南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582837957

作品紹介・あらすじ

平凡な主婦の料理と生き方を変えた南極での1年4ヵ月の挑戦を綴った初の著書!!

出産後は、いったん職場を離れ、母として家事・育児に奮闘する日々を送ってきたが、
一念発起して南極観測隊の調理隊員にチャレンジ。
3度目の挑戦で見事合格を果たし、
母親としては初の調理隊員として第57次南極地域観測隊に参加した。
何歳からでもチャレンジできることを伝える、多くの女性たちを応援する一冊!!
南極生活で発見したエコロジカル&サスティナブルな料理と、
美味しく楽しくエネルギーを循環させる知恵とは!?
テレビやSNSでも話題の「悪魔のおにぎり」誕生秘話と特別レシピを初収録。

*「悪魔のおにぎり」とは……
「世界一受けたい授業」(日本テレビ)出演時に紹介されてSNSで話題となり、某コンビニチェーンで商品化。単日売上記録で20年間首位であった「シーチキンマヨネーズ」を抜いて、販売数1位になるなど大反響を呼んだ。

*目次
1章-南極へ行くまで
 進路を決めかねて
 南極へ行くきっかけ
 背水の陣で挑んだ3度目の試験
 非日常すぎる訓練
 隊員室開き
 家族のこと

2章-南極で料理する
 南極へ向かう
 南極到着
 夏から始まる南極生活
 私の1日、調理隊員の仕事
 相方さん
 南極で料理する

3章-南極で暮らして
 南極の音
 無線でつながる
 もっとも恐怖を感じた日
 隊員たちと
 喧嘩
 越冬隊長と私
 女性であること
 困ったこと・意外だったこと
 娯楽
 
4章-南極から日本へ
 お迎えの船
 越冬交代式
 南極廃人
 帰還後の仕事

*著者プロフィール

渡貫 淳子(わたぬき・じゅんこ)

1973年青森県八戸市生まれ。調理師。伊藤ハム株式会社商品開発部所属。「エコール辻東京」を卒業後、同校の日本料理技術職員に。出産後は、いったん職場を離れ、一児の母として家事・育児に奮闘する日々を送ってきたが、一念発起して南極観測隊の調理隊員にチャレンジ。3度目の挑戦で見事合格を果たし、母親としては初の調理隊員として第57次南極地域観測隊に参加。帰還後は、各誌でのレシピ紹介や講演会など活動の場を広げる。2018年6月放映の「世界一受けたい授業」(日本テレビ)で紹介された「悪魔のおにぎり」が大反響を呼び、南極での料理が話題となった。本書が初めての著書となる。

感想・レビュー・書評

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  • 南極基地の調理隊員の話といえば、「南極料理人」を思い浮かべるが、この作者はまさに「映画版・南極料理人」に刺激を受け、南極を目指す気持ちが沸いたらしい。
    私も、原作本も映画も両方楽しく読み、見たけれども、一度行ったら簡単には戻ってこれないところに踏み込む気持ちにはなれなかった。送り出す家族もどんな思いだったのだろうか。
    南極での生活を、ことさらにドラマチックに描くわけではなく、比較的淡々と事実が綴られているという感じがドキュメンタリー映像のようで読みやすかった。

  • 第57次南極観測の越冬隊で調理隊員を務めた渡貫淳子さんの体験エッセイ。
    南極料理人と言えば、西村淳さんを思い浮かべる方も多いと思う。
    映画にもなったし、つい最近も新しいドラマとしてリメイクされた。
    この本を手に取ったのは、別の人の視点ではどう描かれるだろう、という興味が多いにあったからだ。

    著者の渡貫さん自身も、「南極料理人」の映画に感動して、自分も南極で、観測員たちのために料理を作りたい!と夢をふくらませたそうだ。

    "かあちゃん、調理隊員になる"というサブタイトルのごとく、お子さんのいる主婦だった。
    『夢』を実現し、遂行するためには並々ならぬ苦労があったのだと思う。
    面白隊員の描写ではなく、自分自身の大事業を振り返り描写する内容となっている。
    簡潔な文章だが、抑えた思いが伝わってくる。
    やりたいことは無理に見つけなくてもいい、ただ、夢に出会った時に活かせるスキルを日々の中で培って行きましょう、という、女性へのエールとなっている。
    女性女性とことさらにジェンダーを意識して読んだわけではないが、実際問題として、女性がこのような大仕事とをするにあたっての障害は多いと思う。
    【人と違うことをするのは勇気がいりました】
    のさりげない一言が物語っている。

    南極での仕事の描写は、やはりいたるところに"主婦目線"が感じられる。
    たとえば、ゴミはすべて日本に持ち帰るわけだが「鍋のふちにこびりついたソースでさえ排水管の汚れ」という描写にも主婦を感じる。
    一年分の食料を一回で仕入れる、という状況には目眩。
    大変さもやりがいだったのだろう。
    帰国して、「昭和基地に帰りたいな」と思ってしまうほどの、人生に大きな位置を占めた体験、うらやましく思う。

  • 南極観測隊に調理隊員として参加したい!という壮大な夢を、3度目にして実現させた渡貫さんの1年4ヶ月に渡る南極観測隊昭和基地滞在記。
    ちょっとまえにNHKのサラメシで、昭和基地の調理隊員の回を見たので、様子を想像しながら読めた。お子さんもいる渡貫さん、あまり苦労話は書かれてないが、並大抵の努力で勝ち取ったモノではないはず。カッコいい母ちゃんである。

