ひとりだから楽しい仕事: 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活

  • 平凡社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582839166

作品紹介・あらすじ

村上春樹、三浦しをん、小川糸ら日本文学の韓国語翻訳を手がける著者のエッセイ集。日本小説ブームの思い出、翻訳料事情、誤訳の恐怖……翻訳家人生をユーモアたっぷりに綴る。

感想・レビュー・書評

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  • 『혼저여서 좋은 직업』 권남희 | M의 다락방~韓国語の本を読む(2021-05-22)
    https://ameblo.jp/giugno2016/entry-12679182293.html

    ひとりだから楽しい仕事 - 平凡社
    https://www.heibonsha.co.jp/smp/book/b617046.html

  • 韓国の日本文学翻訳者の方のエッセイ。たいへん読みやすかった。

  • 勝手に期待していたほど翻訳のテクニカルな話はなくて、でも、韓国での日本文学ブームの盛衰とかは興味深かった。たまに辛辣だったり(けっこう有名な日本の小説について韓国では売れないと思う理由なんかをはっきり書いていて、え?こんなこと書いちゃっていいの?と思ったりもしたけど、その率直さも本書の魅力のひとつ)恨みがましさものぞかせたりしつつ、誠実に生きてきた著者の人となりが伝わってきて、娘さんとの関係も素敵。そしてこんなに仕事を旺盛にこなしている方でさえ40歳になるときも50歳になるときもうつ症状を経験(40歳がおできなら50歳のうつは蕁麻疹のように広がったとか)したそうで「憂うつだけど、まっ、生きるってそういうものよね」と書かれていることに妙にはげまされたり。あと占いの章で同じ3月生まれだとわかって(そして、その性格占いも結構私にも当たってた!)親近感を覚えたり。

  • 韓国の日本文学翻訳家によるエッセイという聞くだけでときめいてしまう本だった。
    肩の力が抜けた文章で読んでいて心地よく、家から出たくない運動したくない電話したくないの筆者の気持ちにとても共感し、素敵なキャラクターの娘さんが微笑ましく、終始やわらかで穏やかで、そして嬉しい気持ちにさせてくれる本。
    日本文学の翻訳エピソードは外から日本を見る体験でとても新鮮だった。小川糸さんのハンコの話で泣きそうになった。
    この人の他のエッセイも邦訳されたらいいのにな。

  • 30.韓国の書店に行くと沢山の日本の作品が翻訳されている事に嬉しくなる

    「韓国を代表する日本文学の翻訳家が、韓国語でエッセイを書き日本語に翻訳された本」
    面白い設定だと感じて手に取った一冊

    とても読みやすく、娘さんとのエピソードなどの日常もほのぼのと拝読


    韓国文学を日本語で読む身としては翻訳家の力があってこそ読ませてもらえる

    同じ気持ちで韓国の方々が日本文学を楽しんでくださっていると思うと、クォン・ナミさんをはじめ翻訳家の方々へ感謝の思い

    今後も両国の作品達を、素晴らしい翻訳家さんのお力で互いの国の読者に届けてもらえたらうれしい

  • 日本文学が韓国でこんなに翻訳されているなんて全然知らなかったな。
    著者は、韓国における柴田元幸さんとか岸本佐知子さんみたいな存在なんだろうか。読者からとても信頼されている翻訳家のようである。

    私は日本文学をあまり積極的に読まないので、この本に登場する日本の小説はほとんど読んでいないのだが、驚くことに、この人が言及した日本の小説が全部読みたくなった!
    そして、自分でもビックリなんだが、いくつかはさっそく図書館に予約してしまった。
    もちろんこの本を読む前からその日本の小説のタイトルは知っていたし、それらをおすすめしている文章も日常でこれまで何度も目にしているのだが、こんな風に即予約の行動をとるほどに読みたいと思うまではなかなかいかなかった。なにせ私は日本の作家の手法があんまり好きじゃないから。
    だから、この本に登場した日本の小説を今回1冊ならず即予約した自分にビックリ。

    この本は、特にものすごく記憶に残るようなエピソードはなく、今、読み終わって「ここがおもしろかった」と書こうとしても、目次を見ないことには具体的なエピソードはあまり思い出せないのだけど、でも全体の印象として、著者の考え方にはとても共感できて、かつなぜかじわじわと幸せな気持ちになる大変に良い本だった、という印象。
    外国人が書いた本、というより、自分の親友の一人が書いた本みたいな親しみを感じる。

    これが著者の最初の邦訳ということなので、この本の中に何度も出てくる前著「翻訳に生きて死んで」はまだ邦訳されていないようで、とても残念。すごく読みたいと思ったので。
    今までそんな風に思うのは英語圏の著者ばかりだったので、その流れだと普通にじゃあ原書を読もうかとなるけど、韓国語だとそうもいかないのがつらい。この世にはどうしてこんなにもたくさんの言語があるんだ!
    でも、きっとすぐ翻訳されるのではと予測。
    翻訳されたらきっと読む。

    良かったエピソードは、「コピーライターになりたかったけれど」「タイトルを変える」「あの時の男子生徒は」が良かったかな。
    「あの時の男子生徒は」で、冒頭の一文でガーン!となった、という感覚、すごく分かる。私にもときどきある。でも、それだけじゃなく、ラストが「あなたがあのときの洋館よりもいい家で暮らせていることを何十年も祈り続けています」で締めくくられているのがとても良い。私もそういう風に意味もなく祈り続けるタイプだから共感しまくった。おお、まさに私だ、と思った。

    あと、娘さんとのエピソード、お母さんとのエピソードは全部おもしろかったです。

  • クォンナミさん、嫌だなって思うくらい生々しい人間だと思った。推しから返事が無ければファン心が冷めたと言い、ラジオでおばさん呼ばわりされれば出版社を通してクレームを入れる、所謂「普通のおばさん」だ。
    最初の方は「何だこの人」と思いながら読んでいたのに、1冊読み終わる頃にはまるでクォンナミさんの親戚にでもなったような親近感を覚える。是非、他の訳本も読んでみたいと思った。

  • エッセイが好きでよく読みます。
    韓国の方がこんなにも日本の本を読まれている事を初めて知りました。
    言葉は違えど、同じ本を読んで良いなって思える価値観は一緒なんだなと思うと、何だか嬉しい気持ちになります。

  • "もちろん孤独だ。孤独だが、気楽だ。気楽だけど、後ろめたい。 こんな生き方をしていてもいいのだろうか? 眠りにつく前に自問自答してみるが、朝になって陽が昇ればまた、後ろめたくて気楽な孤独を選んでいる。"(p.176)

  • 翻訳家の生活に加え、出版社とのやりとりを垣間見ることが出来、興味深かったです。未読作品が韓国でたくさん翻訳されているため、知識が逆輸入されました。翻訳本のタイトルは、翻訳家の手を離れ出版社のマーケティング部門の判断により、原書と異なるとき、著者との間でOKが出るまで刊行が遅れたりといった事象にやきもきしたりと、仕事人の気持ちがストレートに出ていて楽しいエッセイでした。

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