花びら供養

著者 :
  • 平凡社
4.14
  • (3)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 72
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582837643

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 石牟礼道子の随筆『花びら供養』 若松英輔: 日本経済新聞[有料会員限定]
    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62440430Y2A700C2MY5000/

    花びら供養 - 平凡社
    https://www.heibonsha.co.jp/smp/book/b298036.html

  • こんなにも深く、世界を、人間を、生死を、見つめたひとは他にいないだろうと思う。

    著者の石牟礼道子さんは誠に残念ながら2018年に亡くなりましたが、今の世界を見たらなんと仰っただろうかと考えた。

    石牟礼さんは、四大公害病のひとつである水俣病に、ただひたすら向き合ったひとだ。

    最所に水俣病の症状が発見されてから12年間、水俣で起こっている惨劇は、無いものにされていた。
    工場が水俣湾に流し続けたメチル水銀が原因となり、沿岸に住む何万人もの人々の中枢神経が破壊され、手足が痺れ、舌はもつれ、視界は奪われた。

    こんなことが起こってよいのかと思うほどの不条理。
    石牟礼さんは、不条理な現実というよりむしろ、不条理そのものを見つめ、ひとの、世界の美しさを見つめた。優しさを、強さを、尊厳を、見つめていた。

    メチル水銀を垂れ流していた工場や、近代化の犠牲を供養しようともしなかった日本政府を許していた。ただ水俣病の患者さん達と生き、ご自身も病を抱えて生き、不条理な死と生きていらっしゃった。

    凄いものを読んだ。
    なかなか感想がまとまらず、時間も経ってしまった。人間とは、尊厳とは、生きるとは、死ぬとは、許すとは。様々なことを考えた。

    私も、ここまで深く世界を見つめることができるだろうか。

  • 18/04/22。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1927年、熊本県天草郡(現天草市)生まれ。
1969年、『苦海浄土―わが水俣病』(講談社)の刊行により注目される。
1973年、季刊誌「暗河」を渡辺京二、松浦豊敏らと創刊。マグサイサイ賞受賞。
1993年、『十六夜橋』(径書房)で紫式部賞受賞。
1996年、第一回水俣・東京展で、緒方正人が回航した打瀬船日月丸を舞台とした「出魂儀」が感動を呼んだ。
2001年、朝日賞受賞。2003年、『はにかみの国 石牟礼道子全詩集』(石風社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2014年、『石牟礼道子全集』全十七巻・別巻一(藤原書店)が完結。2018年二月、死去。

「2023年 『新装版 ヤポネシアの海辺から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石牟礼道子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×