    南極の暮らしは、一歩間違えれば死と隣り合わせ。そんな緊迫感が随所に溢れているわけではないが、一度警報が鳴れば基地内に緊張が走る。また補給されることのない食料でいかに工夫して心を満たす食事を提供するか、30人ほどの人間で閉鎖された空間に一年暮らすことへの、細かな気配りなども書かれていてリアルで興味深い。

    あまり出てはこないが、彼女を淡々と送り出す家族の愛と信頼関係がすごいなぁと思う。自分と同世代ということを考えると、理解のある夫はそういないだろう。
    こういう女性たちがもっと出てくれば、この国も変わるのかなぁ…他力本願ではいけないけれど。

    最後に帰国後の南極ロスについて書いてあったが、夢を叶えた後の人生をまた始める、ということにもまた膨大なエネルギーが必要らしい…深いなぁ…。
    2019.7.31

  • 渡貫さんは日本料理のプロとした働いた後、育児に専念していましたが南極で働きたいと3度の挑戦で合格し、第57次越冬隊の調理隊員として働かれました。

    スケジュール、任務の内容、女性隊員であることなど、とても具体的に数字を示して紹介されています。

    印象的だったのは、調理隊員でも重機作業をすること、発注(1年分補充なしのため)作業の大変さ、1日中働き続けるタフさ、任務が終わってからの南極廃人のお話でした。

  • 南極で調理隊員として働く。
    そんな考えた事も思った事もなかった事を成し遂げた女性。

    どういう日々だったんだろうと読んでみたものの、
    私には想像を絶する日々で安易に考えちゃいけないお仕事だと思いました。

    1年間の南極でのお仕事、本当に尊敬します。
    貴重なお話読ませて頂きました!

  • 渡貫さんは、お名前のとおり、意志を貫く、究極の自立した女性ですね。
    南極へ行くために3回も過酷な試験を受け続け、見事合格。家族の理解を得て、いざ南極へ。しかし、行ったら行ったで、役目があり、 しかもそれは命がけの業務であったりするのだから、そこは男女問わず緊張を強いられる場面も多かったと思います。
    西村さんの「南極料理人」を読んだときは、楽しそうだけど、それだけじゃあるまい、と思ってました。
    女性ならではの気遣いと、極限状態で起きる感情的なことも書いてあったので、生活の様子が、より分かりやすかった。やはり南極1年の滞在は、宇宙に滞在する飛行士にも近い過酷さなのでは?(想像つかないけど)。日々、南極の姿に感動し、業務にポジティブに向かって行く渡貫さん。メンタルと体力、それがないと、とても南極で暮らすことはできないだろうな。

  • 面白かった
    普通にネットが使えるのが意外だった
    大変そうだけど楽しそう

  • 知らなかった世界を知る楽しみはあった。南極紹介本という感じ。より南極探検ならではのエピソードでハラハラドキドキできると良かった。

  • 南極観測隊は基本的に南極で一年間を
    過ごします。

    その間、物資の補給はないです。つま
    り料理人は一年ぶんのメニューを一回
    の補給分から作り続けることになりま
    す。

    当然そこには、日本では考えられない
    ような制約があり、料理人は日々悩む
    ことになります。

    そんな日々の葛藤や、南極越冬隊の
    知られざるエピソードなどをさらっ
    と紹介してくれる明るい一冊です。

    あのローソンの「悪魔のおにぎり」は
    ここからどのようにして生まれたのが
    分かります。

  • 南極観測隊の調理人として、昭和基地におもむいた女性調理人の記録。

    南極の暮らしが観測隊員以外から記述されている。

    南極料理人の映画をみていきたくなった、とあって、意外と最近の話なんだなー、と。

    食材は一年間補充できないとのことで、食材管理の難易度が想像できる。

    作業によっては3ヶ月風呂に入れない、などとさらっと書いてあり、整備はされていてもやはりそれなりに大変な場所のだなぁと感じた。

    南極から帰国したあとの著者がおちいった南極廃人については、なかなか興味深かった。
    「あんなに制約のある生活からなんでも自由な生活に戻れたのに、それ自体を苦痛と感じるとは思いもしていなかった。」
    「スーパーの惣菜コーナーに、並べられている食品を見た時、時間がたったらこれらはみんな廃棄されるんだろうなと思っただけで涙が出てきた。」

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著者プロフィール

◎渡貫 淳子(わたぬき・じゅんこ)1973年青森県八戸市生まれ。調理師。調理師専門学校「エコール辻東京」を卒業後、同校職員として勤務。出産を機に退職して専業主婦となり、家族の仕事の手伝いなどを行うも、30歳を過ぎてから、南極で働きたいとの思いを抱く。3度目のチャレンジで南極行きを実現させ、第57次南極地域観測隊の調理隊員として南極で生活。帰国後は学校や食に関係する団体、女性対象の講座などの依頼を受け、講演活動を始める。その他、新聞、雑誌、テレビなどで南極での経験や南極での料理の工夫などを披露。「ママさん南極調理隊員」として日テレ「世界一受けたい授業」にも出演し、話題となる。

「2023年 『南極の食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡貫淳子の作品

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