政府間の対等な関係へと変更していくことを目指すべきだと言うこと
    米軍に押し付けられたままの3S無知政策を破棄して
    明治依頼の教育システムを作り成し国民を中心とする
    自主的判断による本来の社会を取り戻す必要がある

    敗戦依頼隠されてきた日本の政治の裏と表を見直すに
    モッテコイの入門書となるだろう

  • 先日、デモクラbooks「この本を読め」で紹介されてて興味を持ちました。首相を辞任された頃、自分も御多分に洩れず、ネットやマスコミのバッシングを何の疑問もなく信じていました。今回、氏の穏やかで謙虚な語り口に本物の“知性”を感じ、あぁこんなにも魅力的な方だったのかと…今さらながら思わされました。願わくば、再び鳩山さんに首相になってもらって、広がる格差に疲弊し、傷ついたいく日本の人々の暮らしを救って、周辺国との関係も修復して欲しい…と思った(見果てぬ夢かもしれないけど)。若い政治家さんにもぜひぜひ読んでもらいたい。

  • これほどに広く世界情勢、未来を見、深く思索できる政治家はそうはいないだろう。「友愛」はちょっと鼻じらむところはあるけれど、大枠、著者の主張に賛成する。民主党内閣は、この人が失脚したのち、首相が代わるごとにダメになっていった。

  • 戦後の保守の思想がよく理解出来た。吉田茂、岸信介だけではないことを理解出来ました。、

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著者プロフィール

鳩山友紀夫(はとやま・ゆきお) 1947年、東京都生まれ。政治家、元内閣総理大臣。

「2020年 『街場の日韓論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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