- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582856101
作品紹介・あらすじ
人と人のつながりの大切さが明らかになった今こそ、改めて"恋愛"というつながり方を考えてみよう。純愛に憧れ、モテるかどうかを気にする人もいるだろうし、相手に対して「キャラ」を演じている人もいるだろう。しかしそのことが、かえって他者との関係を息苦しく不自由なものにしていないだろうか。自分の身体と感覚を大切にしつつ、「共にいる喜び」を手にするための道を探る。
感想・レビュー・書評
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恋を衰えさせないためには「変化」だ! とか、いろいろ恋愛アドバイスが「脱」となっているゆえに、書かれてあるので、これは恋愛したい人のための本である。全然脱恋愛ではない。
この本のなかで、もっとも文学的で、興味深く、収穫であるのは、やはりP92からのミラン・クンデラの「偽りのヒッチハイク」の解説だろう。これは見事だった。ゴフマンを参考資料にして述べていて、小説を読んでないのに読んだ気になった、良い説明でした。イメージや、ゲームのキャラクターに自分を当てはめてしまい、こういうものだからというふうに、諦めたり、流されたりしてしまい、捉われてしまう。関係の崩壊を迎えてしまう。そこから脱して、人との関係の可能性に、もっと自分を開いていけることが述べられているが、鮮やかなものだった。恋愛という形にとらわれて、こうあらねばならないというキャラクター化するのではなく、それぞれいろんな恋愛の形を、柔軟に共に在れる人と考えていきましょうというものだ。クンデラの強烈な書き方に対して、ごく一部を引用文献でこなしたに過ぎないが、読んでいて面白かった。
さて、クンデラの話を簡単に言えば、仲の良い男女が、話の流れと悪ふざけで、お互いがビッチとヤリチンを演じてしまい、そのまま演技が続いて、最後にはラブホまで行ってしまい、性行為まで及ぶ。そのあと、二人は絶望して、悪夢のような思いで別れるというものだ。
面白い!!!
フリオ・コルタサルの「南部高速道路」のごとき、力強さを、ばりばり感じるのでございます。 -
恋愛論があった上で、恋愛を乗り越えていく生き方を模索した一冊。
著者自身が結婚・離婚を経験したみたいなので、その辺がベースになってると思われる。 -
新入生の入門ゼミのネタ本候補です。前年の履修者から,ネタ本にするなら恋愛やSNSなどもっと身近な話題のものの方がよいという感想をもらっていたので,これを選びました。値段,とっつきやすさ,(彼らにとっての)話題の身近さ,ディスカッションのしやすさ(たぶん)という点から考えて,期待以上によいように思いました。
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結婚よりも恋愛じゃんっていう世の中やけど、恋愛っていうよりもそもそも「他者とのつながりを大切にしようぜ」っていう内容。ザッパに言うと。
最初の2章あたりはタイトル通り、恋愛についての話で興味深かったがだが、だんだん説法になってるな(笑)と思いました。
この人の分析している方法とか対象にはかなり関心がむいたが、最後まとめているところであれ?ってなりました。まあ、たぶん結果はあんま興味無いというか後付けなのかな。
社会学って、自分も社会に属しており実践に関わってくるというところが特徴的なんだなと改めて感じました。 -
資料ID:92115389
請求記号:080||H
配置場所:新書コーナー -
文献の小説が面白そう。
「整形美女」「偽りのヒッチハイク」辺りは読んでみたい。
「他者への無関心」という技術
には納得。 -
全体的にはなんのこっちゃ? という一冊でしたが、第4章でフォーカスしている松本正枝の論考は面白かった。
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最初おもしろげだったのに、何か打開策がラストに込められてると思ったのに。不完全燃焼ですわ。
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「純愛」や「モテること」など恋愛において良いことだとされている側面を批判的に検討。大切なのは他者という存在がもたらす自分への精神的な影響に敏感になることであり、そのためには身体感覚やコミュニケーションが重要だと主張している。
『〈脱・恋愛〉論』「第1章『純愛』は怖い?」
「たえず変化し成長していく人は、たとえある時点で自分のすべてを相手に見せても、その後もどんどん変わっていくので、新しい秘密、新しい魅力がつけ加わり、尽きることがない。(略)いつ会っても新鮮で、新しい発見があるから飽きることがない」
『〈脱・恋愛〉論』「第2章『モテ』で自分を見失う?」
「二者関係では相手をより必要としている方が立場は弱い。したがって恋愛で優位に立とうと思うなら、相手から愛されても、自分の方からの愛情表現は差し控える方がよい。相手からより必要とされた者勝ちである」
「モテない系女子は自分の基準を大切にしている。世間一般の好みに合わせるのではなく、自分の好み、自分の価値観、自分の判断基準、自分の趣味、これらを生活の基本に据えている。その結果(略)『モテないオーラ』が出てしまう」
「モテ系の女の子はどんな男子に好かれてもすべて『モテ』にカウントできるが、モテない系は自分の好きなタイプ以外からいくら好かれても『モテている』と思わず、かえって迷惑だと思ったり、悩んだりしてしまう」
「モテる/モテないを分かつのは、外見や中身が具体的にどうか、ではなく、要は世間一般の好み、基準に自分を合わせられるか、それとも自分の好み、基準で振る舞ってしまうか」
第3章以降も「ゲームとしての恋愛」や「経済力目当てで結婚すること」についての検討がなされており非常に面白かった。